口コミラボ 2021/7/5 8:00

Google 検索やGoogle マップで位置情報を有効にして「レストラン」と検索したり、「地域名+ホテル」といった "場所"の情報を含むキーワードで検索したりすることを「ローカル検索」と呼びます。

近年、ローカル検索で得た情報をもとに、店舗の公式サイトなどを見ずに来店する人が増えてきたといい、ローカル検索で表示されるビジネス情報を管理できるGoogle マイビジネスの重要性が高まっています。

そこで本記事では、Google マイビジネスの重要性や、Google マイビジネスを使ってやるべきことについて、詳しく解説していきます。

関連記事:基礎から学ぶ「Google マイビジネス」まずは店舗を登録して集客につなげよう

Googleマイビジネスを重視すべき最大の理由。それは"集客効果が高い"から

今、Google マイビジネスが重要であると考える理由は以下の5つです。

  1. Google マップの集客効果が高い
  2. ゼロクリックサーチの台頭
  3. ZMOTへの転換
  4. 新型コロナウイルスの流行
  5. Googleマップの店舗情報は、ユーザーの提案により「作成」「修正」されることがある

なかでも最大の理由は、1つ目の「Google マップの集客効果が高い」ことだといえます。

では、Google マップの集客効果について、他のサービスと比較しながら解説します。

ナビゲーションアプリのなかで、Google マップの利用者数が圧倒的に多い

施設を探したり、目的地までの場所を調べたりできる「ナビゲーションアプリ」のなかで、Google マップの利用者数が最多となっています。

アメリカ国内の511名を対象としたTHE MANIFESTによる2018年のアンケート調査によれば、スマートフォンユーザーの77%が定期的にナビゲーションアプリを使用しており、そのなかでもGoogle マップが67%と最も多く利用されています。

2位のWaze(12%)、3位のAppleの「マップ」アプリ(11%)の6倍近く利用されているということです。

日本国内のデータとしては、ニールセンによる2020年5月の調査があります。これはニールセンが独自にデジタルコンテンツの視聴状況を計測し、発表したものです。

それによると、Googleマップの月間利用者数(PCとモバイルの重複を除いたデータ)は、4,717万人で最多となっています。こちらもNAVITIMEの1,189万人、Appleの「マップ」アプリの1,099万人を大きく引き離しており、国内でもGoogleマップは多くのユーザーからの支持を得ていることがわかります。

Googleマップ 利用者数 最多
▲Googleマップの利用者数が4,717万人と最多:ニールセンのレポートより、口コミラボ編集部スクリーンショット

Google マップの利用者数は他のアプリよりも圧倒的に多いため、最適化することでより多くの人にリーチできるといえます。

Googleマップが多くの人に利用されている理由:Googleでお店を探しやすくなったから

Google 検索やGoogle マップを利用する人が多い理由はいくつか考えられますが、店舗や施設を検索する際にGoogleが便利だから、というのが大きな理由の一つでしょう。

Googleで店舗の検索がしやすくなったのは、位置情報、場所+キーワードといった「ローカル検索」をGoogleが重視するようになったためです。

たとえば「レストラン」というキーワードで検索する人は、通常「レストラン」という言葉の意味や関連するニュースを知りたいというわけではなく、レストランに行き、食事をしたいと考えているでしょう。

検索結果 変わった
▲昔の検索結果イメージと今の検索結果を比較。今はサイトをクリックしなくてもお店を選べるほど情報が充実している:口コミラボ編集部作成

以前は検索エンジンでこのような検索をしても、言葉の意味やニュースが表示されたり、口コミサイトの情報が表示されたりと、検索結果だけでは詳しい情報がわかりませんでした。結果、口コミ・予約サイトにアクセスし、その中でお店を探すという人が多かったはずです。

しかし、Googleがこのニーズに気づいたことで、店舗や施設に関連するキーワードで検索された場合に、ユーザーの位置情報などをもとに近くの店舗・施設の情報を優先的に検索結果へ表示するようになったのです。

さらに、店舗だけでなくユーザーやGoogleが情報を追加できるため、情報がより充実するようになりました。

このようにGoogleで行きたいお店を探しやすくなった上に、お店を見つけた後は電話番号や予約用URLから簡単に予約でき、Google マップを開けばお店までの道もわかります。

Google マップの集客効果が高いのは、お店を見つけやすいことと、見つけた後の利便性が高く、離脱しづらいことだといえるでしょう。

Googleマップは「ローカルSEO」の主戦場

ローカルSEOとは、「ローカル(Local)=地域の」と「SEO(Search Engine Optimization)=検索エンジン最適化」を合わせた用語で、位置情報を有効にした検索や地域名を含むキーワードでの検索といった、"場所"の情報を含む検索に最適化することを指します。

