千趣会も驚いたLINEの集客効果とは? 担当者が語る「LINEショッピング」活用ポイント
LINEが始めた自社ECサイトへの集客を支援するポイントサービス「LINEショッピング」を、2月からテスト運用していた千趣会(運用サイトはベルメゾンネット)。3か月強の運用成果を踏まえ、「LINEショッピング」の活用方法などを聞いてみた。
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予想以上の売上貢献
それはすごい効果でした。驚いたのがLINEショッピング経由の売り上げ規模の大きさです。テスト段階であるのにびっくりするぐらいの受注額だったんです。LINEのパワーを、身をもって体感しました。
こう語るのは、「ベルメゾンネット」のアフィリエイトなどを担当する千趣会・EC販売推進部EC販促チームの服部愛さん。
アフィリエイト集客の一環として「LINEショッピング」を2017年2月から始めた千趣会では、想定外の反響があったという。
「ベルメゾンネット」では大手ポイントサイトや大手クレジットカード系といったアフィリエイトサイトを集客に活用しているが、テスト運用期間中にこうしたアフィリエイト経由の売上高に占めるLINEショッピングの割合が、わずか3か月以内に「1~2位の規模」(服部さん)になったという。
スタート当初、LINEショッピング経由で買い物したユーザーに購入金額の10%分のポイントを還元するキャンペーンを実施。あらかじめLINE用に確保しておいた販促予算を「3日間で達成してしまった。試算があてにならないくらいの集客力でした」(同)。
その後、他の販促媒体に投下する予定だった予算を調整し、1か月目は10%キャンペーンを継続。2か月目以降は5%還元でテストを続けた。「ポイント付与率によって売り上げには若干影響はありましたが、同じポイント還元率では間延びしてしまう。強弱をつけることを重視しました」(同)。
他媒体と比べて高い新規獲得率
新規率で見た場合は想定よりも低かったものの、人数ベースでは新規ユーザーは大きな数になっています。新規ユーザーの獲得率は、他のポイントサイトと比べて4~5ポイント高いです。
「LINEショッピング」は新規獲得に役立つという感触を得た服部さん。新規獲得のほか、さまざまな成果があったという。
「ベルメゾンネット」の主要顧客層は30~50歳代女性。「LINEショッピング」経由で買い物するユーザー層は「20代後半から30歳代が最も多いと思っていた」(同)のだが、ふたを開けてみると予想とは異なった。
最も多かったのが「ベルメゾンネット」の主要顧客層である30~40歳代女性。「50歳代の買い物利用も多かったのが驚きでした」。服部さんはこう振り返る。
LINEユーザーのリピート率はどうか。テスト運用を始めてから3か月強のため、まだ30日後のリピート率しか計測できていないものの、「他のアフィリエイト媒体と比べて2ポイントほど高い」(同)という分析結果が出ている。
ポイント系媒体からの顧客単価は全体的に下がるものの、「LINEショッピング」経由の平均顧客単価は1万円を超えているという。
公式アカウントを運用している場合
LINEの公式アカウントを運用している場合、ユーザーが重複してしまう可能性がある。服部さんによると、千趣会では「ユーザーの重複はそれほどない」という。
「LINEショッピング」には、公式アカウントへの誘導(友だちになる機能)できる機能を搭載。「LINEショッピング」を利用するユーザーを公式アカウントユーザーに育てることも可能。
服部さんによると、「LINEショッピングを使うユーザーはある程度ITリテラシーが高い人。一方、公式アカウントはスタンプをきっかけに友だち登録される方や、もともとベルメゾンのファンだったユーザーが多い」と分析。
公式アカウントは、同じ部署に所属する別担当者が運用を行っているため連携しやすい環境にある。服部さんは「公式アカウントとLINEショッピングをうまく活用し、LINE経由の流通額を伸ばしていきたい」と説明する。
LINEショッピングを始めた理由
千趣会が抱えていた課題は、新たな集客媒体の開拓。「アフィリエイト媒体として、大きな流通額を生み出してくれそうなWebサイトなどとの取り組みがあまりできていなかった」(同)。
「LINEショッピング」は、アプリという新たな市場であること。そして、休眠会員の掘り起こしを狙って取り組むことを決めました。
アフィリエイトを活用した通常の報酬は2%、ポイント媒体は通常1%と設定している千趣会。今回はテストマーケティングという位置付けで、最大10%還元という大胆なポイントキャンペーンを行った。
通常のアフィリエイト施策とは異なり、報酬のパーセンテージが大きい。社内調整で壁にぶち当たったのではないかと想像できるが、比較的スムーズに企画は通ったようだ。
投資対効果を懸念する声も一部あがりましたが、新しい市場は積極的に攻めていこうという方針があったので、社内調整は大変ではなかったですね。永久的に10%を継続していくことは難しいので、ポイント還元率は強弱をつけていくといった運用方法にするなどして、「LINEショッピング」の本格運用に参加しています。
社内で承認が下りた後、シミュレーションを綿密に立てたものの、上述したように1か月の予算は、わずか3日間で消化することに。「LINEのパワーに直面したことで、シミュレーションの立てにくさを実感した。予算設計は大変でしたね」。こう服部さんは振り返った。
こうした経緯を経て、本格的に「LINEショッピング」をECの販促として活用することを決めた千趣会。6月12日には「LINEポイント」を「ベルメゾン・ポイント」に交換できる仕組みを導入した。
「ベルメゾンネット」で買い物をした「LINEショッピング」経由ユーザーに対して、リピートしやすい環境を整備。リピート購入を促進する。
「LINEショッピング」は始まったばかり。これから始めたい、力を入れていきたいというEC事業者に対し、服部さんは次のようにアドバイスする。
- 報酬額予算は、数百万円~1000万円単位まで広く見ておいた方がいい
- 「LINEショッピング」では、ECサイトで打ち出したいキャンペーン内容を反映していった方がいい
- 想定した以上にコールセンターの問い合わせが増えると予想される(ポイント付与のタイミング、きちんとポイントは付与されるのか? といった内容が多いという)。顧客対応の調整が必要
- 閑散期の集客などキャンペーンを含めて戦略的な活用が必要