渡部 和章 2018/6/27 7:00
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KDDIコマースフォワードが運営するECモール「Wowma!(ワウマ)」は2017年6月、PCとモバイルのサイト内検索エンジンを刷新し、8か月間でクリックスルー率(CTR)を刷新前の約2倍に引き上げることに成功した。「Wowma!」はどのようにCTRの大幅改善を実現したのか。

モールを運営するKDDIコマースフォワード、サイト内検索エンジン「S4」を提供するSupershipの担当者が、「Wowma!」のサイト内検索改善の背景と施策、その成果を明かした。

なぜ「Wowma!」はサイト内検索エンジンを刷新したのか?

「Wowma!」は2016年12月、DeNAが運営していた「DeNAショッピング」事業をKDDIコマースフォワードが譲り受けて誕生した。2017年8月には「Wowma!」と「Wowma! For au(旧auショッピングモール)」を統合し、現在のECモールの形になった。

「Wowma!」の2017年における年間流通額は前年比32%増。出店店舗数は12月末時点で同270%増、取扱商品数は同60%増と、統合後も伸びている。

Wowma!の流通額、店舗数、商品数の成長率
2017年における「Wowma!」の流通額、店舗数、商品数は前年比で大幅に伸びている。

こうした業績拡大を支えたのが、2017年6月に導入したサイト内検索エンジン「Supership Search Solution(通称:S4)」だ。サイト内検索エンジンを刷新した理由について、「Wowma!」の松坂氏は次のように説明する。

「Wowma!」では、ユーザーが普段は目にとめないような商品と出合える、感動のある買い物体験=Wow!の提供をめざしています。そのためには、まずは正確な検索結果を表示する必要があると判断し、サイト内検索エンジンを入れ替えました(松坂氏)

KDDIコマースフォワード株式会社
プラットフォーム開発部 松坂 真紀 氏
大手システム会社にてエンジニア・PMを経験の後、サービス企画・マーケティングなどサービスの作成から展開までを一貫して担当。2017年1月、ショッピングモール「Wowma!」立ち上げ時からKDDIコマースフォワードに参画。検索エンジンの刷新やサイト統合、新広告システムの構築と自社サービスの根本的な見直し・改善の実行に従事。

「S4」を導入する前は検索結果の精度に課題があった。たとえば、「花火」というキーワードで検索すると、手持ち花火だけでなく、おもちゃの花火や花火柄パッケージのカラーコンタクトなど、約20種類のジャンルから数万点の商品が検索結果に表示されていたという。ファッションを中心に食品、家電、本、カー用品など多種多様な商品を取り扱う「Wowma!」ならではの結果だった。

松坂氏によると、「Wowma!」のユーザーが検索窓に同時に入力する単語の数は2~3個が中心。そのため、検索結果に表示される商品数は数万種類に上ることが珍しくない。しかし、ユーザーが検索結果を閲覧するのは、最初の3ページ程度にとどまる。

検索結果の最初の3ページに、お客様が探している商品を表示できるかどうかが、クリック率や売り上げを左右します(松坂氏)

トップページの検索利用者は約7割、検索経由のCVRは特集ページの1.5倍以上

続けて「Wowma!」におけるサイト内検索の重要性を、殿前氏がいくつかの数値を示しながら説明した。

「Wowma!」ではトップページを訪問したユーザーの約7割が、サイト内検索を利用している。しかも、検索経由で購入画面にたどり着いたユーザーのコンバージョン率(CVR)は、特集ページなどを経由した場合と比べて約1.5~2.2倍も高い

カテゴリや検索を経由したユーザーのCVRは、商品ページや特集ページを経由した場合より約1.5~2.2倍高い

モバイル端末でアクセスするユーザーが約9割に達していることも、モール内検索の改善を急がせた要因の1つ。モバイルユーザーのサイト離脱率は、PCユーザーよりも高かったため、PCサイト以上にサイト内検索の利便性や精度の向上が求められる。

トップページから購入ページへの遷移率や、コンバージョン率を踏まえると、「Wowma!」においてサイト内検索が非常に重要であるということが見て取れるかと思います(殿前氏)

