ご存じ「ショップチャンネル」は24時間放送のショッピング専門チャンネル。視聴可能世帯数は約2,950万人。視聴者の9割が女性、半数以上が60代以上と、長年のショッピングで目の肥えた女性たちから、熱~い視線を送られています。

中でも半数以上が10年以上のリピーターという、EC事業者のみなさんにとっては羨ましい顧客を抱えるのがジュエリー部門。なぜショップチャンネルはそんな愛され続けるのでしょうか? ショップチャンネルでジュエリーのバイヤーを務める斉藤亜希子氏に聞きました。

シニア女性から支持される「ショップチャンネル」

ショップチャンネルでは色んなカテゴリーの商品を販売していますが、リピート率が一番高いのがジュエリー。10年以上に渡って買い続けている方が半数以上と、繰り返し長期間ご愛顧いただいている方に支えられているカテゴリーなんです。品質については「厳しすぎる」と言われることもありますが、10年買い続けてくださる方のご期待を裏切らないように、厳しい目で買い付けをしています。(斉藤氏)

こう語るのはショップチャンネルでジュエリーのバイヤーを務める斉藤亜希子氏。

ジュピターショップチャンネル マーチャンダイジング本部 マーチャンダイジング1部 ジュエリーグループ シニアバイヤー 斉藤亜希子氏
ジュピターショップチャンネル マーチャンダイジング本部 マーチャンダイジング1部 ジュエリーグループ シニアバイヤー 斉藤亜希子氏

ジュエリーの主役はやっぱり「ダイヤモンド」

国内ジュエリー市場自体は厳しい状況が続いています。お給料3か月分の婚約指輪が常識のようだった時代もありましたが、バブル崩壊以降売上は低下。原材料である天然石についても世界的に採れにくく、価格が高騰する状況が続いています。

そんな状況でも人気なのがダイヤモンド。ショップチャンネル全体の売上の中で、ジュエリーの売上は10%前後。そのうち10%〜20%と最も多いのがダイヤモンドの商品。今も昔もダイヤモンドは女性を惹き付けているのです。ダイヤモンドは「一番効率が良い商品」と斉藤さんは言います。

以前よりは落ち込んだとはいえ、ジュエリー市場全体から見ても、やはり一番多くの売上を担っているのはダイヤモンド。オンエア開始から4〜5時間で2億円くらいの実績が狙えるのはやはりダイヤモンドです。

かつては価格が不透明で「お値段はあってないようなもの」という感じでしたが、今はネットでいろいろ調べられるので、お客様の品質と価格を見る目が養われていると感じています。「本当にお買い得な価格でないと買わない」「割高感を感じたら買わない」という動きになっています。(斉藤氏)

上顧客を満足させるための高額品もラインナップに欠かせないものの、手頃な価格の商品の方が販売実績は良い。ダイヤモンドジュエリーは通常、多くの業者の手を経る複雑なルートを必要としますが、ショップチャンネルでは量をさばけることを利点に、シンプルなルートで提供できる仕組みをメーカーと共に作り上げ、値頃感のある商品を実現しています。

ダイヤモンドの流通経路ダイヤモンド鉱山プライムスターダイヤモンドショップチャンネルお客様
放送でもしっかりアピールされていました

しかし、ダイヤモンドが売れるからと言って、ダイヤばかりを売るわけにはいきません。ましてや、長年ジュエリーを愛用しているショップチャンネルの顧客たちなら当然、すでに複数のダイヤモンドジュエリーをに所有しています。

市場と違うものをご紹介できなければお客様の関心を得られません。よくあるデザインだと単なる価格競争になってしまう。価格で強みを持たせることはできますが、それだけではお客様の満足度は得られない。

特にジュエリーアパレルというファッションカテゴリーは、「何これ?」とテレビに釘付けになるようなオリジナリティが必要です。(斉藤氏)

ジュエリーでデザイン性やオリジナリティを担うのがカッティングやセッティングの技術。例えば「ミステリーセッティング」や「プリンセスカット」。「ミステリーセッティング」は石を支える爪が見えないセッティングの技術で、「プリンセスカット」は石を四角くカットする技術。まだまだ量産するのは難しい技術ですが、「量産できるくらいのキャパシティと生産能力のある取引先がそろっている」と言います。

18Kプリンセスカット0.4ctダイヤモンド ミステリーセッティング ペンダントトップ ライシャンパーニュ
なんのことやらわからない人も多いかと思いますが、こちらが「プリンセスカット」のダイヤモンドを「ミステリーセッティング」した商品の例です

1時間の売上を最大化するために

商品の成否を分けるのが1時間あたりの売上。ショップチャンネルの中では化粧品や家電が特に好調ですが、ジュエリーも1時間あたりの売上は上昇傾向。問題は商品の準備数。ショップチャンネルでは3か月先までオンエアの予定が決まっているため、用意した商品点数が多過ぎても売る機会はありません。かといって少な過ぎたら売り逃しが発生します。

販売するにあたって何個ご用意するかを精査します。「その数を絶対に売り逃さない」という準備数を整えて、1時間の効率化を最大限アップできるようにします。その日に命を賭けていると言ったら大げさですが、すべてのエネルギーをその日にかけるという感じです。お取引先さまもその時間に語れることを存分に語っていただき、売上を最大限上げることに集中していただきます。

通常、売上は数か月単位で見ていきますが、ショップチャンネルでは「売れた」「売れなかった」がオンエア1時間後にははっきりわかります。テレビショッピングは多くの方に一気に反応していただける面白い販売方法だと思います。お取引先さまにとってもお客様の反応が次のエネルギーになるようです。(斉藤氏)

