通販大手のスクロールの子会社で、EC・通販の支援を手掛けるスクロール360。スクロールが通販を始めてから約60年、スクロール360がスクロールのノウハウを生かして他社の通販物流を代行するサービスを開始してから15年。既存クライアント社数は約100社で、長年EC・通販に携わってきた「安心」「信頼」「実績」が特徴という。EC・通販代行を手掛ける競合企業が出現しても、スクロール360が通販・EC事業者から支持される理由とは――。

通販・EC物流はトラブルの山、それを解決するには経験則と総合力が必要です

「BtoCのEC・通販物流はBtoBなどと異なりノウハウが違ってくる。BtoBなどでは箱単位で配送するケースが多いが、BtoCのEC・通販は1点1点ピッキングし、荷造りして商品を送る手間が出てくる。これにはノウハウが必要です

物流のなかでも、BtoC向け通販・EC物流のノウハウの必要性を説明するのは、スクロール360の高山隆司取締役。高山氏はスクロールが前社名のムトウ時代から通販事業に携わり、現在はスクロール360の営業部門を統括、オムニチャネル推進室長を務める。こうした経験を基に、EC・通販企業が物流部門をアウトソーシングする際に、留意することについて次のように説明する。

アウトソーシング先の企業や作業をするスタッフが、BtoCのことを本当に理解していますか?

例えば、賞味期限のある食品。同じ商品を2つ箱詰めする際、賞味期限が異なる商品を同じ箱に入れることはタブーだ。賞味期限が10月と12月の商品が棚にあっても、先入れ後出しルールに沿ってはいけない。同じ賞味期限の商品を箱詰めしなければならないのだ。高山取締役はこうしたBtoC特有の勘所が山のようにあるため、細かな配慮がEC・通販物流には必要だと説く。

こんなケースも多く発生する。来週の金曜日に期日指定配達の注文に対応するため伝票を先に発行し、来週の木曜日に伝票を商品に貼付し発送したとする。このお客様が後払いを選択しているとトラブルになるケースがある。システムの設定で伝票発行から1週間後の督促となっている場合、商品到着と同時に、後払いの督促が到着してしまうことになる。伝票発行から何日後に督促状が出る仕組みかを理解していないと、伝票の先出しはできないということ。

こうしたことを踏まえ高山取締役は次のように説明する。「BtoC向け通販・ECの物流はトラブルが思わぬところから発生する。スクロールは60年のBtoC物流の経験と対応力を持っている」。

また、長年EC・通販に携わってきたからこそ、顧客の改善提案は欠かさない。スクロール360の改善事例を取り上げてみる

北海道で米の通販・EC事業者は、送料のコスト増に悩んでいた。ヤマト運輸のサイズ別・大きさ別の料金体系変更はさらなら打撃に。そんな環境下、スクロール360に物流業務をアウトソーシングを決断したのは、配送拠点が日本の中心である静岡県浜松市ということだけではない。

米を通販・ECで購入する人は、精米されたばかりのものを求めている。スクロール360はこの需要に応えるため、浜松市にある精米工場での精米を提案。翌日配達エリアを拡大するとともに品質を下げることなく、送料のコストダウンにつなげた。

こんな事例もある。ある物流倉庫で800坪のスペースを使っていた通販・EC事業者に対し、スクロール360であれば半分の400坪で行えると提案。通販・ECに長く関わったノウハウを生かし、ロケーションの変更などで効率的に物流業務が行える仕組みを構築した。加えて、回転していない不良在庫リストを報告し、経営者に在庫意識の改善を求めた。物流面積を縮小しながら、在庫回転率を引き上げるといった業務改善も行った。

「1社1社、取扱商品ごとに対応し、業務改善を提案する内容は異なる」と高山取締役。固定価格の低額物流サービスの台頭にも焦りはない。

「物流倉庫は簡単には変更できない。10年以上お付き合いするというのもざらで、そうなると価格だけ提案はできない。そのため、企業ごとに改善できることがあるので、1出荷あたり●●●円のような固定金額での提案はしていない。なぜなら、パートナー企業の販売する商品や売り方は変わっていくから……60サイズの箱で収まる商品しか展開していなかったネットショップが2年後に160サイズの商品ばかり売れるようになったり、1オーダー1点の販売中心だった事業が、5点よりどりの販売ばかりになったりし、1出荷●●●円では対応できなくなる可能性がある。それよりも販売方法や商品展開がかわる時に、物流パートナーとして、最適な提案をしていったほうが、結果的にネットショップのためになると考えているからだ。最適な提案とは、配送コストだけでなく、顧客サービス・在庫・梱包形態まで含めて、トータルで新しい商品・販売方法に合った選択肢を提案することだと思っている」。

