今回の資本業務提携を成功させ、千葉が生んだ偉大なるインターネット企業である「ZOZO」を盛り上げる。「ZOZO」が盛り上がれば千葉が盛り上がる。そんな業務提携にしたい。

ヤフーとZOZOが9月12日に開いた会見で、ZOZOとの資本業務提携についてこう思いを語ったヤフーの川邊健太郎社長。ヤフーはZOZOに対しTOB(株式公開買い付け)を実施し、連結子会社化する。

ヤフー社長の川邊健太郎氏、ZOZO新社長の澤田宏太郎氏、ZOZOの前社長である前澤友作氏
写真左からヤフー社長の川邊健太郎氏、ZOZO新社長の澤田宏太郎氏、ZOZOの前社長となった前澤友作氏

50.1%の株式取得をめざすヤフーは、1株あたりの応募価格2620円でTOBを実施。想定する株主構成は約50%をヤフー、残りはその他株主。前澤友作前社長の持ち分は0%とする。最大で約4000億円を投じてZOZOを傘下に収める。

ZOZOの株主構成について
ZOZOの株主構成について

成立すればヤフーでは過去最高額のM&A案件。巨額の資金を投じるZOZO買収によってヤフーはどんな果実を得るのか? 次の4つのポイントが「大きなキードライバーとなる」(川邊社長)。

ヤフー社長の川邊健太郎氏が説明する4つのポイントが、「大きなキードライバーとなる」
資本業務提携によって得られる効果 4つのポイント

ZOZOがモールに初出店

2019年秋、ヤフーは決済サービス「PayPay」利用者向けプレミアムモール「PayPayモール」を立ち上げる。「Yahoo!ショッピング」上位の優良店、上場企業や一定の年商規模がある大企業が出店できるモールで、ヤフー肝いりのECサービスとされる。

ヤフーが運営する「PayPayモール」
「PayPayモール」について

今回の資本業務提携では「ZOZOにも出店してもらう前提の契約となっている。ZOZO出店ブランドにもご理解いただいて出店してもらいたい」(川邊社長)と言う。

「PayPayモール」に「ZOZOTOWN」が出店する
「PayPayモール」に「ZOZOTOWN」が出店する。モール内にモールが出店する形となる

購入者数が爆増

「ZOZOの客数を爆増させる」。川邊社長がこう力を込めるには理由がある。「『ZOZOTOWN』のことを知らないソフトバンクユーザーは少なくない」(川邊社長)ため、ソフトバンクグループのユーザーを「ZOZOTOWN」に送客していくという。

ヤフーのアプリ合計MAU数1.33億のトラフィック、PayPayの累計登録者数1000万とスマートフォン累計契約数2245万の顧客基盤を活用し、「ZOZOTOWN」などへの送客を行う。

ソフトバンクグループの顧客基盤を活用し、「ZOZOTOWN」などへの送客を強化する
ソフトバンクグループの顧客基盤を活用し、「ZOZOTOWN」などへの送客を強化する

利用者属性が異なることも相互補完になると言う。ヤフーの中心顧客は30~40歳で、男性が6割。一方のZOZOのメインユーザーは20~30代で女性が7割をしめる。「ユーザー属性が補完的なので、相互に(サービスを)紹介できる。極めて補完的な関係で顧客基盤の強化が見込める」(川邊社長)。

利用者属の違いについて
利用者属の違いについて

eコマース取扱高(物販)爆増

ヤフーの2019年3月期連結決算によると、「ショッピング事業」の取扱高は前期比22.6%増の7692億円(「ショッピング事業」は「Yahoo!ショッピング」とアスクルの日用品通販「LOHACO」、ペット用品ECを手がけるチャームの取扱高を合計したもの)。「ヤフオク!」の取扱高、アスクルのBtoB事業などを合わせた物販のeコマース取扱高は同8.3%増の1兆8769億円。一方のZOZO。2019年3月期の取扱高は3231億円(前年同期比19.4%増)と、ヤフー、ZOZOは2ケタ台の成長を続けている。

ヤフーとZOZOの取扱高の推移
ヤフーとZOZOの取扱高の推移

単純合算すると2社の2019年3月期における物販に関する取扱高は2兆2000億円。楽天の2018年度(2018年1~12月期)国内EC流通総額は前期比11.2%増の3兆4310億円(トラベルなど非物販含む)で、アマゾンジャパンの2018年における取扱高約2兆4000億円(ネッ担編集部推測)。

「シナジー効果を上げるために成功事例を突きつめていく」と話した川邊社長が示したのは、2015年に買収した一休。買収後、「Yahoo!トラベル」「一休」のトラベル事業は右肩上がりを続け、4年で取扱高は1.9倍に拡大。「Yahoo!トラベル」「一休」共に取扱高が増えたとし、このノウハウをZOZOにも活用するという。

ヤフーグループ入りした一休の取扱高推移
ヤフーグループ入りした一休の取扱高推移

結果的に、国内ECでNo.1が現実的に、射程圏内に見えてくる。今回の資本業務提携で、2020年代に国内ECでNo.1という目標に手が届きそうになる。(川邊社長)

2020年代に国内ECでNo.1をめざすヤフー
2020年代に国内ECでNo.1をめざすヤフー

コマース事業 営業利益 爆増

ZOZOがグループに加わることで、コマース事業の利益貢献度が大幅に向上するようだ。

ヤフーのコマース事業における2020年3月期の営業利益は700億円の見込み。ZOZOは320億円の営業利益を見通しているため、合算すると1000億円を突破。2020年3月期のコマース事業の営業利益は2019年3月期比で1.8倍規模になる。

コマース事業の営業利益拡大イメージ
コマース事業の営業利益拡大イメージ
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また、「ZOZOTOWN」にPayPayを導入するなど、ヤフーとZOZOはシナジー創出のポテンシャルが高い分野で連携を進めていく方針。

お互いのアセットを活用していろんなことができる。ヤフーもZOZOもネット企業のなかでは古参。お互いの成長ステージがあるが、これからの成長にはお互いがなくてはならない最高のパートナーになる。お互い尊重し合い、ZOZOとヤフーにしかつくれない、かっこよくて便利なeコマースの未来を創っていく。(川邊社長)

ヤフーとZOZOはシナジー創出のポテンシャルが高い分野で連携を進めていく方針
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瀧川 正実

ネットショップ担当者フォーラム編集部 編集長

通販・ECに関する業界新聞の編集記者、EC支援会社で新規事業の立ち上げなどに携わり、現在に至る。EC業界に関わること約13年。日々勉強中。

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