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楽天は11月13日から、楽天市場に出店する店舗が消費者に提供する銀行振込先として、楽天銀行を指定する仕組みを開始した。現在、順次店舗への導入を進めている。楽天は、消費者に対してより安心して楽しく買い物をしてもらうための取り組みを推進しており、銀行振り込みの振込先を「楽天銀行 楽天市場支店」に統一するのもその一環。詐欺サイトなどからユーザーを保護するための施策としている。具体的な仕組みや、出店者へのメリット、デメリットについてメディアプランニング統括 兼 楽天市場事業編成部長 兼 楽天市場品質向上委員会委員長の河野奈保執行役員に聞いた。

河野 奈保 氏

取引銀行を楽天銀行に一本化するわけではない

――消費者が銀行振り込みを決済として選んだ際に、楽天市場店のすべての店舗で、「楽天銀行 楽天市場支店」に振込先を統一していくということですが、その仕組みはどうなっていますか。

今回変更したのは、消費者からの銀行振り込み先として、それぞれの店舗に「楽天銀行 楽天市場支店」の振込専用口座を設定し、その口座に振り込んでもらうという点です。出店者との関係では、楽天がお預かりした商品代金を、それぞれの店舗が指定する銀行の口座に振り込む形をとっていますので、取引銀行を楽天銀行に一本化するわけではありません。代金の指定口座への振込みは、指定口座が楽天銀行の場合、翌営業日に振り込まれ、他行の場合、毎月10日、25日の2回の振り込みとなります。こうした通常の振り込みに関しては振込手数料はかかりません。ただ、他行を指定して日次の振り込みを希望される場合は、別途振込手数料が必要になります。今回の取り引き形態の変更に関しては、事前に法務にもしっかりチェックしてもらい、問題ないとの回答をもらっています。

――これまで出店者への説明はどのように行ってきたのですか。

今回は規約の変更となりますので、楽天が考える安心安全への取り組みや、それに対する料金体系の変更について、冊子でまとめた資料を全店舗に対し、9月8日時点で登録されている住所ならびにメールアドレス宛に送付しています。このなかで、上記のような銀行振り込みに関する変更についても記載しています。冊子については、発送後に、コールセンターのスタッフやそれぞれの店舗のコンサルタントが電話もするように、冊子が届いたかどうかを確認していただくようお願いしています。

――今回、サウンドハウスが、銀行振り込みの変更に反発し、退店することになりましたがどのように考えていますか。

サウンドハウスさんに対しても、9月8日に冊子を送付し、担当者から確認していただくよう、連絡していることを確かめています。ただ、不幸だったのは、ちょうど同じタイミングで当社の担当者と先方の担当者が交代・退職してしまい、先方の方でうまく連絡がされなかったのではないかということです。銀行振り込みの振込先が変わってから気付いたようで、そこから急に説明をしてほしいということになり、退店の意向を表明されました。とはいえ、企業対企業の取引として、しっかり成立していたと認識しています。

――今回の件で、サウンドハウス以外にこうした問題に発展した店舗はありますか。

もちろん、銀行振り込みの仕組みを変えると発表したときには、いろんな店舗から意見をいただきました。ただ、安心安全のため詐欺サイトなどからユーザーを保護するため「楽天銀行 楽天市場支店」の振込専用口座に統一することや、具体的な仕組みについて説明すると、多くの店舗で納得いただきました。サウンドハウスさんについてはカード決済を導入していないことから銀行振り込みの割合が他の店舗よりも高かったことも、変更に難色を示された理由としてあるかもしれません。

全出店者に配られた安心安全の取り組みなどをまとめた冊子

詐欺サイトなどが横行している状況を何とかしたい

――サウンドハウスのお知らせ文を見ると、楽天銀行を促進する狙いがあるという指摘がありますが、これについてはどう考えますか。

決してそんなことはありません。仕組みを見てもらえばよくわかるように、商品代金は一時的には楽天銀行でお預かりして、その後、店舗の指定の口座に入金されるので、楽天銀行に多くのお金がプールされるわけではありません。また、各店舗への振込入金手数料も通常無料なので、むしろこれについてはマイナスになっています。

今回の消費者からの銀行振り込み先の変更については、単純に、ユーザーの安心安全を高めることが狙いです。現在、ネット通販市場全体を見ると偽サイトなどによる詐欺被害が増えています。そうしたサイトのほとんどが、決済として銀行振り込みを指定しています。楽天市場点を真似るサイトの銀行振り込みだけを見てみると、それぞれの店舗で異なった銀行口座を指定している状況になっており、ユーザーから見て、詐欺サイトかどうかわかりにくい状況になっていました。こうした状況を改善するため、楽天市場の店舗のみ口座を持てる「楽天銀行 楽天市場支店」を開設することとしました。楽天銀行にしたのは、同じグループの方がユーザーから見て自然だからです。これを収益につなげるつもりはありません。

――今回の変更による、出店者のデメリットはありますか。

他銀行を振込先にしていて、10日や25日の無料で振り込みができる日程に加えて、日次の振り込みなどを希望される店舗は月最大で数千円の持ち出しになるので、一部の店舗にはマイナスになる可能性があります。また、引き続き各金融機関からの振り込みは可能ですが、地方に拠点があり、「ゆうちょ」で振り込みたいと考えているユーザーに対しては制限がかかってしまうことがあり、売り上げの減少を危惧される店舗がいることは確かです。ただ、楽天市場の決済状況をこれまで長い間見てきたなかではやはり、カードや代引きなどがメインとなっており、銀行振込は、楽天市場においては全体の数%となっています。ゆうちょは銀行振り込みのなかでも一部しか利用されていないため、全体から見ればほんのわずかです。とはいえ、一人でもニーズがあれば、それに対応していくことも大切なので、今後、ゆうちょに対応することも検討していきたいと考えています。今回は、詐欺サイトなどが横行している状況を何とかストップさせたいという考えから、まずは楽天銀行への口座統一を進めたというのが楽天の考え方です。

――今後もAPIの利用無料化、メール配信の完全有料化など大きな変更が予定されています。

今回のサウンドハウスさんの件にしても、当社の説明も完全ではありませんし、誤解されている点も多くあると思うので、今後、しっかり対話をして納得いただけるように努力していく考えです。他の変更についても、すでにお知らせしていますが、わかりにくい点や意見がある点に関しては、まずはそれぞれの店舗担当のECコンサルタントに話をしていただきたいです。われわれとしても、最大限意見を聞いて、今後の改善に生かしていきたいと考えています。

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中川 昌俊

ネットショップ担当者フォーラム編集部

ネットショップ支援会社を中心にEC業界にかかわる企業や人を取材していこうと思っています。

読んで少しでも経営に役立ったり、なるほどと言ってもらえるような記事の執筆を心がけます。

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