「売れるAbemaTV社」が「買えるAbemaTV社」に社名を変えた真相
インターネットテレビ局「AbemaTV(アベマティーヴィー)」で2月1日に始まった通販番組「マジでヤバいモノが手に入る!売れるAbemaTV社」(放送時の番組名)の初回放送で、衝撃の告知があった。
それは、通販番組を手がける「株式会社売れるAbemaTV社」の社名を、「株式会社買えるAbemaTV社」に変更したというもの。
サイバーエージェントとテレビ朝日、ロッピングライフ(テレビ朝日のテレビ通販子会社)の3社が共同出資し、2017年12月1日に設立された「株式会社売れるAbemaTV社」に何が起きたのか?
番組に登場したサイバーエージェント社長の藤田晋社長は初回放送で、「売れるAbemaTV社の社名は俺が考えた。実は、売れるネット広告社にインスパイアされた」と告白。「パクったと言われる。事前に菓子折り持ってご挨拶して来てよ」と、販売部長に任命した伊達氏にある仕事を命じた。
そのミッションは、売れるネット広告社に対し、“売れる”を冠した社名の使用許可を得ること。ちなみに、商業登記法第27条では、同じ本店所在地において、同一商号(社名)の会社を登記することを禁止しているが、それぞれ本社所在地が異なるので法律上、問題はない。
サイバーエージェント側と売れるネット広告社の間で幾度も交渉が行われた。結論を記すと、「株式会社売れるAbemaTV社」の利用をサイバーエージェント側は断念。初回放送で社名変更を告知し、「株式会社買えるAbemaTV社」として新たなスタートを切った。
実は、この“売れる”を冠した社名使用の交渉は、サイバーエージェントによる12月1日のサービスリリース以前から始まっていたという。
“売れる”を冠した社名使用に関する交渉を撮影したのは2017年11月22日。サービスリリース前から社名に関する交渉が水面下で行われていたのだ。
初めての交渉から数日後の2017年12月1日、サイバーエージェントは「株式会社売れるAbemaTV社」の設立とサービススタートのリリースを発表することに。だが、交渉にあたっていた売れるネット広告社の加藤公一レオ社長は「サプライズだった」と振り返る。
加藤社長によると、その後、数回の話し合いの場が設けられたという。そして2月1日、番組内で「株式会社買えるAbemaTV社」への社名変更が発表された。
売れるネット広告社の加藤社長に心境を聞いてみた
そこで編集部は加藤社長に接触。サイバーエージェント側が“売れる”を冠した社名の使用を断念したこたことについて聞いてみた。
――なぜ交渉は決裂したのですか。
会社の経営者として社名はものすごく重要なものであり、子供の名前のように大切なものです。単純に嫌でした。当社は“売れる”というキーワードで検索すると上位表示されています。もし、サイバーエージェントさんが「売れるAbemaTV社」を社名に使ったら上位表示の地位を奪われるかもしれないと思ったのも正直なところです。
サイバーエージェントさんが手がける事業はB2Cですので、「買えるAbemaTV社」の方がユーザー(視聴者)目線から見るとわかりやすくなったのではないでしょうか。
――事前に社名に関する交渉があったのですね。
ある日、伊達部長から連絡が入って、最初は「媒体のセールスかな?」と思ったんです。そしたら、いきなりAbemaのカメラクルーが当社の会議室に入ってきました。それが、2月1日に放映された内容です(仕込みではありませんよ)。
その日は、「検討します」と回答して交渉は終わりました。そしたらその後、「売れるAbemaTV社」のリリースがサイバーエージェント側から出ちゃいまして。その後、数回の話し合いを経て、最終的に社名変更ということになりました。
――「買えるAbemaTV社」に一言。
「買えるAbemaTV社」は通販番組に新たな革命を創ろうとしている素晴らしい事業だと思います。伊達部長、応援してます! 頑張ってください。