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ECプラットフォーム「Shopify」が発表した2021年の小売・EC業界のトレンドを予測する年次レポート「Future of Commerce 2021」によると、成長のカギは「若年層」「地域ビジネス」などが握るという。年次レポートは、グローバルで100万人以上のShopify事業者(マーチャント)の集約データに加え、アジア、ヨーロッパ、北米の11の市場、計1万55人の消費者(18歳以上)を対象に実施したアンケート調査から2021年の予測などを示したもの。グローバルと日本の状況から見た5大予測とは?

予測① 若い消費者がビジネス環境を変える

新型コロナウイルス感染症の世界的流行で、消費行動はEコマースにシフトしました。若い消費者層が今後もこの動きを加速させるでしょう。ブランドは自社のオムニチャネル戦略を強化し、SNSの活用に投資、ブランドの信頼性や持続性を証明しなければなりません。(年次レポートより)

日本でもコロナ禍でオンラインシフトが進んだ
日本でもコロナ禍でオンラインシフトが進んだ(画像:Shopify Japan提供)

年次レポートでは、コロナ禍におけるグローバル全体での消費行動の変化を次のように紹介している。

  • 新型コロナウイルスの感染拡大以降、消費者の84%がオンラインで買い物をしている。それに対し、実店舗で買い物した人は65%
  • 実店舗で買い物した人のうち、38%の人は年初と比較して実店舗で買い物する頻度が減ったと回答
  • 消費者の半数以上(53%)は、この半年の間に混雑している時間帯や人混みを避け、46%は対面で買い物することに不安を感じている
  • 消費者の79%は、この先6か月間で定期的にオンラインで買い物するつもりだと答えた一方、実店舗で定期的に買い物すると答えたのは57%

イギリスとイタリアで、新型コロナウイルスのパンデミックが宣言されて以来、オンラインでの買い物にシフトする消費者が最も多くみられました。(年次レポートより)

若い消費者においてオンライン購入へのシフトが目立っている(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
若い消費者においてオンライン購入へのシフトが目立っている(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)

消費者の購買意思決定に関与するものとして、特に若い消費者の間では、「SNS」「サステナビリティ(環境への配慮)」が影響していることもわかった。

独立系小売店から購入する若い消費者層の54%はSNS経由でブランドを見つけています。その割合は、中年層(35~54歳)では 43%、55歳以上では25%です。(年次レポートより)

若い消費者に影響を与えるのはSNSと、環境に配慮した製品(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
若い消費者に影響を与えるのはSNSと、環境に配慮した製品(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)

日本法人Shopify Japanのカントリー・マネージャー Mark Wang(マーク・ワング)氏は、日本人の傾向について次のように述べている。

日本人は世界平均と比べると、サステナビリティや環境対応、企業が寄付をしているかなどへの関心が低く、全体としては26%の消費者しかピンときていないようです。しかし、若い世代(18-34歳)は他のどの世代よりも強い関心を示しており、42%がサステナビリティ、環境に優しい製品であるかに反応すると回答しています。(マーク・ワング氏)

予測② 実店舗の小売販売は転換期、地域ビジネスにチャンスが生まれる

オムニチャネルの機能や購買体験で、実店舗に新たなビジネスチャンスが生まれ、地域の消費者にリーチしやすいことから優位性を確保できます。(年次レポートより)

Shopifyを利用している事業者(マーチャント)では新型コロナウイルス感染拡大から、6週間における実店舗の売り上げロスのうち「94%をオンライン販売に移行できた」という。

その理由について、「非接触型決済」「入店予約制」「新たな受け取り方法と配達方法の提供」などで、「新しい戦略やテクノロジーを通して消費者の購買行動の変化に適応できたから」と説明する。

消費者の62%は、「店舗で買い物する際、デジタル決済または非接触型決済の方が安心する」と回答。また消費者の50%は、「店舗で買い物する際、あらかじめ入店時間を予約したい」としている。

注目したいのは、新たな受け取り方法と配送方法を提供するストアの売上状況。2020年5月から8月までの期間、オンラインで買い物した人のうち、店舗受取(BOPIS)またはローカルデリバリーを選択した人の平均値は次の通り。

  • 購入金額が通常より23%多い
  • カートサイズが通常より25%大きい

また、2020年1月から9月までの期間、オンラインで買い物した人のうち、「配送」を選択した買い物客と比較した場合の平均値は次のようになっている。

  • 店舗受取を選択した人は、コンバージョン率が13%高い
  • ローカルデリバリーを選択した人は、コンバージョン率が19%高い
ローカルデリバリーの利用状況とユーザーの傾向(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
ローカルデリバリーの利用状況とユーザーの傾向(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
BOPISの利用状況とユーザーの傾向(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
BOPISの利用状況とユーザーの傾向(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
指定受け取り場所の利用状況とユーザーの傾向(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
指定受け取り場所の利用状況とユーザーの傾向(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)

