コーヒー通販大手ブルックスがPayPalを使って取り組む日本初のオムニチャネルとは?
コーヒー通販・EC大手のブルックスは10月22日、国内・海外向けのオンラインショップと実店舗に「ペイパル」を導入し、日本初という決済サービス「ペイパル」を活用したオムニチャネルをスタートした。実店舗ではペイパルアカウントで支払いができる「ペイパル チェックイン支払い」を活用し、顔認証感覚でのキャッシュレスを実現。同時に、ECサイトでも同アカウントを使って決済できる仕組みを構築した。ブルックスが始めたペイパル活用のオムニチャネルマーケティングをレポート。
顔認証だけで商品が購入できる「ペイパル チェックイン支払い」を導入
ブルックスはコーヒー通販・ECの最大手で、国内の顧客数は約700万人。通販・EC売上高は非公表だが、ECが占める割合は半数という。そんなブルックスが「ペイパル」を活用したオムニチャネルを始めるのは、「いろいろなチャネルを通じ、会員と顧客接点を作る」(小川裕子社長)ため。
こうした構想のもと2014年6月28日、東京都内に実店舗「BROOK'S CAFÉ原宿店」をオープンした。オムニチャネルを進めるため、タブレットを使ったクレジットカード決済サービス「PayPal Here」を店頭レジとして導入。ペイパル利用者はペイパルアカウントで支払いができる「ペイパル チェックイン支払い」を利用できるようにした。
今回、日本初の取り組みとなるのが、「ペイパル チェックイン支払い」などを用いたオムニチャネルマーケティング。現金の支払いを行わず本人確認だけで商品を注文できるようにしたり、ペイパルアカウントがあれば実店舗にいながら数クリックでコーヒー豆などをECサイトで購入できるようにしたのが特徴だ。
「ペイパル チェックイン支払い」はペイパルアプリを利用することが必要。店の近くでGPS機能と連動したアプリを利用すると、「ペイパル チェックイン支払い」が利用できる店舗名が表示される。
店舗に入ったらアプリで該当店舗にチェックイン。
すると、アプリに登録した氏名と顔写真が店側の端末に通知される。店側は「PayPal Here」を導入したタブレットで本人かどうかを確認して認証する。
利用者は注文したい商品を告げると店員が注文を処理し決済へ。料金の確認はレジ上に置いたスマートフォンで確認することができる。
店舗にいながらスマホで簡単に商品が購入できる仕組みも提供
ちなみにこの「ペイパル チェックイン支払い」は2014年4月にリリースされ、ブルックスが初めての導入企業ではない。ただ、ブルックスが他の企業と異なるのが、ペイパルアカウントを活用した決済の仕組みを通じ、店舗にいながらECサイトで簡単に商品を購入できるようにした点だ。
店舗では無料Wi-Fiを提供。このWi-Fiもしくは、テーブル上に置いた掲示物に載せたQRコードを読み取り、ブラウザにアクセスするとブルックスのECサイトにアクセスされる。
ブルックスでは、「ペイパル」の利用を促進するため、2015年1月31日まで店舗のWi-Fiを利用してECサイトにアクセスすると、キャンペーン価格で購入できる商品を用意している。
ペイパルアカウントを持っているユーザーは、商品購入まで数クリックで完結する簡単な仕組みになっているという。
ペイパル活用は訪日観光客の活用促し、海外向けECの強化が狙い
「ペイパル」を活用したオムニチャネルは顧客の利便性向上のほか、訪日観光客の「ブルックス」利用を高める狙いがある。
多言語対応した自社の海外向けECを本格スタートとしているブルックスの海外会員数は約5万人。2014年中に海外3店舗目のリアル店を出店する計画もあり、ブルックスは成長戦略の一環として海外向け販売をあげている。
「ペイパル」は203の国と地域のユーザーが利用し、100の通貨が対応、26通貨に口座が対応している。アクティブアカウント数は1.5億で、1日あたりの決済件数は900万件。グローバルで最も利用されている決済手法で、多くの外国人の利用が見込まれる。
東京オリンピックの開催などで今後、外国人の訪日観光の増加が見込まれる。ブルックスは訪日観光外国人にアプローチしたり情報発信する拠点として実店舗を活用し、海外向け販売の強化につなげる狙い。
ブルックスはすでに多言語対応できるスタッフを配置し、対応できる言語をバッジで示す施策を進めている。
今のところ、店舗に来訪するお客の2割が外国人。今後はスマホやタブレットから追加注文や支払いを可能にする次世代のセルフ方式カフェの創設など、新たな支払いサービスの実現を目指すという。