30社以上の通販・EC事業者が利用しているLINEのショッピングサービス「LINEショッピング」。新規顧客の獲得に役立つとされる「LINEショッピング」では、どのような施策が新規獲得につながるのか。LINE、千趣会、コメ兵が登壇したパネルディスカッションでは、「LINEショッピング」がスタートした当初から参加している千趣会が自社の成功事例を公開。当時、「LINEショッピング」の利用を目前に控えたコメ兵が自社のOtoO戦略とLINE活用の狙いを解説した。

千趣会が「LINEショッピング」を1年間利用してあげた成果とは?

現在、利用しているアフィリエイトサイトの中で、「LINEショッピング」は新規顧客の獲得人数が最も多いです。しかも、「LINEショッピング」で獲得した新規顧客のLTV(顧客生涯価値)は、他のアフィリエイトサイトより2~3ポイント高いことが、この1年間で数字として表れました。

「LINEショッピング」の成果をこう説明したのは、千趣会の自社ECサイト「ベルメゾンネット」の集客を担当する服部愛氏。

千趣会は「LINEショッピング」のテスト運用が始まった2017年2月から参加しており、これまで「毎日100人に1000ポイントプレゼント」「200,000ポイント山分けキャンペーン」などさまざまなキャンペーン企画を行ってきた。

新規顧客を獲得するために特に重視しているのが、「LINEショッピング」全体で月1回開催されるポイントアップイベント「LINEポイントパーティー」毎週火曜日に1社限定でセールを行う「ファイヤーチューズデー」といった大型イベントだ。

イベント期間中は「LINEショッピング」のアクセス数が跳ね上がるため、イベントに合わせてキャンペーンを打つのが販促効果を最大化するコツだという。

「LINEショッピング」全体のキャンペーンに乗っかることが大事。「LINEショッピング」自体が行うキャンペーンとの相乗効果が、とても大きいと感じています。(服部氏)

株式会社千趣会 服部 愛 氏
2006年株式会社千趣会に入社。レディースファッションのバイヤーを経て、2008年よりメールマーケティング、サイトリニューアル等を行うWebマーケティング担当となる。2010年よりWeb販促におけるアフィリエイトマーケティングを担当。戦略立案のほか、越境ECを含む国内外の提携サイトとのキャンペーン企画、運用に従事。

千趣会は2017年10~11月にかけて、「LINEショッピング」のイベントに合わせて新規会員登録でポイント還元率が2倍になるキャンペーンを実施し、新規会員を集中的に獲得。その後、「毎日100人に1000ポイントプレゼント」「200,000ポイント山分けキャンペーン」など、毎月異なる企画を行い、新規顧客を獲得しながら既存客の継続利用も促している。

4月1日にはエイプリルフールにちなみ、1人に10万ポイントが当たり、残り1000人に100ポイントが当たる「嘘みたいな本当のキャンペーン」など、ユーザーを引きつけるキャンペーンを行った。

千趣会は毎月、さまざまなキャンペーンで新規顧客を獲得している

こうしたキャンペーンは「LINEショッピング」から自社ECサイトへの集客数や会員獲得、受注金額に大きく貢献している。キャンペーン中のクリック(送客)数は通常時と比べて平均280%受注金額は平均270%新規会員登録数は平均300%のキャンペーン効果が出ているという。

キャンペーン中のクリック率や受注金額、新規会員獲得数は、平均で通常時の約3倍に高まっている

千趣会が「LINEショッピング」経由で獲得した新規顧客のLTVは、他のアフィリエイトサイトよりも2~3ポイント高い。その理由について、服部氏は次のように説明する。

ユーザーを飽きさせず、繰り返し「LINEショッピング」を利用してもらえるように、キャンペーンの内容には毎回知恵を絞っています。アクセス数の山を月に2~3回作ることを意識し、ポイント還元キャンペーンを繰り返し行うことで、ユーザーが定期的に「LINEショッピング」に戻ってくるサイクルを生み出しています

費用対効果の最大化は、まず「LINEショッピング」を知ろう

「LINEショッピング」は2017年6月にサービスをスタート。会員登録数は2018年6月12日時点で約2000万人。「LINEショッピング」に参加しているブランド・ECサイトは230社を超え、公式アカウントのフォロワー数は約2300万人という。

年齢別のユーザー数を見ると「25~34歳」が最も多く、次いで「35~44歳」、「18~24歳」。ユーザーの男女比は女性が74%と、若い世代の女性に強いメディアであることが見て取れる。

LINEショッピング購入ユーザーデモグラフィック
「LINEショッピング」のユーザーの年齢層は20~30代が多い

新規顧客を獲得しやすいことも「LINEショッピング」の特徴。「LINEショッピング」の集客経路は、「LINEトーク」や「ショートカット」など99%以上がLINEの中からの誘導となる。そのため、リスティング広告やアフィリエイトサイトなど、他の集客手段とは異なるユーザー層を獲得しやすいことが、EC事業者の新規顧客獲得につながっている理由の1つとなっている。