予測③ 消費者の「個人経営ストアで買いたい」ニーズに適応していく

消費者は個人経営のストアで買い物したいと考えていながら、結局、利便性の高いマーケットプレイスで購入していると答えています。個人ブランドにとって、見つけられやすくすることとフルフィルメントの充実が成功の鍵となります。(年次レポートより)

消費者の50%は「個人経営のビジネスを支援したい」と考え、65%は「スモールビジネスを支援したい」と回答。57%は「新しく見つけたブランドやストアで買い物してみたい」と答えるなど、世界的に「個人経営ストアで買いたい」ニーズが高まっている。

理由は、「起業家を応援したい」(33%)、「独自の品揃え」(33%)、「カスタマーサービスが優れている」(31%)からという。

一方、新型コロナウイルス感染症拡大以降、実際に「個人経営ビジネスで買い物した」と回答した人は29%に留まるなど、「まだ消費者の気持ちが実際の購買行動には完全に反映されていない」とShopifyは分析。

消費者は、「品揃え」(57%)、「価格が最も安い」(51%)、「信頼できる」(34%)などの理由から大手の小売店やマーケットプレイスで買い物する傾向がある。Shopifyは、「今後はその傾向が変わる可能性がある」と指摘する。

その理由として、「この先6か月もマーケットプレイスで定期的に購入したい」「定期的に大手小売りでの買い物を続けたい」と回答した利用者の割合が、それぞれ下がっていることをあげる。

Shopifyは、大手小売り事業者を利用する消費者の傾向が変わると予測(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
Shopifyは、大手小売り事業者を利用する消費者の傾向が変わると予測(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)

今後、個人経営の小売店が優位性を発揮する上で大事なポイントを3点、紹介した。

1. スピーディーな無料配送

日本人は消費者の世代によって配送に求めていることが異なる(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
日本人は消費者の世代によって配送に求めていることが異なる(画像:Shopify Japan提供)
  • オンライン買い物客のうち59%は、無料配送であればオンラインショッピング体験がよりよいものになると回答
  • 40%が返品無料、34%が迅速な配達がオンラインショッピングをよりよいものにすると回答
  • オンライン買い物客のうち3分の1以上(37%)は、配送に時間がかかると苛立つと回答
  • ほぼ4分の1(23%)は、配送料を追加で支払わなければならないと苛立つと回答

2. 会話型コマース

  • 3月16日から7月1日までの間で「Shopify Ping」(Shopify事業者が顧客とチャットできるメッセージングアプリ)を利用した顧客と事業者間のやり取りは、前年同期比で85%増加
  • 3月16日から7月1日までの間、「Shopify Ping」を使って顧客とやり取りをした事業者の数は72%増加
  • チャットに起因する事業者の売り上げは、同期間に185%増加

3. 購入可能なSNS

3月から4月にかけて、Shopifyのチャネル統合を介したFacebookとInstagram経由の月間アクティブユーザーが36%増加。この傾向は現在も続いている。

予測④ 多くの消費者が消費行動を通じた「意思表示」へ

消費者が地域のビジネスや持続可能な商品を支援する傾向が強まる中、ブランドは信頼性、透明性、説明責任を示さなければなりません。(年次レポートより)

日本の現状を他国と比較すると、日本人の「サステナブル」「環境に配慮した製品」への関心は低い。だが、若年層(18~34歳)に与える影響は過半数に迫る勢い(42%)である。こうしたことを踏まえると、日本人の間でも、消費行動を通じた「自身の意思表示」が浸透していく可能性は十分考えられる。

グローバルで見た場合の関心レベルは以下のとおり。

  • 消費者の53%は、グリーン商品やサステナブルな商品を選ぶ
  • 消費者の49%は、購入のたびに寄付を行う小売業に対し好反応を示す
  • 消費者の23%は、環境負荷を軽減するために地域または個人経営のストアで買い物をしている
サステナブルやグリーン商品にどの程度関心があるか、国別比較データ(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)
サステナブルやグリーン商品にどの程度関心があるか、国別比較データ(画像:Shopifyレポート「Future of Commerce 2021」より)

日本はまだグローバルと比較するとサステナブルやグリーン商品への関心度合いは低いが、「地域ビジネスを支援したい」というトレンドが出始めている。以下は、「消費者が地域に根ざしたビジネス(オンライン・実店舗を問わず)で買い物する主な理由」に対する回答内容。

  • 地域経済の活性化(57%)
  • 地域の雇用創出を支援(41%)
  • 自分のコミュニティに対する投資(35%)

予測⑤ 金融ソリューションが変えるビジネスの在り方

迅速な資本調達、デジタルウォレットによるスピーディーな支払い方法、そして分割払いに代表される柔軟な決済方法のニーズが高まっていくでしょう。(年次レポートより)

「従来の金融機関は、起業家やスモールビジネスが直面する現状に共感を示していない」とShopifyは指摘。

理由として、「銀行または金融機関は私が抱えるビジネスニーズを理解してくれない」(外部からの融資を申請した事業者のうち24%)、「銀行または金融機関は私が抱えるビジネスニーズを理解してくれない」(新型コロナウイルスの影響を受けている事業者のうち36%)といった事業者の不満をあげる。

