鳥栖 剛[執筆] 11:00

ユナイテッドアローズ(UA)は11月7日、連結子会社であるコーエンを「マックハウス」を展開するジーイエット(旧社名:マックハウス)へ全株式を譲渡する基本合意書を締結したと発表した。

現在、諸条件について協議を進めており、株式譲渡契約の締結日は12月25日、譲渡実行日は2026年1月31日を予定している。譲渡価額は未定。

株式譲渡契約の締結日は12月25日、譲渡実行日は2026年1月31日を予定している(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

コーエンの2025年1月期の売上高は前期比9.0%増の104億2300万円、営業利益は3億6000万円の赤字(前期は3億3700万円の赤字)、経常利益は3億7600万円の赤字(前期は3億3800万円の赤字)、当期純利益は6億6800万円の赤字(前期は4億2200万円の赤字)だった。総資産は28億3400万円、純資産は38億1000万円のマイナスで債務超過に陥っている。

UAは2008年5月にコーエンを設立。カジュアルウェアを中心としたブランドとして、準都市部や郊外型ショッピングセンターを軸に展開してきた。近年は消費構造の変化が想定以上に速く進み、単体での経営努力だけでは十分な収益改善に至らなかった。ブランドの再定義や商品政策・マーチャンダイジングの見直し、DXを活用した業務効率化などの改革を進めてきたものの、持続的成長には、より広範な経営資源と専門知見を持つパートナーとの連携が不可欠と判断した。

UAはコーエンのブランドポテンシャルを最大限に生かすため、最適なパートナー候補の選定を進めた結果、全国規模でカジュアル衣料事業を展開し、近年ではアパレルおよびウェルネス分野で積極的にM&Aやブランド再編を進めているジーイエットと、その業務提携先であるジーエフホールディングスと協議を重ね、今回の基本合意に至った。

ジーイエットは、1990年にカジュアル衣料小売事業を開始し、全国にチェーン展開を行ってきた旧マックハウスが、2025年9月に社名変更して新たな成長ステージへ移行した企業。既存のアパレル小売事業にとどまらず、デジタル・AI・投資事業を融合させた新たな事業モデルへの転換を進めている。

また、ジーエフホールディングスはアパレル、物流、小売、EC、デジタルの各分野を横断的に展開し、国内外に100拠点を超えるネットワークを有する総合事業体。サプライチェーン最適化、在庫マネジメント、ブランド再生支援などに関する長年の知見と実行力を持ち、ジーイエットとの連携によりコーエンの事業再構築を強力に推進できる体制が整っていると、UAは認識しているという。

UAは、これらの総合的な経営資源とノウハウの活用により、コーエンのブランド競争力強化と持続的成長が見込めると判断し、ジーイエットへの株式譲渡に向けた基本合意書を締結することを決定した。今回の譲渡は、UAが掲げる「選択と集中」方針に基づく前向きな経営判断であり、コーエンに新たな成長機会を提供するとともに、グループ全体として資本効率およびブランドポートフォリオの最適化を進めていく方針だ。株式譲渡後、コーエンは連結子会社から除外される。業績への影響は精査中で、確定次第公表する予定。UAは次期中期経営計画において、トレンドマーケットへのリソース集中を進めるとしている。

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