KDDIコマースフォワード株式会社
プロダクト開発本部 執行役員 本部長 殿前 真之 氏
KDDIバリュー事業本部開発部門10年以上、バリュー系サービスのプラットフォームを複数構築。2016年末からKDDIコマースフォワードヘ出向し、「Wowma!」のシステム構築に携わった。

「S4」で実施した4つの検索エンジン改善策

KDDIコマースフォワードはSupershipが開発する「S4」を導入し、主に4つの施策を実施した。

  1. 検索指標の可視化
  2. 「Wowma!」に最適化したチューニング
  3. 検索の周辺機能・補助機能の整備
  4. 検索結果のパーソナライズ

1. 検索指標の可視化
検索キーワードには顧客ニーズが表れる

「S4」の管理画面では、サイト内検索のログを分析し、使われたキーワードに対してどの商品が表示され、どの程度の割合で購入につながっているかなどを可視化できる。データをもとに検索回数が多いキーワードや、CTRが高いキーワードなどを常時分析し、継続的に検索結果をチューニングすることでCTRや購入率の改善につなげられる

「S4」は各種検索指標を可視化するダッシュボードを備えている

ファッションジャンルを得意とする「Wowma!」は、シーズナブル(季節性の高い)な単語の分析を重視している。たとえば、夏物のファッションに関連するキーワードは、シーズンの約2か月前から検索され始める。こうした検索キーワードをもとに、新商品のプロモーション時期など、マーケティング施策の判断材料に活用しているという。

「S4」の開発を牽引するSupershipの宇都宮氏は、ユーザーが使う検索キーワードを分析することは、顧客のニーズを知ることにつながると指摘する。

サイト内検索で使われるキーワードには、お客様のニーズが表れます。いわば「お客様の声」です。検索指標を可視化することは、お客様の声を聞くこと。「S4」を使ってデータの収集と分析を行うことで、お客様の声をサービスに反映していくことができます(宇都宮氏)

Supership株式会社
マーケティング事業本部 データソリューションスタジオ
スタジオ長
Search Technical Producer 宇都宮 紀陽 氏
2001年ヤフー入社後、データマイニング業務に従事し分析基盤の導入・開発を担当。ヤフー検索サービスのコアコンポーネントの開発やYST からGoogle へ検索エンジンシステムの切り替えを担当。2013年11月スケールアウト入社後、検索事業を立ち上げau Web ポータルの検索プラットフォーム構築をリード。現在はSupershipにて、KDDIグループ内外問わず自社で保有する検索技術ソリューション(S4)の提供を推進。

2. 「Wowma!」に最適化したチューニング
独自辞書や検索結果表示のカスタマイズで導入直後から成果を発揮

「S4」を「Wowma!」に導入する際、検索アルゴリズムを個別にチューニングした。あらかじめデータを分析しておき、検索エンジンのベースとなる辞書を「Wowma!」専用に作成したのだ。事前のチューニングによって検索の正確性を高めることで、システム入れ替えによる一時的なパフォーマンスの低下も抑えることができる。

導入後も、検索結果の表示順とクリックログ、検索経由のコンバージョンログ、サジェストの表示内容とクリックログといった「ユーザーの行動情報」を分析し、キーワードごとにチューニングを続けているという。

「S4」のチューニングは手動で行うだけではなく、自動最適化を行えるパターンが発見できれば、随時自動化している。

検索ログを分析し、手動のチューニングと自動最適化を行う

松坂氏は検索エンジンを個別にチューニングできるメリットを次のように説明する。

取扱商品が多岐にわたるECモールで、検索キーワードと商品を正確にひも付けるには、独自のチューニングが欠かせません。共通の辞書や、検索結果の自動化技術だけではCTRを大幅に改善することはできなかったと思います。現在もキーワード単位で、手動でのチューニングと自動化最適化を日々、続けています(松坂氏)

3. 検索の周辺機能・補助機能の整備
サジェスト、関連ワードなどの補助機能でマッチング精度を高める

「S4」は、ユーザーが検索窓にキーワードを入力している途中でキーワード候補を表示する「サジェスト機能」や、入力した検索キーワードと関連性が高いキーワードを表示する「関連ワード機能」など備えている。

