ヤフーの中の人が語る、Yahoo!ショッピング店の売り上げを伸ばす3つのポイント
eコマース革命以降、「Yahoo!ショッピング」の出店者から、「店舗が増えたためアクセス数も売り上げも下がってしまった」といった声が聞かれるようになった。数値を見てみると、出店者は31万店舗(6月末時点)まで拡大、2015年4~6月期(第1四半期)のショッピング関連取扱高(Yahoo!ショッピング、LOHACO、Yahoo!トラベル、デジタルコンテンツなどを含む)は前年同期比21.3%増の1022億円。全体は順調に伸びているのだが、売れている・売れないといった店舗間の格差が広がっていることなどが考えられる。「Yahoo!ショッピング」で売り上げを伸ばすためにはどうしたらいいの? こんな疑問をぶつけにヤフーを訪問した。
売れるヤフー店を作るために知っておくべき3ポイント
「Yahoo!ショッピング」の無料化により、事業主は簡単に出店できるようになり、現在30万店舗以上が店を構えています。「無料だから出してみよう」といった売り上げ規模の大きい企業も増えています。
こう説明するのは白石浩二・ショッピングカンパニー営業本部 東日本営業3部 部長。でも、売り上げ規模の大きいEC実施企業など含めて競合店舗が増えているなか、どうやったら売り上げは伸ばせていくことができるのだろうか。
白石部長は「Yahoo!ショッピング」で売り上げを伸ばすポイントを次のように列挙した。
- 売れる循環を作ることが最重要
- ヤフーのリリースしたサービスを使いこなしたり、企画に乗っかるのがお得(参加無料の企画が多いという)
- アイテムマッチなどを使って売れるサイクルを作り、Yahoo!ショッピング内の検索結果で上位表示されるようにする
白石部長が強調したことは1つ。「売れるサイクルを作る」ということ。そのサイクルを作るための集客企画、ポイントなどを白石部長が説明してくれた。
ヤフーが次々と立ち上げる企画に乗っかって売れるサイクルを作ろう
登録者が1000万人を突破した「Yahoo!プレミアム」会員。「Yahoo!ショッピング」で会員が買い物をすると、常時5倍のポイントを付与する取り組みを2015年3月から開始している。
加えて、スマホアプリから購入すると3倍。Tポイントがたまる年会費無料クレジットカード「Yahoo! JAPANカード」を利用すると常時3倍……。「通常は1倍(お店負担)ですが、最近ではいろんなポイントアップ施策を組み合わせると10倍以上のポイント還元が珍しくなりました」と白石部長は説明する。
確かに、「Yahoo!プレミアム」会員で、Tポイント使っている人にはお得といえる取り組み。だが、白石部長はこんな反省の弁をこぼす。「『Yahoo!ショッピング』で買うとTポイントが付くという刷り込みがまだ十分ではないと感じている」
消費者にとって「『Yahoo!ショッピング』はお得」。価値を利用者に訴求しなければ、ショッピング利用は増えていかない。こうしたことを踏まえ、ヤフーは集客を増やすための取り組みとして、さまざまなチャレンジを進めている。
まず2015年2月に始めたのが、キュレーションECのサービス。ショッピング特化型キュレーションサービス「お買い物まとめ」で、個人のライフスタイルによりマッチする商品との出会いを創出していくもの。
また、2015年4月にはPC版「Yahoo! JAPAN」のトップページ真ん中あたりに、新たなショッピング枠を確保。ヤフオク!とYahoo!ショッピングで販売している商品を、「パーソナライズなどして表示しています」(白石部長)
「Yahoo! JAPAN」のトップページにショッピングの枠を新設
5月にはスマートフォン版の「Yahoo! JAPAN」トップページとスマホ用アプリを全面刷新。トップページのタブに「お買い物」を新設した。「Yahoo!ショッピング」と「ヤフオク!」で販売している商品が表示されるが、掲載ロジックについては「非公開」。「Yahoo!ショッピング」の「人気売れ筋商品ランキング」で載っている商品が多いことから、売れ行きのいいモノが優先的に掲載されていると考えられる。
売れている店舗が取り組んでいる共通点
「Yahoo!ショッピング」では「5のつく日キャンペーン」と題して、毎月5日・15日・25日にTポイントを5倍付与するなどのキャンペーンを実施している。
売れている店舗や、売れるサイクルを作った店舗は、このキャンペーン時に、クーポンを付けたりして、さらにお得感を提供するようにしている。
たとえば、「Yahoo!ショッピング」内の買い回りアップを狙い、2014年7月から開始した優良顧客の優遇および育成制度「ストアスタンプラリー」で毎月実施している特別優待セール。
月に1回のお祭りで、セール商品を出品してもらう企画です。広告で案内したりしたこともありますが、無料化どうかはケースバイケースです。メルマガでこの企画内を自社のお客さんに告知して誘導したり、クーポンを付けたりして、売れるサイクル作りに活用するショップさんは多いです。
60分だけ全品半額・全品送料無料セールなどを行う『It's 買う Time』も最近はすごい反応が高いんです。クチコミ経由で流入してくる人が多いようですね。この企画は無償で案内することが多いので、ショッピング担当者と密に連絡を取り合うことをオススメします。
白石部長によると、こうした企画に乗っかったり、上手に活用しているのは売り上げ上位の企業が多いという。それは、上位企業ほど「ヤフーで売り上げを伸ばすためにはどうしたらいいのか?と考え、いろいろと私どもに聞いてきたり、企画に対して上手に参加したりしています」(白石部長)。
「売れるサイクル」を作れば検索結果で上位表示される可能性が大
白石部長が強調するのは「売れるサイクルを作る」ということ。白石部長はしきりに「売れるサイクル」を口にするが、それには理由がある。
「Yahoo!ショッピング」内の検索サービスでは、検索結果を「売れている順」で表示していたトライ的な取り組みを変更。現在は「おすすめ順」にしている。
「Yahoo!ショッピング」内の検索対策、いわゆる“ヤフーSEO”の肝は明らかにしていないが、「売れている個数」に加え、商品名など「コンバージョンの要素」に関わる箇所の質といった要素が、いまのところ上位表示される重要な点になっているようだ。
ヤフーでも「検索ニーズに応えることができるように、ユーザーファーストという視点で日々チューニングしています」(白石部長)という。
「売れるサイクル」が形成されるようになると、「Yahoo!ショッピング」内の検索結果での上位表示が期待できるようになる。無料企画への参加などを組み合わせていけば、PC版やスマホ版の「Yahoo! JAPAN」のトップページでの露出増加につながる可能性がある。
とは言っても、そうやすやす「売れるサイクル」は作れない。そんな企業に対して白石部長は次のように提案する。
「Yahoo!ショッピング」内の検索結果に広告が出せるアイテムマッチなどを使ってもらえれば、より売り上げが伸びていくと思います。誘導の機会が増え,販売も増加していくでしょう。コンバージョン(CV)の部分は当社ではカヴァーできませんが、送客のお手伝いはできます。広告も利用し、無料企画なども使う。こうして“売れるサイクル”を作ってほしいですね。