瀧川 正実 2015/9/7 11:00

無料でECサイトが開設できるECサイト構築サービス「BASE(ベイス)」を運営するBASEが決済代行サービス市場に参入した。9月7日に本格リリースしたオンライン決済サービス「PAY.JP」は、決済手数料3.0%から、という業界最安値水準の手数料で提供。数行のスクリプトを埋め込みで導入できるといった環境を用意し、年商数億円から数十億円EC企業やこれから本格的にネット通販を始めるといった事業者を対象に展開する。「PAY.JP」の特徴とは……BASEの鶴岡裕太社長を直撃訪問。

「PAY.JP」の3つの特徴

  • 決済手数料は3.0%から。初期費用、月額費用ともに無料
  • 開発言語ごとに提供しているライブラリを利用することで導入できる簡便さ
  • 将来的な共通IDの提供

「PAY.JP」の手数料は3.0%から。3.2%前後といった手数料で提供する決済代行会社が多いが、それを大きく下回る。

  • VISA/MasterCard → 3.0%
  • AMEX/JCB/Diners Club/Discover Card → 3.6%

初期費用、月額費用ともに無料で提供。2016年5月末までに導入すると、その期間は月間1000万トランザクションまで決済手数料も無料で利用できるキャンペーンを実施する。

BASEが始める決済事業サービス「PAY.JP」
「PAY.JP」のサービスロゴ

他の決済サービスと比べて、手軽に導入できるのも特徴。「PAY.JP」は自社でECサイトなどに組み込んでもらう開発者向けサービス。「多少のプログラミング知識がないと難しいものの、数行のスクリプトを埋め込めば利用できる」(鶴岡裕太社長)という。

PHPやRubyなど開発言語ごとに提供しているライブラリを利用すると、簡単にカード決済機能を導入できる。

法人・個人問わずに利用することが可能で、複雑なオンライン決済サービスの問題を解決し、導入を圧倒的に簡単にした

セキュリティ面は、BASEとしてクレジットカード業界のセキュリティ基準「PCI DSS」に準拠。安心・安全な決済サービスを提供するとしている。

「PAY.JP」の対象ユーザーは、独自性の高いショッピングシステムやWebサービスなどを提供している事業者。

「BASE」の対象ユーザーではない事業者や個人で、主にスタートアップが対象になります。たとえばBASEから独立してECを展開する企業、これから大きく事業展開していこうとしている企業、新規でECを展開する企業といったところ。

将来的にはオープンID決済で買い物できる環境を作る

BASEが始める決済事業サービス「PAY.JP」②
「決済手数料を明瞭化し、業界に風穴を開けたい」と鶴岡社長は意気込む

「PAY.JP」は、「楽天ID決済」などのように、共通のIDを使ってさまざまなECサイトで買い物をできる環境を作る構想がある。「PAY.JP」を導入しているECサイトでは、「PAY.JP」のIDを使って簡単に買い物できる仕組みを作ることだ。

そんな構想を実現するため、2015年6月に「BASE」のiOSアプリをリニューアルし、Android版アプリの提供を始めた。従来は店舗向けのアプリだったが、それを大幅に刷新。運営者の店舗運営アプリから、消費者が利用するアプリへと様変わりしたのだ。

そのアプリの裏側で動いているのが「PAY.JP」。アプリ内の決済の仕組みはで先行して「PAY.JP」を導入した。つまり、「PAY.JP」を使えば、BASEを利用する17万店舗超において、1つのIDで簡単に買い物できる環境を整えている。

「PAY.JP」を買い物ツールとして利用してもらい、便利だなというネットショップの世界を作っていきたい。

「BASE」のアプリは消費者向けのショッピングアプリに様変わり
「BASE」のアプリは消費者向けのショッピングアプリに様変わり

徐々に収益は拡大しているものの、まだまだ投資フェーズ

「PAY.JP」の提供を始めると初めて公表した2月以降、用意したティザーサイトには、プレオーダーとして2000件の登録があった。ネット企業がメインで、ゲームやWebサービス会社も多いという。

ただ、結局はECからの引き合いが多いと考えており、「ECサービスが引っ張っていく側面が大きいと思う。利用者はECが半分くらいを占めていくのではないか」(同)

最後に、BASEの決済サービス提供開始は、まだ本格的なマネタイズ段階に入った、というわけではなさそう。2016年5月末まで決済手数料を無料にするキャンペーンを実施するため、導入企業を増やすための投資フェーズがまだまだ続きそう。

BASEの収益の大半は、カート「BASE」の決済手数料の一部。17万店舗を超えたユーザーのなかには、月間数千万円も売り上げる店舗が現れるなど、流通額は順調に増えているという

BASEは徐々にだが収益化を進めている。

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