ヤフー小澤氏が語る「Yahoo!ショッピング&PayPayの2019年戦略」と「2018年の振り返り」
「Yahoo!ショッピング」は、間違いなく(楽天市場、amazon.co.jp、Yahoo!ショッピングの)3つのモールでもっとも成長している。今年もヤフーはがんばります。
ヤフーが3月1日に開いた「戦略共有会」(「ベストストアアワード2018」の中で実施)で、登壇した“おざーん”こと小澤隆生常務執行役員(コマースカンパニー長 ショッピング統括本部長)は、「ベストストアアワード2018」受賞店にこう宣言した。小澤常務が語った2019年の方針、2018年の振り返りをまとめた。
2019年の方針
「PayPay」でネットと店舗を連動
彗星(すいせい)の如く登場した「PayPay」はわずか4か月でユーザーは400万人を超えた。第2弾キャンペーンをやっているが、(登録者数は)一千万単位はいくだろう。
小澤常務は「PayPay」についてこう評価。今後、「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」などと連携する予定を踏まえ、「『PayPay』がたまったユーザーは『Yahoo!ショッピング』に流れ込んでくる」(小澤常務)と説明する。
ソフトバンクとヤフーの共同出資会社PayPayは、2018年12月に実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」に続き、「第2弾 100億円キャンペーン」を2月12日にスタート(期間は5月31日まで)。
第2弾は1回のユーザーへ還元する上限額を1000円、1人あたりの上限額を合計5万円までとし、付与額が100億円に達した時点で終了する。
「多くのお客さまに毎日使っていただくのが目的」(ヤフー)とした第2弾のスタートで、「PayPay」を使うユーザーがさらに増えると予測。小澤常務は、そのユーザーの多くが「Yahoo!ショッピング」で買い物すると見込んでいる。
ただ、当初は2019年2月から「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」での決済に「PayPay」は対応するとしていたが、1月末に延期を発表。対応時期について小澤常務は言及しなかったものの、こう出店者に呼び掛けた。
ユーザーは「Yahoo!ショッピング」でたまった(ポイントの)「PayPay」を実店舗でも使うようになる。ネットと店舗が連動できるようになるのだ。期待して下さい。
良いお店が売れる仕組みを強化
良いお店、良い物流を持っているお店で買ってもらった方がユーザーは満足する。だが、ヤフーはAmazonのように自社で物流もっていない。なので、良いお店が売れる仕組みを強化する。
今後の方針をこう説明した小澤常務は、「良いお店」の評価を示す例として、出荷の速さや出荷遅延率などの指標について言及。店舗平均と上位500ストアの数値を公表した。
今まではどっちかと言うと公平にやってきたが、良いお店で買った方がユーザーは満足する。昨年、ビックマーチャント(ヤフー内の社内用語で、セール時にヤフーが良いお店を選定してイベント企画を行うというもの)という仕組みも始めた。たとえば、良いお店はセール時に検索結果で上位に出るなど、良いお店が売れる仕組みを強化する。(小澤常務)
伸びしろを伸ばす
「ヤフーで買い物することが当たり前になってきたというユーザーが増えている」。eコマース革命後の「Yahoo!ショッピング」についてこう評価した小澤常務は、そのけん引役としてソフトバンクとの連携をあげた。
ソフトバンクユーザーを「Yahoo!ショッピング」に呼び込む施策を実施しており、「ソフトバンク スマホユーザーならポイント10倍」はその代表例。3000店以上のソフトバンクショップ店頭で、ポイント付与特典などを含めた「Yahoo!ショッピング」利用の促進接客なども行っている。
こうした施策などにより、ソフトバンクユーザー経由の取扱高と注文数は2017年比で1.7倍に増加。「ソフトバンクを使う若い女性などが、『Yahoo!ショッピング』に来ている」(小澤常務)と言う。
ただ、ソフトバンクユーザーの中で「Yahoo!ショッピング」を利用したことがある経験者は45%にとどまっている。利用したことがない55%のユーザーの開拓には大きな伸びしろがあると指摘。ソフトバンクユーザーへの手厚いプロモーションを2019年も継続する。
2000万IDを超す月額462円の会員サービス「Yahoo!プレミアム」。「Yahoo!ショッピング」の取扱高の多くを「Yahoo!プレミアム」会員経由が占めている。ただ、「Yahoo!プレミアム」会員の「Yahoo!ショッピング」利用率は49%にとどまっており、2019年も「Yahoo!プレミアム」会員向けのポイント5倍施策を継続する方針。
2018年の振り返り
取扱高、訪問回数、CVR、注文回数、1億円超え店舗などの2017年比較3>
小澤常務は「Yahoo!ショッピング」の成長を示す各種データを公表した。取扱高、注文回数など、画像で各データの伸び率を確認してほしい。
ヤフーは2019年3月期からeコマース取扱高の定義を変更。従来の「eコマース国内流通総額」は「eコマース取扱高」に変更し、物販に加え「Yahoo!トラベル」やデジタルコンテンツなどを含む数値になる。物販は「ヤフオク!」「ショッピング事業」「アスクルBtoB」「その他」に分けている。
PC版の「Yahoo! JAPAN」トップページ右下に「Yahoo!ショッピング」のコーナー設けた。1日のPVは1.6億PVに達するという。なお、「Yahoo!ショッピング」トップページのPCは1800万PV。小澤氏は「(トップページは)全部ショッピングにすればいいじゃないか、と提案したが、もちろんダメだった」と報告した。
UI、UXについて
小澤氏は「Yahoo!ショッピング」について、(楽天市場など)3つの売り場で最悪のサービス、最悪のシステムだと思っている。お客さまにも出店者さまにも申し訳ない」と陳謝。ユーザーインタフェース(UI)、ユーザーエクスペリエンス(UX)を改善し、使いやすい仕組み作りを進めていると説明した。
たとえば、「Yahoo!ショッピング」のトップページと検索結果ページでは、スクロールしても商品が表示され続ける設計へと変更。商品掲載数は従来比で10倍となり、「結構、効果がある」と小澤常務は言う。
今後のシステム改善などのリリース予定についても説明した。