オンライン決済サービスの利用拡充、従来の銀行以外から融資を求めるビジネスが増えるなど、金融を取り巻く環境が大きく変わるなか、Shopifyはアメリカで「後払い決済が人気を集めている」というトレンドを紹介した。

父親になったミレニアル世代が、「今すぐ購入、後で支払う」決済オプションを最も頻繁に利用しています。特に電子機器など高額アイテムを購入する際に、クレジットカードを使わずに購入できるため、この決済オプションを選んでいます。(年次レポートより)

利用者(米国消費者)の傾向は次の通り。

  • 18~34歳(41%)
  • 男性(56%)
  • 同居する子どもがいる(52%)

また、「世帯収入が多い世帯ほどこの機能(「今すぐ購入、後で支払う」オプション)を使う頻度が高い傾向がある」という興味深い結果も紹介した。

  • 収入が高い、中程度、低い世帯のいずれも25%が、最低でも1回は「今すぐ購入、後で支払う」オプションを利用したことがある
  • 「今すぐ購入、後で支払う」オプションを利用して購入したことのある世帯のうち、高額所得世帯の80%は同オプションを2回以上利用したことがあるのに対し、所得の低い世帯では1回限りと回答
  • 「今すぐ購入、後で支払う」の決済オプションを利用した消費者のうち25%は、このオプションを月に最低3回は利用
  • 「今すぐ購入、後で支払う」を利用して購入されたアイテムの60%は、価格が100~500米ドルのアイテム

調査のアンケート回答者について

11の市場(日本、インド、ニュージーランド、オーストラリア、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、アメリカ、カナダ)に在住の計10,055人の消費者(18歳以上)が対象。

  • 1つの市場につきn=1,000の最小値。ただし、オーストラリアはn=803、ニュージーランドはn=216。
  • 各市場のデータは、調査国の消費者の動向が正しく反映されるように、国勢調査結果に基づき性別および年齢の構成が調整されている。
  • 回答者は2020年9月9日から9月28日の間に回答。
  • アンケートの質問は6か国語に翻訳され実施された。
  • 本レポート全編を通じて、「消費者」と「買い物客」は同じ意味で使われている。
  • 「過去6か月」と「新型コロナウイルス感染拡大以降」は同じ意味で使われており、2020年3月中旬から9月中旬を指す。

ブラックフライデー、サイバーマンデーの総流通総額は約5,340億円

日本は前年比347%増で首位に

マーク・ワング氏は「ブラックフライデー・サイバーマンデーセール(BFCM)」(11月27日~11月30日開催)の結果も紹介。Shopify事業者の総流通総額は、前年比76%増の51億ドル(約5,340億円)以上となった。

特に日本市場の盛り上がりが顕著で、流通総額は前年比347%増と伸び率で首位を記録。平均購入価格も1万1090円(106.40ドル)と、カナダ(103.00ドル)や米国(92.80ドル)を上回り世界首位となった。以下は、全世界と日本のデータ比較。

2020年BFCM:全世界のデータ

  • 4,400万人以上の消費者(2019年比50%増)が、Shopifyを利用した独立系ブランドや消費者直販ブランドから購入
  • BFCM期間中、最高流通額を記録したのは27日(金)の12:00PM(EST)。1時間に1億200万ドル超(約106.6億円)を達成
  • BFCM期間中の1件あたりの平均購入額は、89.20ドル(約9,300円)。国別では日本(106.40ドル=約1万1090円)とオーストラリア(105.50ドル=約1万1000円)で平均購入額が最も高く、カナダ(103.00ドル)、米国(92.80ドル)などを上回った。
  • 最も流通総額の高かった都市は、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドンで、国別ではアメリカ、イギリス、カナダが上位を占めた。
  • 日本(347%増)を筆頭にイタリア(211%増)、ドイツ(189%増)、イギリス(122%増)では、前年と比べて流通総額が3桁の成長を記録した。
  • 商品カテゴリーでは、アパレルとアクセサリーの流通額が最も高く、健康や美容、ホームやガーデニングが続いて高かった。

2020年BFCM:日本のデータ

  • 日本で流通額の多かった地域順:東京都、大阪府、静岡県
  • 日本のカート平均価格:1万1090円(※前年の平均1万227円から増加。全世界の89.20米ドル(約9,300円)を超えた)
  • 最も流通総額の多かった時間帯:19時
  • 日本の消費者がShopify事業者(マーチャント)から購入した割合:260%増
  • 日本でのサイト平均滞在時間:約25分
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公文 紫都

ネットショップ担当者フォーラム編集部

公文 紫都(Shizu Kumon)

通販・EC業界専門紙記者、ITベンチャー勤務を経て2012年に独立。8年間フリーでライターをした後、2020年4月からネットショップ担当者フォーラム編集部に在籍。4年間NYで暮らしていた経験を生かし、海外の展示会取材なども積極的に行っている。猫派。@shidu

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