Google マップのほかにローカル検索ができるマップエンジンとしては、Yahoo!MAPやiOSのマップなどがあります。

しかし、Yahoo!JAPANの検索エンジンであるYahoo!検索では、まだローカル検索への対応が十分ではないようです。

「レストラン」と検索すると、Google 検索では近くのレストランの情報が表示されるのに対し、Yahoo!検索では口コミサイトのまとめページやWikipediaが表示されます。Google 検索でお店を見つけてからGoogle マップに移動し、お店までの経路を調べるという方法は、Yahoo!JAPAN系列のサービスではまだ難しいのかもしれません。

Yahoo!検索 Google検索 比較
▲「レストラン」と検索した場合の、Yahoo!検索とGoogle検索との検索結果比較:口コミラボ編集部作成

Appleの「マップ」アプリもGoogle マップの機能に近づいてきていますが、Apple版Google マイビジネス「Apple Maps Connect」に登録できる情報が少なかったり、固有の口コミ機能がなく外部サイトの口コミがそのまま掲載されたりといった機能面の不足がみられるようです。

また、先述の通りユーザー数もGoogle マップが最多となっています。

そのため、現時点ではローカルSEOの主戦場はGoogle マップだといえます。地図サービスの中でもGoogle マップ向けの施策に注力することで、効果的な集客をねらえるのです。

今、Googleマイビジネスを活用"しなければならない"理由

そうはいっても「別にうちは集客できているし、時間をかけてまでGoogle マイビジネスの管理なんてやりたくないよ」という人もいるかもしれません。

ですが、Google マイビジネスの活用には、"した方がいい"ではなく"しなければならない"理由があるのです。

ここからは、先に挙げた5つの理由のうち、残る4つを解説していきます。

  1. ゼロクリックサーチの台頭
  2. ZMOTへの転換
  3. 新型コロナウイルスの流行
  4. Googleマップの店舗情報は、ユーザーの提案により「作成」「修正」されることがある

1. ゼロクリックサーチの台頭→情報の正確性が重要に

ゼロクリックサーチとは、ユーザーが検索結果の最初の画面から欲しかった情報を得て、何もクリックせずに検索行動を終了することを指します。

このゼロクリックサーチの台頭で、「Google上の店舗情報を見ただけで行動する」人が増加しました。

ゼロクリックサーチで表示されるSERPs(検索結果)、ナレッジパネルローカルパックから欲しい情報を得て行動できるので、お店の公式サイトを訪問したり電話をかけたりといった行動が少なくなったといいます。

そのうちナレッジパネルは、検索した際に右側に表示されるサマリー情報を指します。単に言葉の意味を調べた場合も表示されますが、企業・店舗の名前で検索するなどすると、Wikipediaや企業のビジネス情報が詳しく表示されます。

ナレッジパネルとは
▲ナレッジパネル:口コミラボ編集部スクリーンショット

ローカルパックは、ローカル検索に該当する検索を行った際に、3つ程度の店舗情報が画面中央に並んで表示されるものです。飲食店を検索した場合などに、検索条件に合った近くのお店をGoogleが勝手に選んで表示してくれるため、いくつもサイトを見てお店を比較するといった苦労がなくなります。

ローカルパックとは
▲ローカルパック:口コミラボ編集部スクリーンショット

このように、わざわざサイトを見に行かなくても店舗に関する大まかな情報がわかってしまいます。アメリカでは、2019年6月時点で50%以上の検索がゼロクリックサーチになっているというデータもあります。

そのため、公式サイトなどで正確な情報を提供していたとしても、ゼロクリックサーチで表示される情報が間違っていた場合、その間違った情報をもとにユーザーが行動することになります。営業時間が間違っていれば閉店時間に来てしまうかもしれませんし、住所が間違っていればお店にたどり着けないかもしれません。

ゼロクリックサーチで得られる情報の正確性、最新性が重要になってきているのです。

2. ZMOTへの転換:顧客が何を買うのかは、来店前にすでに決まっている

「ZMOT(Zero Moment of Truth)」とは、2011年にGoogleが提唱したWebマーケティング理論で、「顧客が何を購入するのかは、来店前にすでに決まっている」というものです。

P&G社が2004年に提唱した「FMOT(First Moment of Truth)」は、「店舗に並べられた商品を見て数秒で購入するかどうか判断する」という理論でした。その次の段階として、購入後の満足度向上や継続的な情報提供によるリピーター獲得の重要性を説く「SMOT(Second Moment of Truth)」という理論もあります。

それに対しZMOTは、インターネットの普及に伴う来店前の情報収集の重要性を指摘しており、実店舗でもインターネット上での情報発信に取り組むよう促しています。

Googleの調査では、ZMOTの段階が最も商品の購入に影響を与えたという結果が出ています。

ZMOT 重要性 グラフ
▲ZMOTの段階で得た情報により購入を決めたという人が、84%で最多:Winning the Zero Moment of Truth eBook (2011)より、口コミラボ編集部スクリーンショット

