鳥栖 剛[執筆] 9:30

トランスコスモスが実施した「世界8都市オンラインショッピング利用調査2025」によると、国内で「SHEIN」や「Temu」といった中国初の格安ECを利用したことがあるユーザーの割合は23%だった。またソーシャルコマースの利用経験は16%だった。

「SHEIN」や「Temu」などの利用状況

東京では「よく利用している」(8%)「利用したことがある」(15%)で23%が利用経験があることがわかった。国外では利用経験が全体的に高く、ロンドン(70%)とロサンゼルス(63%)、バンコク(60%)の3都市が突出していた。東京とジャカルタでは利用率が低く3割程度にとどまった。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
「SHEIN」や「Temu」などの利用状況は国外では利用経験は全体的に高かった

「SHEIN」や「Temu」などの印象について、総じて好印象を持たれている。8都市共通して「国内で買うよりも安価に購入できる」がトップ。価格以外では購入のしやすさもポジティブな印象を持たれている。

また、「人気ブランドの類似品を安価に購入できる」も一部都市では上位にあがっており、正規品ではないことを把握した上で購入している利用者が一定層いることも明らかになった。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
「SHEIN」や「Temu」などの印象はポジティブな声が多い一方、東京とソウルは品質面の懸念などが目立つ

ポジティブな声も多い一方、東京とソウルでは他都市と比べて品質面への懸念が多い。「思ったほど商品の品質は高くなかった」や「正規品ではないものが届く」などの回答が多かった。

中国発の格安オンラインショッピングサイトが世界中で支持を広げている背景には、単なる価格の安さだけでなく、比較や購入のしやすさといったスピード感、ブランドにとらわれないコスパ重視の価値観の浸透がある。(トランスコスモス グローバル事業統括 アナリスト・萩原雅之氏)

ソーシャルコマースの利用状況

東京を除く7都市ではソーシャルコマースの利用経験が過半数を超えた。特にジャカルタ、上海、バンコク、ムンバイでは約8割と高い割合で利用されている。一方、東京の利用経験の調査結果は16%と他都市と比べて低い。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
東京を除く7都市ではソーシャルコマースの利用経験が過半数を超えた

ソーシャルメディアの利用目的は、8都市共通で「買い物をするため」が上位にあがった。なかでもジャカルタ、上海、バンコクでは買い物目的でソーシャルメディアを利用する割合が高く、8割を超える。

ソーシャルコマースの主な購入先で、特に高い利用率だったのは「TikTok(抖音)」。なかでも上海とジャカルタ、バンコクでの利用率が高く7割を超えた。また、「Instagram」や「Facebook」などのプラットフォームもよく利用されているが、東京では「YouTube」が最も利用されている。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
東京では「YouTube」が最もソーシャルコマースで利用されている

ソーシャルメディアが情報収集の手段から購入の場へと進化しており、特にアジアの新興国では、TikTokやInstagramが検索窓のように機能し、ECへのエントリーポイントとなっている。(萩原氏)

新しいテクノロジーのショッピング体験への関心

没入型AIを活用したショッピングなど、ショッピング体験を向上させる新しいテクノロジーへの関心についても調査した。全体的に関心が高く、なかでも上海とムンバイは回答率が高かった。一方、東京とロサンゼルスでは、新しいテクノロジーを試したくない利用者が一定層存在し、特に東京の関心は低く「試したいものはない」が53%となった。

トランスコスモスの調査 「SHEIN」「Temu」などの中国発格安ECを利用したことがある人は23%。ソーシャルコマースの利用経験は16%
東京では新しいテクノロジーによるショッピング体験への関心度は低かった

関心の高いテクノロジーとして、試着や試し置きが可能な没入型体験、画像認識やレコメンドなどAI活用、仮想空間でのウィンドーショッピングなどがあげられた。一部都市ではライブコマースや音声による対話型コマースなどへの需要が高い。ライブコマースは、ジャカルタと上海、対話型コマースはムンバイでは高い関心が寄せられ、各都市で関心度は5割を超えた。

没入型や対話型といったテクノロジーを通じた購買体験への関心も高まっており、消費者の購買行動は確実に次のフェーズへと移行しつつある。今回の調査結果は、グローバル消費者が安さだけでなく、即時性、手軽さ、体験価値といった複合的な要素を重視しながら、より多様な購買体験を求めていることを明らかにしている。(萩原氏)

調査概要

  • 調査手法:グローバルパネルを利用したオンライン調査、現地語によるアンケート
  • 調査地域:東京(日本)、上海(中国)、ソウル(韓国)、ムンバイ(インド)、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)、ロサンゼルス(米国)、ロンドン(英国)
  • 調査対象者:15歳から49歳の男女、直近1年以内のオンラインショッピング利用(購入)経験者
  • 回収サンプル:320サンプル × 8都市、計2560サンプル
  • 調査実施期間:2025年2月17日~2月25日
  • 調査機関:クロス・マーケティング
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