18Kプリンセスカット0.4ctダイヤモンド ミステリーセッティング ペンダントトップ ライシャンパーニュ
左がこの日のメーカーの担当者。右がキャストの方です

オンエアスケジュールが3か月先まで決まっているからという理由だけでなく、ショップチャンネルが放送予定を急に変更できない理由がも1つあります。1か月以上前からサンプルを精査し、番組の中で何を話すかを決め、「それは本当に事実で正しいのか?」ということも調べます。さらに専門の部署が広告審査も行い、「これは言って良い」「これは言ってはいけません」と審査する。取引先との間でも「これをこういう話し方で説明します」ということをしっかり話し合ってから放送にのぞむそうです。

ショップチャンネルでは商品について正確に細かい数字でお伝えしています。業界トップ企業として厳しい目で見られていると思っているので、景品表示法にしっかりのっとっています。

隅々までよく見えるから売れる

テレビショッピングでジュエリーが売れる理由として、斉藤さんは「見えること」をあげました。そもそも、ジュエリーのお店は女性でも入りづらいものです。ましてや商品の細かいところまでルーペを借りて確認……なんてことはなかなかできません。でもテレビなら思う存分見られます。ショップチャンネルのカメラは27倍のサイズで撮影可能。これは「米粒がリンゴになるくらいの大きさ」(斉藤さん)。

18K ホワイトゴールド 0.69カラット UP ダイヤモンドローズモティーフ 透かしリング
27倍なので肉眼で見えないレベルまで見えます

しかし、拡大して見せれば、見えなくていい部分も見えてしまいます。ショップチャンネルで扱っているダイヤモンドはすべて天然。そのため、どうしてもインクルージョン(内包物)があります。でも、拡大して美しくなければお客様は買いません。「27倍で見せても美しい。でも値段はびっくりするくらい安い商品を開発するのはなかなか難しい」(斉藤さん)。

18K ホワイトゴールド 0.69カラット UP ダイヤモンドローズモティーフ 透かしリング 拡大
ホームページに掲載されている商品写真もかなり高精細。肉眼では大きな1粒の石が真ん中にあるように見えますが、拡大すると石がわかります

隅々までよく見えることはお客様にとっては安心感につながることですが、これから4K、8Kとますますテレビ画面が鮮明になっていく中で、鮮明な画像でご覧いただいてもご満足いただけるような商材を開発していかなければなりません。価格も抑えなければならないので、これからますます難しくなってくるとは思います。

店頭販売には慣れているお取引先さまでも、テレビで販売するときには感覚の違いがあります。27倍で映されるということで、「石と石の間に糸くずが1本はさまっていても、拡大されると巨大に見えるんですよ」とか「もっと磨きをかけましょう」とか、そういったこと一緒に考えて開発していきます。(斉藤氏)

お待たせするのは是か非か?

商品発送については、1万円台以下の商品(全体の約半分)は基本的に4日前後で発送し、高額商品は平均6週間程度で発送している。3万円以上の商品は素材や石の準備はしていても仕上げを行っていない状態で放送し、受注後メーカーに発注。在庫負担のリスクを減らし、値ごろな商品を出すための工夫です。

お待ちいただくのはどうなのか?」という議論もありまして、「やはり4日前後でお送りした方が良いのでは?」「お待たせする商品が多すぎるのでは?」という意見がありました。そこでお客様をお招きしてヒアリングしたところ、「待つのはぜんぜん構わない」というお声をいただきました。むしろ「欲しくないものは早く届いても欲しくない。欲しいものは待っても良い」というお声をいだだき、心強く感じました。

ご購入者は富裕層が多く、買ったことを忘れてまた買ってしまうというご意見もあり、「忘れた頃にプレゼントのように届くのも嬉しいのよね」というお声もあった。そんな風にプラスに受け取っていただいていたのかと安心しました。(斉藤氏)

ショップチャンネルでは同じような価格帯の商品を4日前後で届けた場合と、6週間前後で届けた場合で売上に変化があるのか何度か検証した結果、違いは表れなかったそうです。

スタジオを見学させていただきました

最後に、ショップチャンネルのスタジオと調整室を見学させていただきました。

ショップチャンネルスタジオ外観

生放送中におじゃましました。スタジオには司会進行をするキャスト(写真右)と、商品について詳しく説明するメーカー側のゲスト(左)、商品を着用するモデルの他に、2〜3人のフロアスタッフがいるだけです。24時間放送するために、少人数で効率的に運営できる仕組みになっているそうです。 

ショップチャンネルのスタジオ
写真協力:通販新聞社

なんと、カメラマンはスタジオにいません。カメラマンがいるのは、調整室のこちらの席。

カメラマンが座る席

このモニタを見ながらスタジオに設置された5台のカメラの操作をたった1人で行うのです。かなり集中力のいる作業だそうです。次は音声兼タイムキーパーさんの席。

音声兼タイムキーパーさんの席

こちらはテクニカルディレクター(スイッチャー)画面の絵作りを担います。

テクニカルディレクター(スイッチャー)

こちらがセールスプロデューサー(小売で言えば店長さん)の席。1時間の売り上げをどれだけ最大化できるかは、ここに座る人にかかってきます。このデスクから受注状況ををリアルタイムで確認し、電話の混み具合やあと何分くらいで在庫がなくなるかといった情報をスタジオのキャストやフロアのスタッフに伝えます。

セールスプロでユーサーさんの席
 

デスクにある電話がコールセンターとつながっていて、「生電話」に利用されます。コールセンターに「生電話募集」と呼びかけて、オペレーターからお客様に「ご出演いただけませんか?」とオファーし、OKしてくだささった方とつないでいるそうです。

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