中川 昌俊 2014/12/5 6:00

商品を受け取った後にコンビニなどで代金を支払えるサービスを代行する事業者が増えている。2014年9月には佐川フィナンシャルがサービスを開始。今年1月にテスト販売を開始したヤマトグループ(ヤマトフィナンシャルとヤマトクレジットファイナンスの2社で提供)が来春にも本格的にサービスを展開するなど、配送大手2社の動向が注目を集めている。ただ、実際に話を聞いてみると、2社の後払いへの取り組み方は全く異なり、ターゲット、今後の展開なども大きく異なることがわかった。

エンドユーザーが求めるすべての決済サービスを提供/ヤマト

ヤマトグループは後払い決済サービス「クロネコ代金後払いサービス」を始めた理由について、ヤマトフィナンシャル営業戦略部チーフマネージャーの小林展房氏は「後払い決済サービスのニーズが高まっており、ヤマトグループとして、エンドユーザーが求めるすべての決済サービスをEC事業者に提供していく必要もあった」と話す。

また、後払い決済の市場が拡大しており、ヤマトグループとして無視できなくなってきたといった事情もありそうだ。

すでに後払い決済を提供している他社では月額費用0円のプランを提供しているが、ヤマトグループでは月額0円のプランを用意せず、3つのプランを展開。システムを自社内で新たに組み、提供を開始した。

「どんな時に不払いになりやすいかなどのルール作りも新たに行っているので、今年1月の発表後、本格スタートまで時間がかかっている。一気に導入企業を増やすよりも、少しずつ増やしている状況にある」(同)という。

クロネコ代金後払いサービスの料金表

特徴は、宅急便による配送と決済を一気通貫で行える点。請求書を荷物に同梱させて送ることができるのはもちろんのこと、配送情報と連動しているため、別送の場合、商品が消費者の手元に届いた後に請求書を消費者に届けるようになっている。

「他社の場合だと、配送情報と連動していないため、商品が届く前に請求書が先に届いて、購入者を怒らせたということもあると聞いている」(同)。

また、「ヤマト」というブランドネームも消費者の安心につながるという。「今は、全く知らない会社から後払いの請求書が来て、困惑するユーザーも多いと聞いている。配送も支払先もヤマトだと、お客さんは安心して支払える」(同)と話す。

ターゲットは、まずは大手のEC事業者に対して提供していく考え。「中小のEC事業者からも数多くお問い合わせをいただいているので、随時こうした中小事業者への提供も進めていきたい」(同)と話す。

今後は、リアルタイム与信などの機能追加を行う予定。ヤマトグループが手掛ける、他のサービスとの連携も進めていく考えだ。

宅急便の配送状況などを審査に加えることも考えている。これにより、より正確な審査を行えるようになるという。「まだまだ、既存の事業者が提供していることができていないことも多いので、まずは来年度までにこうした差をなくし、ヤマトグループならではの強みを打ち出していければと考えている」(同)。

小林展房チーフマネージャー

他の決済サービス導入や配送の切り替えに活用/佐川

一方、佐川フィナンシャルでは、ほかの決済を合わせて導入してもらったり、配送を佐川急便に変更してもらうためのツールとして後払い決済サービス「SAGAWA後払い」を活用していく考えだ。

システムはすでに後払い決済を提供している他社からのOEMで展開。新たにシステムを組んだり、新たなルールを作ったりする費用は発生していないようだ。

ヤマトグループと同じく、配送を行っている佐川が代金を請求することで、消費者の安心感が高まる点を特徴として挙げる。加えて、価格面でも、他社に負けない料金プランを提案していく考えだ。具体的な料金プランは設定していないため、「事業者の状況に合わせて提案する」(事業担当者)という。

ただ、「各社とも後払い決済だけでは、値引きにも限界がある。当社の場合、配送やシステム、物流代行などグループのほかのサービスと合わせて提案することで、全体としてプラスにつながればいい。導入していただけるEC事業者にもメリットになるので、Win-Winの関係が成り立つ」(同)としている。

今後は、導入事業者の拡大を進めていく。ターゲットは大手のEC事業者。「今までは他社の配送サービスを利用していると、佐川グループ全体で、付き合いがないケースが多い。後払い決済は提案時の反応が良いため、これをきっかけに佐川グループのサービスを知ってもらえるようにしていきたい」(同)としている。

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