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品ぞろえの豊富さに加えて、消費者がオンラインショッピングに求める要素は、「スピード」と「コストセーブ(節約)」の2つです。「Amazon Prime」の会員は、すべてのEC事業者から、当日配送を含む迅速な無料配送を求めています。ECサイトの利用者が「送料無料」という言葉を聞くと、注意が向き、購入する可能性は確実に高まります。

消費者がEC注文に求める2つの要素は、配送スピードと送料無料

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsは、送料無料に改めて注目し、1000人のEC利用者を対象に調査を行いました(2020年3月に実施)。調査回答者の60%は「Amazon Prime」会員。「Amazon Prime」は、配送に関する消費者の認識に大きな影響を与えるため、調査参加者の多くがどのような視点で買い物をしているのかを把握することが重要だと考えたからです。

EC利用者が「Amazon Prime」を活用するようになり、送料無料の認識が変わってきました。品ぞろえの豊富さに加えて、スピードとコストセーブ(節約)は消費者がECサイトでの注文に求める2つの要素です。

「Amazon Prime」の会員はすべてのEC事業者に、当日配送を含む迅速な無料配送を求めています。58%の回答者が他の小売店でも無料配送してくれる商品が増えると予想していたのは、特に驚きではありませんでした。Amazon(アマゾン)から無料で発送されるなら、他の小売店もそれに追随すべきではないか、という認識なのです。

配送スピードが消費行動に影響を与える

最も興味深く感じたのは、買い物に影響を与える項目の中で配送スピードがトップになっていたことです。調査対象の60%の人が、2つのECサイトで価格が同じであれば、より速く届くECサイトに惹かれると回答しているため、配送スピードの速い方が競争力が高くなることを示唆しています

それほど重要ではありませんが、興味深いのは「Amazon Prime」会員の21%が、他のEC事業者がより多くの商品を当日配送を可能にすることを期待している、という事実でした。消費者は小売事業者に迅速な配送を求める一方で、配送料を可能な限り抑えたいと考えている、と結論付けることができます

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した「送料無料について1,000名のEC利用者を対象にした2020年の調査」
『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した「送料無料について1,000名のEC利用者を対象にした2020年の調査」(画像はThe Shopper Speaks: The fate of free shippingから編集部が作成)

送料無料サービスを好む消費者が多い

消費者は、小売事業者の送料無料を利用し続けています。Amazon以外でのオンラインショッピング利用の状況を尋ねたところ、回答者の70%が注文の半分以上に送料無料が含まれていると回答しました。また、17%はすべての注文が無料で配送されたものであることを示唆しています。

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した「送料無料について1,000名のEC利用者を対象にした2020年の調査」
『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した「送料無料について1,000名のEC利用者を対象にした2020年の調査」(画像はThe Shopper Speaks: The fate of free shippingから編集部が作成)

Amazon以外の多くのECサイトも、送料無料サービスを提供しています。消費者は送料無料に関して敏感になっており、送料無料サービスを提供しているECサイトをよく知っています。多くの場合、送料無料はショッピングサービスの一部と考えているようです。ただ、通常とは異なる配送サービスを消費者へ知らせるのにEメールは効果的です。このような現状を踏まえた上で、送料無料サービスを継続的に見直すことをお勧めします。

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した「送料無料について1,000名のEC利用者を対象にした2020年の調査」(画像はThe Shopper Speaks: The fate of free shippingから編集部が作成)

送料無料対象を一部商品に限定する戦略も

オンラインで買い物をする人の63%が、送料無料を最も重要視しているのは当然のことです。ファッションブランド「Victoria's Secret」は最近、送料無料を宣伝するために以下のようなメールを配信しました。

「Victoria's Secret」は、「ブラジャーの送料&返品無料 お気に入りのブラジャーがリスクなく試せるようになりました」と送料無料を宣伝
「Victoria's Secret」は、「ブラジャーの送料&返品無料 お気に入りのブラジャーがリスクなく試せるようになりました」と送料無料を宣伝(画像はDigitalCommerce360「The Shopper Speaks: The fate of free shipping」より編集部がキャプチャ)

送料無料には条件が付いてきます。37%の人が大部分の商品が無料であることに価値を見出し、30%のEC利用者は事前設定された最低注文額のラインを重要視しています。過去数年の間に、無条件で送料無料を提供したくない小売事業者は、数千もの商品で送料無料を実現してきました。

住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーンの「The Home Depot」は、この戦略を採用している事例です。数千の商品が、2日以内配送で送料無料の対象になっています。

ただ、このやり方はECサイト内で送料無料の商品にたどり着くことが難しいものでした。送料無料には条件があることを理解しているものの、送料無料にならないとイライラしてしまい、サイトを離脱する頻度が高くなってしまいます。