※「Stimulus」は、テレビCMや新聞広告、口頭での口コミなど、商品を知るきっかけを指します。

ZMOTは、StimulusやFMOTの段階と同じくらい重要だと指摘しています。

また同調査では、ZMOTの段階で検索エンジンを使って情報収集する人が多いことも示されています。

ZMOT 検索エンジン 重要性
▲ZMOTの段階で情報収集に使うツールは、検索エンジンが50%で最多:Winning the Zero Moment of Truth eBook (2011)より、口コミラボ編集部スクリーンショット

Google 検索などの検索エンジンを使って来店前にお店の情報を得る来店客に対し、どこまでお店の商品やサービスをアピールできるかが重要だといえます。このことからも、Google 検索の検索結果に表示される店舗情報の重要性がわかります。

3. 新型コロナウイルスの流行:「安全・安心」のアピール、イレギュラーな営業を伝える必要

2020年の新型コロナウイルスの流行は、デジタル化に拍車をかけました。先5年の進歩を先取りしたとも言われており、消費行動はオフラインからオンラインへと移行しています。

たとえば飲食店の場合、オンライン上でデリバリーを注文できる「UberEats」「出前館」「menu」などのサービスが急激に広まりました

さらに、営業時間の短縮要請や席数の制限など、通常と異なる営業になることが増えたことで、営業時間のお知らせや事前予約の受け付けなどをWeb上で実施している店舗も増えたと考えられます。

また、新型コロナウイルスの流行により「安全・安心」を求める人が増えたことで、事前に店舗情報を調べてから来店する人も増加しているのではないかと考えられます。

店内の感染対策など知りたい情報を確実に届け、来店前の不安を取り除く必要があります。

Web上の店舗情報を管理する・オンライン上でのサービスを拡充するといったことは、いまや欠かせないものになっているといえるでしょう。

4. Googleマップの店舗情報は、ユーザーの提案により「作成」「修正」されることがある

Google マップのビジネス情報は、Google、Google マップのユーザー、そしてビジネスオーナーの三者によって作られています。これは、Googleが「CGM(Consumer Generated Media)=消費者が生成するメディア」であることを推奨しているためです。

Googleマップ ビジネス情報 ユーザー オーナー Google
▲Google マップのビジネス情報は、Google、Google マップのユーザー、ビジネスオーナーの三者によって作られている:口コミラボ編集部作成

そのため、オーナーでなくても店舗情報をマップ上に登録できます。オーナーが知らない間に自分の店舗が登録されていて、店舗名や営業時間といった基本的な情報が掲載されるほか、口コミが集まっているということもあり得ます。

さらにGoogle マップでは、ユーザー側が店舗情報に対して「修正の提案」ができます。これをGoogleが承認すれば、店舗情報が書き換えられてしまいます。もちろん善意で修正を提案するユーザーもいますが、なかには何度も店舗名を誤ったものに変更するといった悪質なユーザーもいるようです。

また、Googleが独自に収集した情報も掲載されますが、Googleが収集した情報の中にも誤った情報が含まれている場合があります。

このように、Google マップ上の店舗情報には、オーナーが登録した情報と違った情報が掲載されることも多く、マップ上の情報は100%正しいものになっているとは限りません

そのため、ビジネスのオーナーはGoogle マイビジネスのオーナーとして登録して、自ら情報を修正するとともに、新しい情報を更新していかなければならないのです。

関連記事
Googleマップの店舗情報、「誰でも勝手に書き換えられる」って知ってた?
「宿の怒りが伝わる」"☆1 口コミ"への返信が話題:口コミ返信の重要性

Google マイビジネスを使えば、ユーザーに店舗情報を簡単に伝えられる

ここまでをまとめると、

  1. ユーザーはGoogle 検索やGoogle マップを使って、事前に店舗の情報を調べてから来店する→Google上に店舗情報を登録する必要がある
  2. Google上の店舗情報はオーナー以外によって作成されたり、書き換えられたりする→まずは情報を登録するというのが必須だが、その後も管理していく必要がある

ということになります。

本記事では主に「Google マイビジネスを使わないデメリット」について書いてきましたが、これらは言い換えれば「Google マイビジネスを使えば、Googleのユーザーに店舗情報を自ら伝えられる」ということでもあります。Google マイビジネスを効果的に運用し、店舗集客に活かしていきましょう。

この記事を書いた「口コミラボ」さんについて

「口コミラボ」は、様々な地図アプリ・口コミサイトの監視、運用、分析を一括管理できる店舗向けDXソリューション「口コミコム」が運営する店舗ビジネス向け総合メディアです。近年、企業の評判管理が重要視されるなか、特に注視すべきGoogleマイビジネスを活用したローカルSEO(MEO)や口コミマーケティング、それらを活用した集客事例から、マーケティング全般、店舗経営のハウツー、業界動向データにいたるまで幅広い情報を紹介します。

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]