LINEポイントパーティー 1か月に1度のポイントバック大還元祭
「LINEポイントパーティー」における流通額は通常時の約5倍に増える。期間中に購入したユーザーの48%を新規ユーザーが占めている

「LINEショッピング」がめざすのはOtoOプラットフォーム

「LINEショッピング」はECサイトへの集客媒体にとどまらず、O2Oのプラットフォーム化を進める方針だ。LINEの大枝千鶴氏はこう言う。

「LINEショッピング」が2018年、すごく力を入れているのがOtoO。「LINEショッピング」やトークアプリのLINEを通じてユーザーに気づきを与え、オフラインからEC、またはオンラインから実店舗へ送客するプラットフォームになることをめざしています

LINE株式会社 大枝千鶴 氏
LINE株式会社 大枝千鶴 氏
大手ECモールにて出店広告主営業としてECクライアントを担当。LINEショッピング立ち上げの為にLINE社へ入社後、掲載企業の営業担当として新規出店の営業、既存広告主のコンサルティング、企画等を担当。

オフラインからECサイトへ誘導する取り組みの1つが、QRコードを印刷したマグネットステッカー。アスクルが運営する日用品サイト「LOHACO」は、「LINEショッピング」のLOHACOのページに誘導するQRコードを印刷したマグネットステッカーを顧客に配っている。

他チャネルとの比較 総合的にマグネットステッカーが最適
LOHACOのマグネットステッカー

「LINEショッピング」はオンラインから実店舗への送客の仕組みも提供する。「LINEショッピング」がめざすOtoO機能の1つは、スマホの位置情報をベースにリアルとWebの商品を比較すること。たとえば、商品の価格やレビュー、ポイント付与数をECとリアル店舗で比較できるようにするという。

また、スマホの位置情報を利用し、リアル店舗までの距離や、近隣店頭の在庫の数を表示するなど、オフラインのデータを活用してネットからリアルへ誘導するサービスを計画中だ。

商品比較 店舗情報 レビュー
スマホの位置情報などを活用し、オフラインの情報や店舗情報を提供できるようにする計画

店舗で買い物をしたユーザーのLINEアカウントの情報を、店舗の購買データと紐付ける取り組みも進めている。レジで会計時にLINEの専用バーコードを読み取ると、ユーザーのLINEアカウントと店舗の購買データを統合できるシステムを開発した。また、LINEのオンライン決済サービス「LINE PAY」を使って店舗で決済した場合にも、LINEに登録されたユーザー情報と、店舗の購買データを紐付けることが可能となる。

位置情報を活用した集客にも「LINEショッピング」を活用できるようにする。たとえば、ユーザーが店舗の1km以内に近づくと、「LINEショッピング」の公式アカウントからユーザーにプッシュ通知を送信。さらに、ユーザーが店舗の10メートル以内に近づくと、Beacon(近距離無線通信)を使ってユーザーを検知する。

こうしたOtoO施策は、通販大手のディノス・セシールが埼玉・越谷市内で運営している「dinos OUTLET」で2017年12月から試験運用を行っている。

ディノスOUTLET越谷との取り組み(リアル店舗計測)
「dinos OUTLET」ではLINEを活用したO2O施策を実施している

ディノス・セシールは会計時にLINEの専用バーコードを読み取ることで、店舗での購買データとLINEショッピングでの買い物履歴を統合。ユーザーデータや購買データをCRMに活用している。

コメ兵の「LINEショッピング」を活用したOtoO戦略

2018年5月に「LINEショッピング」に参加したコメ兵。「LINEショッピング」への参加直前のタイミングとなったパネルディスカッションで、執行役員マーケティング統括部長の藤原義昭 氏は「LINEショッピング」に参加を決めた理由として、次の3つを上げた。

  1. 新規顧客の獲得効率が下がってきていることから、「LINEショッピング」で新しい客層にアプローチしたい
  2. 「LINEショッピング」のユーザーの年齢構成は25~34歳が35%、35歳~44歳が30%を占めており、コメ兵にとって手薄だった20代後半から30代の消費者の獲得が期待できる
  3. 「LINEショッピング」はECモールではなく、アフィリエイトモデルのため、顧客データを自社で取得してCRMに活用できる

コメ兵のお客さまは45~55歳ぐらいが中心ですが、20代後半や30代の方向けの商品も、たくさん扱っています。これまで30歳前後のユーザーに接触できていなかったので、20~40代のユーザーが多い「LINEショッピング」には期待しています。また、「LINEショッピング」で獲得したユーザーは自社のお客さまとしてCRMを回せることにも魅力を感じています。(藤原氏)

