Digital Commerce 360[転載元] 11/14 9:00

Amazonは2024年のホリデーシーズン、3Dウォークスルーの「Beyond」を通じて、ショールームにいるようなショッピング体験を提供する仮想ショッピングモールを展開します。有識者は、仮想空間を切り口としたAmazonの挑戦は長期的スパンになると見ており、将来的な買い物体験の向上につながると分析しています。

2024年のホリデーシーズンはバーチャルショッピングで販促

Amazonは、仮想ショールームを備えた、没入型の新たなショッピング体験を顧客に提供。仮想ショールーム「Beyond」の3Dテクノロジーを活用したバーチャル ホリデーショップを展開し、ホリデーシーズンの集客を図る予定です。

このバーチャルショップの特長は、厳選されたホリデーギフトのラインアップ、ユーザーが楽しめるインタラクティブなコンテンツ、陽気な音楽やアニメーション、魅力的なビジュアルです。

「Amazon Beyond」のバーチャルホリデーショップ
「Amazon Beyond」のバーチャルホリデーショップ

Amazonが展開するバーチャルホリデーショップの一部には、玩具店もあります。玩具店では、LEGO、子供用粘土を取り扱うPlay-Doh、Disneyなどの人気のおもちゃを特集しています。

バーチャル上で商品発見の機会を提供

幹部の1人である、Amazonの北米マーケティング&プライムテック担当副社長のカルメン・ネスタレス・プレゲスエロ氏は、新機能の仮想ショールームがショッピング体験に与える影響をとてもポジティブに捉えています。

Amazonは常に革新的なイノベーションに取り組み、お客さまのショッピング体験向上にこだわり、簡単かつ楽しく商品を見つけられるようにしています。お客さまを新たな没入型体験に導くバーチャルホリデーショップで、お客さまはこのシーズンに最も注目されている300以上のギフトや玩具を閲覧することができます。(プレゲスエロ氏)

Amazonの今回の取り組みは、Walmartが2024年初めに開始したバーチャルショッピングプラットフォーム「Walmart Realm」に続くものです。WalmartはAmazonと同等のバーチャルショッピングの提供に挑戦すべく積極的に活動しています。

「Walmart Realm」のイメージ動画(動画はWalmartのYouTubeアカウントから )

Amazonのバーチャル進出は長期的な挑戦

Amazonの最新のバーチャル技術の取り組みについて、すべての専門家が進出を楽観的に捉えているわけではありません。

マーケティングオートメーションプラットフォームOmnisendの上級Eコマースエキスパートであるグレッグ・ザコヴィッチ氏によると、Amazonは仮想空間でのショッピングで長期戦に挑んでいると見ています。

Amazonがこのような形式のストアを立ち上げたのは、今回のホリデーシーズンが初めてではありません。Amazonは、仮想ショッピングモールを売上アップのためというよりは、サイト上でのユーザー行動のデータ収集、ユーザーに商品を提案する手法の1つとして利用しているのではないでしょうか。(ザコヴィッチ氏)

Amazonはこれまでにも「Amazon Beyond」で仮想ショールームを提供してきた(画像は編集部が「Amazon Beyond」トップページからキャプチャ)
Amazonはこれまでにも「Amazon Beyond」で仮想ショールームを提供してきた(画像は編集部が「Amazon Beyond」トップページからキャプチャ)

しかし、ザコヴィッチ氏は「仮想モールでのショッピング体験は、ユーザーにとって気になる商品に出会うことを促進できるほどスムーズにはいかないと考えている」と付け加えます。

ザコヴィッチ氏はむしろ、このバーチャルショップはAmazonにとって何がうまくいって、何がうまくいかないかを試すチャンスであり、そこから学び、調整を繰り返して、将来のショッピング体験をより良いものにしていくだろうと想定しています。

ザコヴィッチ氏は『Beyond』内での検索結果「父親へのプレゼント」や「祖父母への贈り物」を例に挙げ、「よりスムーズで統合された検索機能とカテゴリー機能が必要でしょう」と指摘しています。

バーチャルショップは今後数年間は人気が出るかもしれませんが、残念ながら『Beyond』が主流になることはないでしょう。(ザコヴィッチ氏)

日常的に気になる商品を見つけられる場をめざす

ザコヴィッチ氏は、Amazonはバーチャル市場で長期的な挑戦をしていると見ています。「ユーザーのサイトUI・UXの好みを理解し、ユーザーが日常的に関心の高い商品を発見できるような仕組みを体験の一部にする方法を模索することも、Amazonの挑戦の1つです」(ザコヴィッチ氏)

Amazonは顧客に対して、オンライン上でのユーザー行動のデータ蓄積と、「目的の商品だけでなく、新たな商品に出会う場でもある」とう意識改革をすることが必要であるとザコヴィッチ氏は指摘しています。

Amazonのユーザーは、何かを必要としていて、それを見つけるためにサイトを訪れる人がほとんどです。そのため、今まで意識していなかった新たな商品の発見はほとんど行われていないのです。(ザコヴィッチ氏)

それでもザコヴィッチ氏は、このバーチャルショップは、特にホリデーシーズンにおいて、商品が発見できるECプラットフォームを構築するための一歩だと考えています。

Amazonはホリデーシーズンで毎年、おもちゃを特集したカタログを発行し、ユーザー向けに発送して、新商品を見つける機会を提供しています。私にはちょうど数週間前に今年のカタログが届きました。デジタルでも同じく、新商品の提案に挑戦し、買い物体験を最適化し続けることは理にかなっているといえるでしょう。(ザコヴィッチ氏)

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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