Digital Commerce 360 2020/7/22 8:00

Nikeがリニューアルした中国・広州のデジタル特化型コンセプトショップでは、主催するワークショップやワークアウトを予約できるほか、スマートフォンで撮影するだけで足のサイズを自動計測するNike独自のフットスキャン技術を使い、ぴったりのサイズの靴を見つけることができます。

業績の良い店舗を「デジタル特化型」に改装

Nike全体の売り上げは減少、一方の中国の総売上高は8%増加

一部の小売事業者が閉店、休業しているなか、Nikeは成功している店舗にデジタル機能を取り入れる投資を行うことにしました。その1つが中国・広州の「Nike Rise(ナイキライズ)」です。

2012年にオープンした「Nike Rise」は、スポーツアパレルブランドのなかでも中国トップクラスの業績を誇る店舗です。さらに、Nike全体の売上高が38.0%減少したにもかかわらず、Nikeの2020年5月期通期業績によると、中国の総売上高は8%増でした。

「今回の『店舗改装』は1年以上前から計画しています。約9か月前に改装のため閉店しましたが、計画通りに再開します」と、Global Nike Direct Stores and Serviceの副社長でGMのキャシー・スパークス氏は言います。

今回、中国のNikeは新型コロナウイルスの拡大防止に対応しながら、素晴らしい仕事をしてくれました。多くのブランドが閉店を考えている中、我々は、今回のコンセプト、またそのコンセプトを安全に実現させることに自信を持っています。(スパークス氏)

店舗でもオンラインでもシームレスな顧客体験

広州の大型店舗は22,098平方フィート(編注:2,052平方メートル)。ニューヨーク市の「Nike Soho」やダラス、ポートランドの店舗など、他の旗艦店を彷彿とさせるとスパークス氏は言います。

この店舗のポイントは、この街のスポーツに対する熱意とエネルギー、そして私たち社員の熱意とエネルギーを、お店の中で表現していることです。(スパークス氏)

たとえば、店舗内のデジタル掲示板には、地元のバスケットボールゲームのスコアが表示されたり、広州で「Nike Run Clubアプリ」(編注:ランニングアプリ)を利用して走った人たちの累計マイルが表示されたりします。2019年の累計は、320万キロ(200万マイル近く)でした。

「Nike Soho」のイメージ動画(編集部が追加)

「Nike Experience」は、Nike会員がアプリを使って、店舗内や街中で行われるワークショップやワークアウトにアクセスできる独自の新機能。消費者はアプリ内でも店舗でも、アクティビティやイベントを予約できます。たとえば、会員はNikeが主催するサッカー、サッカー、バスケットボールの試合を予約したり、広州店でナイキのコーチと待ち合わせをして、コーチの指導を受けながら街中を走り回ったりすることも可能です。

足をスキャンして商品提案に役立てる自動計測器を導入

また、中国の店舗では初となる「Nike Fit」も導入します。「Nike Fit」は消費者の足をスキャンして13のデータポイントを収集し、足の形をマッピングします。このデータは会員プロフィールに保存され、店舗でもオンラインでもアクセスできるようになっています。Nikeは、機械学習と人工知能を利用してこの技術を自社で開発。より多くの商品を販売し、より多くの消費者の足をスキャンすればするほど、精度が増していきます。

「Nikeではサイズが9.5でも、別のブランドではサイズが9ということは珍しくありません」とスパークス氏は言います。

「Nike Fit」について
「Nike Fit」について(画像:『Digital Commerce 360 』より)

身体接触なしの接客。新型コロナ対策にも

「Nike Fit」技術のもう1つの利点は、身体的接触がほとんどないため、新型コロナウイルス拡大中、店舗での買い物を心配する消費者の安心材料になることです。デバイスを使用して足をスキャンするため、店舗スタッフが物理的に消費者の足を測定できるほか、何が最もよく合うかを確認するために複数の靴を持ってくる必要がありません。

また、広州の店舗では消費者が店内に入った時に利用できる、「Nike App at Retail」の機能も使えます。商品をスキャンして詳しい情報を入手したり、試着室に商品を送っておいたりすることができる機能です。また、店舗で会員のQRコードをスキャンすると、14日ごとに靴下などの商品がもらえるプレゼントボックスの鍵を開けることができます。

Nikeは「Nike App at Retail」の機能を、他国の「Nike Rise」ストアや、デジタルに特化した店舗に横展開していく予定です。

安全に街自体が活性化している事例です。他の店舗が再開すれば、Nikeアプリのこれらの機能を利用できるようになります。北米の一部の地域でも、2021年にデジタルに特化した店舗をオープンすると同時に、業績の高い店舗でデジタル機能を追加していきます。(スパークス氏)

スパーク氏は上記のように話しましたが、詳細は明らかにしませんでした。

「Nike Rise」店内のようす
「Nike Rise」店内のようす(画像:『Digital Commerce 360 』より)
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Nikeの広州店は7月9日にオープン。NikeはDigital Commerce 360発行「北米EC事業 トップ1000社データベース 2020年版」で24位にランクインしています。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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