マンション内でのスムーズな配送をどう実現する? ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便が管理会社と実証実験
大和ハウスグループでマンション管理など建物管理サービスなどを手がける大和ライフネクストは11月11日から、「マンション内配送サービス」の実証実験を都内のマンションで開始した。
実証実験は、再配達率の削減に向けてマンションの管理員が宅配会社から一括で荷物を受け取り、管理員が宅配会社に代わって戸別配達を行うというもの。日本郵便株、ヤマト運輸、佐川急便が参画する。
分譲マンションでは宅配ボックス設置や置き配の活用など再配達率削減への取り組みが進む一方で、「宅配ボックスの空きがない」「マンションセキュリティ内に入れず置き配ができない」といった課題が顕在化している。居住者側にも「インターホン鳴動から訪問までの待機時間が長い」といった課題があるという。
大東文化大学の清水真人准教授による「2022年度 大手町・丸の内・有楽町地区駐車環境対策協議会フェローシップ研究助成 大規模マンション等における荷さばき(配送)の実態に関する研究」においても前述の課題を指摘。タワーマンションでは、配達員による各住戸への配達時間は1往復に30分程度かかっており、配達数も2往復はしているという。清水はこうした状況を踏まえ、配達員の時間的負担も大きいと指摘している。
「マンション内配送サービス」の具体的な流れは次の通り。
- マンション管理員が宅配会社からの冷蔵・冷凍・代引き・書留含む郵便物・貴重品など一部を除く荷物を全住戸分一括で受け取り。荷物はマンション内に設置する専用倉庫に格納
- マンション管理員が、宅配会社に代わって各戸に荷物を配達。不在の場合は、マンションごとの管理ルール内で宅配ボックス・置き配を活用
- 上記の方法でも配達できなかった場合は、管理事務室の専用倉庫で一時的に保管。管理員の業務時間内であれば管理事務室でいつでも受け取れるようにする。
オートロック付きマンションにおいて、これまで宅配会社がエントランスで配達先一戸ずつにインターホンを鳴らして配達していた荷物を、マンション単位で一括配送できるようにして再配達を削減する。居住者にとっては荷物受け取りにおける利便性・安心感の向上につながり、受け取れなかった荷物もマンション内で保管される。そのため、スムーズに再受け取りが可能となるメリットがある。
マンション管理会社は、管理ノウハウを生かした新たなサービス提供による顧客満足度や居住者の利便性の向上につながり、建物管理サービスにおける新たな付加価値を創出できる。大和ライフネクストは管理員が配送業務の一部を担うビジネスモデルの構築により、収益増加と社会課題への貢献につなげたい考え。
実証実験は2025年1月末までを予定。東京都中央区内の約200戸の分譲マンションで実施する。配送管理アプリを開発中としており、管理員は大和ハウスグループが開発中の専用アプリを使用し「宅配会社からの荷物の受け取り」と「居住者への荷物の配達」の記録を行うとしている。
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