スクロール360の「物流本」 ダイジェスト

ネット通販の勝ち組と負け組。分かれ道は「物流への取り組みの差」

急速に拡大しつつあるネット通販市場をおさらい

高山 隆司

2015年3月24日 9:00

この記事は『ネット通販は「物流」が決め手!』(ダイヤモンド社刊)の内容を、特別に公開しているものです。

いまなお高い成長率

よく知られるようにここ10年、ドラッグストアやコンビニと並び小売業でもっとも成長を遂げたのが、通信販売業である。

日本通信販売協会の推計では、2013年度の通信販売の市場規模は対前年度比6.3%増の5兆8600億円であり、特にネット通販の伸びがけん引している。

最近、ドラッグストアは出店ペースの鈍化で成長率が低下、コンビニも既存店では売上の前年割れが続くなど頭打ち傾向にあるが、ネット通販だけはまだまだ高い成長率を維持している。

現在、ネット通販市場ではアマゾンや楽天、ヤフーなどの総合サイト(仮想モール)を頂点に、総合サイトに出店する個人商店、特定の商品ジャンルに特化した専門サイト、さらには大手メーカーや大手小売チェーンの自社サイトなどが競い合っている。 

消費者にとってネット通販は、自分の都合のよい時間に、どんな場所からでも簡単に商品を探して注文できることが最大のメリットだ。ショップごとの価格を比較したり、他の消費者の感想や意見を参考にすることもできる。

小売業の業態別市場伸び率
図表2 小売業の業態別市場伸び率(出典:新日本スーパーマーケット協会「2013年度スーパーマーケット白書」)
通信販売市場の伸び
図表3 通信販売市場の伸び(出典:日本通信販売協会「第32回通信販売企業実態調査報告書」)

また、店舗で取扱っていないようなニッチな商品(ロングテール商品)が買えたり、重たい商品を自宅まで配送してもらえる点なども、消費者に支持されている理由である。

一方、事業者にとってネット通販は実際の店舗を構える必要がなく、場合によっては商品在庫も不要である。極端なことをいえばインターネット上にショップ(サイト)を出すだけでビジネスを始めることができる。個人商店がまず、楽天などのモールへの出店という形でネット通販に積極的に取り組んだのもそのためである。

次第に二極化へ

このようにネット通販の利用者と事業者(ショップ)が相乗的に増え、市場が拡大しつつある中、企業規模の大小を問わず順調に成長を遂げるショップがある一方、少なからぬ資金と人材を投入しながら迷走を続けるショップもあり、最近は勝ち組と負け組の二極化が顕著になってきた。

大きな要因が、物流への取り組みの差である。ユニークな商品、洒落たサイト、工夫されたプロモーションなどを用意しても、効率的な在庫管理と安定した配送ができなければ、「注文したのに商品がなかなか届かない」「届いたけどパッケージがつぶれていた」などということになりかねない。

「物流って出荷業務のことだろう」「空いた時間にみんなでやっちゃえばいい」といったとらえ方では、顧客の信用とショップのブランド価値はあっという間に失われてしまう。

逆に、物流業務の品質を確保し、いろいろな付加価値を加えれば、意外に効率よく他店との差別化を実現することが可能だ。実際、そのことに気付いた少数のショップが先行者利益を享受しているのである。

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