ちなみに、スクロール360では新たなWMS(倉庫管理システム) を開発中。システムで滞留在庫点数と在庫回転率がグラフで可視化できるようにするという。

スクロール360の高山隆司取締役

通販・ECに携わること33年の高山取締役

後払いと物流代行のシナジーがコスト減と売上高増を導く

スクロール360は2013年、「後払い.com」を運営するキャッチボールと資本業務提携を結んだ。スクロール360と「後払い.com」を同時利用している企業では、コスト削減と売上高増加のシナジー効果が上がっているという。

通常、後払い決済を導入すると、カードや代引き決済を嫌がる消費者の利用が見込め、売上高増加につながる。スクロール360でも「導入企業では、導入前後で売り上げは1.2~1.3倍に増えている」と高山取締役。

売り上げ増だけではない。通常、後払いを導入する企業では、請求書を郵送するコストが発生する。だが、スクロール360は「後払い.com」と提携したことで、物流面でも連携。請求書発送費用のコスト削減ができるというメリットもある

3PL業者では日本初、コスメ・サプリ通販・EC専門の物流倉庫をオープンへ

物流センターがあるスクロールロジスティクスセンター浜松西に、化粧品やサプリメントを取り扱う物流センターを新設し、2015年3月に稼働を始める。

保管量は現在の約4倍。一般的にコスメ・サプリメントのEC・通販を手掛ける企業は、原価を下げるために大きなロットで商品を生産する。そのため、大量の在庫を抱えることになり、複数の物流倉庫に在庫を預けるケースが多いという。

新センターの名称は「コスメティクス・サプリメント通販専用物流センター」。新たな物流倉庫では在庫を1か所に集約する規模のスペースを用意。分散することでコスト増になっていた保管料の削減に寄与できるという。

同センターでは「化粧品製造(包装・表示・保管)」「医薬部外品製造(包装・表示・保管)」を行う施設を整備。品質表示ラベルの貼り付け、トライアルセット作りなどの要望にも対応する。

リアルタイムの作業進捗管理のほか、クライアントへの迅速な情報共有と最適な要員配置が実現できる仕組みを導入。専門性を持った付加価値を提供するという。正確性、リードタイム・商品品質維持・衛生管理・セキュリティ管理で高い物流品質を提供し、出荷処理能力の30%向上を目指す。

センターの新設についてスクロール360の高山隆司取締役は、「化粧品・健康食品のリピート通販企業の売上アップに貢献できるセンター。出荷効率と物流コスト改善とリピート率を高める同梱物制御を完備し、事業拡大を応援する」と意気込みを語っている。

「コスメティクス・サプリメント通販専用物流センター」の外観イメージ

「コスメティクス・サプリメント通販専用物流センター」の外観イメージ

【物流サービス概要】

エリア物流センターの数8拠点
物流センター所在地静岡県など
対応できる通販企業の所在エリア全国
自社の営業拠点があるエリア東京・静岡県浜松市
特徴最も得意とする商材化粧品・健康食品
物流センターの総面積5万490㎡
※2015年1月に8910㎡増床予定
契約中の物流センターの面積4万4550㎡
契約可能な月間最低出荷個数1000個
メーンターゲットと想定している
EC企業の出荷規模(月間出荷個数)
3000個
年間の総出荷個数(通販荷物に限る)850万件
現在の物流サービスの提供社数
(契約中の企業に限る)
約100社
主なクライアント(3社まで)生活総合サービス
桃源郷
北国からの贈り物
対応商品冷蔵対応の可否
冷凍対応の可否
定温管理の可否
大型商品の取り扱いの可否
化粧品製造業免許の有無化粧品製造(包装表示保管)を保持
医療機器製造業免許の有無△(高度管理医療機器販売は有)
医薬部外品製造業免許の有無医薬部外品製造(包装表示保管)を保持
発送対応配送業者佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便
メール便の取り扱い○(郵政/ゆうメール、ヤマト/メール便など有り)
当日お届け便の対応可否関東拠点にて検討中
あす楽、あすつく対応の可否
海外配送可否
対応エリア多い地域は近隣アジア、欧米
使用便名EMS
夜間作業の可否×
休日作業の可否
365日出荷対応の可否○ 
システム使用在庫管理システム基本的にスクロール360オリジナル
WMSの提供の可否○ 弊社管轄倉庫内は基本的にスクロール360オリジナルWMSを使用
※当社が物流作業に関与しない他倉庫への貸し出し提供は不可
発送完了メール送信の可否○ 
バーコード管理の可否○ 
デジタルピッキングの可否△(案件に応じて必要であれば検討)
追加サービスオリジナル段ボール提供の可否
商品撮影の可否
採寸サービスの可否
ハンガー保管の可否
ギフト包装、のし対応の可否
福袋・セット商品の作成の可否
緩衝材提供の可否
検針サービスの可否
検品サービスの可否
返品商品への対応の可否
コールセンターの提供の可否
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瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

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