株式会社コメ兵 執行役員マーケティング統括部長 藤原 義昭 氏
株式会社コメ兵
執行役員マーケティング統括部長 藤原 義昭 氏

「LINEショッピング」はECサイトへの入り口であり、実店舗への入り口

コメ兵のECはオンラインだけで完結するわけではない。1点あたり数十万円の高額商品が多いため、商品を店舗に取り寄せて、実際に商品を確認してから購入する顧客が多いという。

高額商品はデジタルだけで集客して、そのままスマホで買ってもらうというのは想像しにくい。デジタルでECサイトに集客し、そこから店舗に来ていただいて、店頭で接客するという流れを作ることを重視しています。(藤原氏)

客単価は店頭のみを利用する顧客が4万円、ECのみの利用者は8万円であるのに対し、ECから店頭取り寄せを行った場合は21万に跳ね上がる。また、ECと実店舗を併用している顧客のLTVは、ECのみを利用している顧客の約3倍という。

コメ兵はCRMシステムを導入し、マーケティングオートメーションのシナリオを組み、メルマガやダイレクトメール、店員からの電話など、さまざまな施策を実施している。

デジタル→オフライン→デジタル→オフライン…tね
デジタル集客(SEM、SEOなど)→EC→ 取り寄せ 店舗 → 接客 購入→CRM→
デジタルでECサイトに集客し、店舗に誘導することを重視している

コメ兵にとってECは、単なる販売チャネルの1つではなく、実店舗に誘導するメディアの側面も持つ。こうしたOtoOの戦略に「LINEショッピング」を活用する計画だ。

ECはコンテンツマーケティングだと考えています。商品を通してお客さまとどうコミュニケーションするかが、すごく重要だと思っています。(藤原氏)

「LINEデリマ」は今後、テイクアウトに対応する

LINEが進めるOtoOプラットフォーム化の戦略において、フードデリバリーサービス「LINEデリマ」も重要な役割を果たしている。「LINEデリマ」はLINEで出前の注文を行えるサービス。ファミリーレストランやファストフード、ピザ、寿司、弁当など、約1万4000店の飲食店から出前を取れる。宅配・デリバリーサービスを手がける「出前館」と提携し、2017年7月にサービスを開始した。

「LINEデリマ」は、注文金額に応じてLINEポイントをもらえるアフィリエイトサイトという意味では、「LINEショッピング」と同じ仕組み。ただし、ポイント還元率は50%、70%、99%などと高い設定の飲食店も多い。

景品に該当するポイントの付与率は、景品表示法では商品価格の最大20%までしか認められていない。「LINEデリマ」で高額のポイント還元が可能な理由について、LINEのO2O事業室、藤原氏は次のように説明する。

注文時にポイントを使用できるようにすれば、ポイントは景品ではなく割引という扱いになるため、20%を超えるポイント付与率が設定可能です。注文時にポイントを使えるお店は、注文金額が平均よりも高いため、有効な販促施策になっています。

LINEポイントを利用させるメリット ポイント利用可能店舗を対象にキャンペーンを実施 利用不可店舗よりもGMVの増加率が高い
注文時にポイントを使える飲食店の注文金額は、使えない飲食店よりも高い
LINE株式会社 藤原 俊介 氏
LINE株式会社 藤原 俊介 氏
大手WEB系広告代理店にて営業・マーケティングに従事。モバイルアプリベンチャーの創業に参画した後、2010年にアプリの企画開発会社を創業。5年半で企画したアプリは大手ECアプリ含めて総数50本以上、TOTAL DL数800万を獲得。その後、2016年6月にLINE株式会社に参画し、LINEデリマを立ち上げ、事業企画を担当

現在、「LINEデリマ」では宅配サービスのみを扱っているが、今後はテイクアウトの注文も行えるように準備を進めている。

ユーザーの位置情報やLINEのプッシュ通知を活用し、飲食店向けの「OtoOプラットフォーム」をめざす計画だ。

たとえば、会社帰りのLINEユーザーに、自宅の最寄り駅周辺の飲食店のタイムセール情報を通知すれば、ユーザーは電車の中で注文し、商品をテイクアウトして帰るような購買行動が生まれるはずです。飲食業界は人手不足が深刻です。「LINEデリマ」でテイクアウトの注文を可能にし、飲食店が配達の人員を増やすことなく売り上げを増やせる仕組みを提供します。

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渡部 和章

ライトプロ株式会社 代表取締役

渡部 和章(わたなべ・かずあき)

通販/EC業界の専門紙を発行する新聞社で約7年半、記者を務めた後、2015年に編集プロダクションのライトプロを設立して代表に就任。EC業界のBtoB領域に特化した編集プロダクションとして活動中。

趣味は料理と漫画を読むこと。東京都在住。1983年生まれ。

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