LINEのECサービス「LINEショッピング」は自社サイトの集客UPに役立つ? 出店方法は?
LINEが6月15日にスタートした「LINEショッピング」。ポイントサイトという位置付け、「LINEショッピング」経由の通販サイトで買い物した消費者にLINEポイントを付与するのが大きな特徴。自社ECサイトを運営するネット通販実施企業の集客を支援する。
6800万人超が利用する「LINE」はECサイトの新たな集客手段となるのか。「LINEショッピング」の仕組み、テスト期間における利用企業の成果、参加方法などを解説する。
「LINEショッピング」とは
「LINEショッピング」はLINEが提供するポイントサイトで、消費者は「LINEショッピング」掲載のECサイト経由で買い物をすると購入金額に応じて1~20%の「LINEポイント」を得ることができる仕組みだ。
「LINEポイント」は、LINEの電子マネー「LINE Pay」を通じて現金化できたり、Amazonギフト券・nanacoポイント・JALマイレージなどへの交換、LINEスタンプ・LINEゲーム・LINEミュージックなどで利用できるポイントサービス。
LINEユーザーが「LINEショッピング」を利用する最大のメリットは、「LINEポイント」をためることができる点にある。
LINEは、「LINEポイント」を付与するためのサービスとしてショッピング機能を追加。「LINEポイント」をためることができる場を広げ、ポイントの流通額を増やしていく狙いがある。
「LINE」と言えばアプリというイメージが強いが、「LINEショッピング」はWebサービスとしても提供する。LINE自らが行うリスティング広告、SEO対策などで集客。アプリでは、モアタブ(アプリ右下の「…」その他の場所)をタップした後にさまざまなサービスを案内するコーナーにてLINEユーザーを集める。
企業の公式アカウントとの連携も可能。参加企業は専用の詳細ページを作成する際、そのショップ詳細ページに「友だち追加」というボタンを設置できる。これをクリックすると、ユーザーは企業の公式アカウントを「友だち」追加することができる。
企業のLINE運用方針によるが、公式アカウントで「LINEショッピング」のPRを行っていくという方法もある。LINEショッピングで新規ユーザーを獲得し、LINEアカウントでリテンションさせることも可能になる。
なお、スタート当初は115社が参加。大手モール系として「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」、千趣会、ディノス・セシール、ディーエイチシー、丸井、QVCジャパン、ユナイテッド・アローズ、オンワードなど大手ECサイトなどが参加している。
「LINEショッピング」の集客効果、新規獲得にも成果
「LINEショッピング」は2016年12月から、6月15日のローンチに向けてテスト運用を続けてきた。ポイントをためたり使ったりする場所を掲載するメディア「LINEポイント」内に、「LINEショッピング」のコーナーを作り、数か月間テスト運用を実施した。
大手モール、千趣会(ベルメゾンネット)TISホールディングス([.st])、ディノス・セシール(ディノスオンラインショップ、セシールオンラインショップ、アスクル(LOHACO)など有名サイトが参加した。
ただ、モアタブ(「…」その他の個所)をタップした後にさまざまなサービスを案内するコーナーに掲載されている「LINEポイント」の階層下にあったため、一般的には目に付きにくい。だが、「(集客効果は)出店企業からは想定よりもよかったという評価をいただき、15日のサービスロンチ後の広告予算を追加で申請いただいている企業が多いです」(LINEのECサービスチーム・大枝千鶴さん)。
数値分析によると、参加企業のECサイトへ消費者を送客した後の商品購入率は平均22.8%を記録したという(2017年5月時点)。
「LINEショッピング」から購入に至ったユーザーの新規購入者の割合は、企業規模などによって異なるが、平均して20%~30%。ある大手アパレル企業では38%という高い数値を叩き出した。
各社のアフィリエイト経由売上に対する「LINEショッピング」経由の割合は、短期間で平均20~30%(テスト参加店舗の平均値)を占めるほどの成果をあげているという。
「LINEショッピング」テスト期間で特に効果が高かったのがアパレルジャンル。オープニング特集ではアパレル企業で利用すると15%のポイントバックを行うキャンペーンを展開する。
ポイントサイトの一般的なポイント還元率は「2~5%くらい」(同)のため、高いポイント還元率がLINEユーザーの利用増加につながっているようだ。
「LINEショッピング」への参加方法、条件とは?
6月15日のオープン後、「LINEショッピング」に参加したい店舗からの申し込みを受け付ける専用ページをオープンした。
自社ECサイトへのトラフィックを増やすという目的があるため、基本的には自社ECサイトを運営していることが求められるという。
「LINEショッピング」の専用ページで申し込みを受け付けた後は審査を実施。その後、出店方法などの案内をLINEから連絡する。
「LINEショッピング」のコンセプトは「商品に出会える場を作ること」(同)。出店者が登録できる商品数は制限なし。商品DBを統一する方針で、JANコードでの登録を推奨する。JANコード有りの商品は「LINEショッピング」内の上位表示を優先するなどの措置を設ける。
共通フォーマットへ統一することにより、ユーザーはカテゴリやキーワードをもとにECサイトを横断して商品を検索することができるようになる。また、出店者によるポイントバック料率や販売価格の比較など、多様化するユーザーの検索方法に対応する。
将来的には「LINEショッピング」はWebだけではなく、次のような構想も視野に入れている。
- リアル店舗の商品情報の表示
- 位置情報を使ったリアル店舗への送客
- リアル店舗の購買促進、購入金額に応じたポイントバック
などO2Oの店舗誘導から決済促進まで年内にテストを開始。将来的にはリアルとWebの垣根を超えるショッピング媒体をめざすという。