無料プログラムの提供も有効な手段の1つ

小売事業者が創造的なサービスを提供する方法はたくさんありますが、その1つが「Amazon Prime」を模倣することです。小売事業者は有料と無料、両方の会員プログラムを提供していますが、どの程度のけん引力があるかは、小売事業者とそのプログラムの内容に依存します。

長年、会員プログラムについて調べていますが、無料のプログラムを否定する理由は全くありません。Nikeはそのような無料プログラムを提供していますが、私はかなり前に送料無料のために会員登録しました。ですが、今日までにほんの数回しか注文していません。

ロイヤリティープログラムの特典も重視される

調査結果をまとめると、EC利用者にとって最も重要な送料無料オプションが何かわかります。調査対象となったEC利用者の27%が、小売店の有料会員特典を重要視しており、23%がリワードプログラム(ロイヤリティープログラム)の特典を重視していました

レディスファッションの「Ann Taylor」は、クレジットカードと付随特典の可視化を行っています。小売業者にとって多くのメリットがあるため、従業員が消費者に独自のカードを使用するように勧めるようになります。小売事業者のクレジットカードの特典は、回答者の21%にとって重要なものでしたが、今回の調査では、送料無料のオプションとしては最下位の結果でした。

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した「送料無料について1,000名のEC利用者を対象にした2020年の調査」
『Digital Commerce 360』とBizrate Insightsが実施した「送料無料について1,000名のEC利用者を対象にした2020年の調査」(画像はThe Shopper Speaks: The fate of free shippingから編集部が作成)

「他では入手できない」商品は送料支払い対象になり得る

送料を支払う理由はたくさんあります。送料を払うシンプルな理由の54%は、商品が欲しかったという基本的な事実です。一部の小売事業者は、自社商品が特別で他では入手できないため、優位な立ち位置を確立することができます。そのような場合、商品を手に入れる場所が1か所しかないため、37%が送料を支払っています。

それ以外でも消費者は、個人的な事情に基づいて送料を支払っています。その中には、陸路よりも早い配達を望んでいた人が33%いました。消費者は、送料が自身の考え方と個人的なニーズに合致するかを見極めるため、費用対効果を検討するでしょう。以下のような計算をして、実際に送料を支払っている消費者もいます。

  • 送料込みの全体的な価格が妥当だったから→45%
  • 送料無料になる最低商品注文数に達しなかったから→29%
  • 送料よりも割引額が上回ったから→27%

アパレル事業者の動向から無料配送に関するインサイトを得る

消費者のニーズを理解した上で、『Digital Commerce 360』発行「北米EC事業 トップ1000社データベース 2020年版」にランキングされているアパレル事業者20社を見ると、貴重なインサイトが得られると思います。アパレルは新型コロナウイルスの影響を受けたカテゴリーの1つなので、その無料配送サービスを調べることで、全体の方向性もわかるでしょう。

Nike、レディスファッションの「Chico's」、シューズウェアの「Foot Locker」には送料を無料にする会員制プログラムがありましたが、非会員が送料を払うという前提にしています

スポーツアパレルを扱う「Fanatics」だけが送料無料を行っていません。これは、商品の多くが他で手に入らないためだと思われます。送料無料になる購入金額があらかじめ設定されているのは、$49-50が7社、$25-35が3社、$60-75が3社、$100以上が2社でした。高級デパートチェーンの「Nordstrom」、「Victoria's Secret」、「The North Face」、ヨガウェアブランドの「lululemon」の4企業では無条件で送料が無料でした。

新型コロナウイルス危機の間、これらの小売事業者は、消費者が複数の注文をすることを促し、買い物の妨げになる要素を避けています。「北米EC事業 トップ1000社データベース 2020年版」にランクインしている企業の70%が送料無料を提供しており、送料無料になる最も一般的な最低注文額は50ドルです。

順位企業名送料無料サービスの有無最低注文金額
14Fanatics×NA
15Macy’s Inc.$25
18Nordstrom Inc.$0
21Kohl’s Corp.$75
23Gap Inc.$25
24Nike$150 または Nike会員
27Victoria’s Secret$0
34Urban Outfitters Inc.$50
45The North Face$0
46Foot Locker Inc.$50 または会員
49American Eagle Outfitters Inc.$50
55Lululemon Athletica Inc.$0
58L.L. Bean Inc.$50
61Lands’ End$75
87Carter’s Inc.$35
89Under Armour Inc.$60
96Chico’s FAS Inc.$100 または 会員
44Dick’s Sporting Goods$49
72REI$50
102Lulus.com$50

◇    ◇    ◇

送料無料はこれからも常に支持されていくでしょう。無条件で送料無料にできない場合、小売事業者は、会員プログラムや特典で消費者を惹きつけましょう。AmazonがEC業界のスタンダートを作っていくため、引き続き送料無料に関する動向は注視する必要があります。間違いなく、消費者は節約する方法を探し、すべての注文で送料を無料にする方法を見つけていくでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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