入力中に検索候補を自動で表示する

これらの機能により、的確な検索キーワードの利用を促し、キーワードと商品情報のマッチング精度を高めることができる。

特定の単語に対して複数の表記が存在する「表記ゆれ」にも対応可能だ。たとえば、ゲームタイトル「ファイナルファンタジーフィフティーン」であれば、「FF15」や「FFフィフティーン」「FFXV」といった異なる検索キーワードに対して同じ検索結果を表示する。

異なる表記(表記ゆれ)でも同一の検索結果を表示する

英語のブランド名はカタカナ入力や平仮名入力、スペルミスなど表記ゆれが発生しやすい。こうしたケースでも、「表記ゆれ辞書を使って正しい商品名で検索した場合と同じ検索結果を表示する」(宇都宮氏)。

ゼロ件ヒットを防ぐロジックを備えている

「Wowma!」では、1つの商品を探すために使われるキーワードが10パターン以上あることも珍しくありません。検索の揺れをしっかり吸収して、探している商品を正しく表示できる機能が非常に重要です(松坂氏)

「Wowma!」では、モバイル端末で買い物をするユーザーが約9割を占めるため、移動中や隙間時間などに片手で検索窓にキーワードを入力する状況も想定される。そういったユーザーの利便性を高める上でも検索補助機能は重要だ。

通勤ラッシュで電車に揺られながら、家族へのプレゼントを選んでいるかもしれません。そんなとき、サジェスト機能や関連ワード機能があれば、検索が便利になるでしょう。お客様の買い物体験の向上に役立っていると思います(松坂氏)

また、宇都宮氏はサイト内検索エンジンの表記ゆれへの対応が、ますます重要になっている理由として、ECのデバイスがパソコンからスマホへ移行したことをあげる。たとえば、スマホで検索するユーザーには、次のような傾向があるという。

  • 半角や全角のスペースを空けずに複数のキーワードを入力する
  • カナ漢字変換をしない
  • ひらがなで検索する
  • Googleが圧倒的な技術力で表記揺れに対応したため、多くの消費者はECサイトの検索にGoogleと同等の質を求めている

スペルミルや表記ゆれが増える中、Googleの検索エンジンとほぼ同等の検索体験をECサイトでも提供することが求められるようになりました。その解決策として「S4」では高度な検索補助機能を提供しています(宇都宮氏)

4. 検索結果のパーソナライズ
会員属性に合わせて、本当に欲しい商品を表示する

「S4」を活用して強化している4つ目の施策は、検索結果のパーソナライズだ。「Wowma!」の会員がログインした状態でサイト内検索を利用すると、会員属性に合わせた検索結果が表示される。

会員属性に合わせて検索の表示結果を変える

同じ検索キーワードでも、ユーザーの性別や年齢、検索した季節によって探している商品は異なる。そのため、機械的にキーワードと商品を結びつけるのではなく、顧客がそのときに本当に欲しがっている商品を表示できる仕組みをめざした。

個々のお客様が望む商品を表示すること。お客様に提供できる一歩先の体験として、これに挑んでいます(松坂氏)

検索エンジンの改善が、流通額アップに貢献

「S4」を導入したことで、検索結果のCTRは右肩上がりで上昇している。導入3か月後にはCTRが導入前の120%、そして導入8か月後の2018年3月には同200%に向上した。

「S4」の導入8か月後には、導入前と比較してCTR200%を達成

殿前氏は「S4」導入した効果について、次のように説明した。

Wowma!の2017年の流通額は前年比32%増でした。このなかで、検索エンジンが果たした役割は、だいぶ大きかったのではないかと感じています(殿前氏)

最後に宇都宮氏は、サイト内検索の改善において重視すべきポイントとして、3つのポイントを強調する。

  1. 現状の検索課題を可視化し、把握する
  2. 検索の補助機能を整備する
  3. サイトの特性に合わせたチューニングを行う

これらのポイントを押さえ、顧客の要望に応えることがサイト内検索機能(S4)の果たす役目だと宇都宮氏は説明し、セッションを締めくくった。

ユーザーの検索行動は、「何かを知りたい」という要望そのもの。その要望に寄り添った返答を行うことこそが、検索機能の役目だと思っています(宇都宮氏)

「Wowma!」の成功事例を聞きに多くのEC業界関係者が詰め掛けた
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