石居 岳 2021/6/24 9:00

帝国データバンクによると、2020年度の国内における家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)は前年度比6.1%増の約1兆5000億円となった。ニトリやIKEAなど大手各社が業界全体をけん引し、過去最高を更新する見通しだ。

家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)
家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)

総務省の調査によると、家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額(12か月移動平均値)は総じて前年を上回る水準で推移。一般家具はリアル店舗・ネットでの購入を含め、2019年の消費税増税による駆け込み需要から反動減となった9月を除くすべての月で前年から支出額が増加した。

家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額推移
家具や寝具、ホームインテリアなどへの支出額推移

コロナ禍での在宅勤務など、自宅で長時間を過ごす新しい生活様式が定着。自宅の仕事環境の整備や、普段の生活の中における「快適性」を重視する傾向が強まった。こうした外部環境を背景に、家具販売各社では低価格帯に強みを持つ大型量販店、EC販売分野に特化した家具店で、前年度から大幅な増収となる企業が相次いだ。

ニトリの2021年2月期の連結売上高が前期比11.6%増の7169億円。イケア・ジャパンの2020年8月期は前年比2.7%増の867億円。ホームセンターのナフコにおける家具販売事業も同6.7%増の475億円と伸長した。

EC販売も大幅に伸びた。「LOWYA」ブランドを展開するベガコーポレーションの2021年3月期は前年を大幅に上回る業績を確保している。

一方、好調な大手とは対照的に高級家具店や町の家具店は苦戦。規模別では、年商10億円以上の大・中型店舗の約半数が前年比で増収だったが、高級家具店やセレクトショップなどアッパーミドルの価格帯を得意とする家具店は業績が伸び悩んでいる。

大規模ショールームや自前のネット販売チャネルを持たない小型店舗も増収の割合が低いほか、零細店舗では売り上げ伸び率の平均が1割超のマイナスに。コロナ禍で家具・インテリアの買い替え需要は増加したものの、客足の多くが低価格帯に流れ込んでおり、こうしたラインナップに勝る大手やEC専門店と小規模店で業績の二極化がより鮮明となっている。

企業規模別の販売状況
企業規模別の販売状況

2021年度の家具販売はニッチな高級家具市場と低価格家具の二極化が進行する予想。特に低価格市場が占めるシェアは高ると帝国データバンクは予想する。低価格帯では引き続き大手の出店攻勢が続くほか、異業態からの参入も相次ぐなど、国内家具・インテリア市場は拡大する低価格家具市場のパイを取り合う厳しい競争が続く。

飛躍的な成長を見せる家具のD2C業態は世界的にも浸透が進む。欧州市場では豊富な品ぞろえや配送料無料を武器に急成長を遂げる「ホーム24」(独)、スタイリッシュで高品質な家具で人気を集めるメイド・ドット・コム(英)など、新興のD2C家具企業が台頭。こうしたEC販売のシェア拡大は国内でも同様に進むと見られ、競争はより熾烈化していくとしている。

この記事が役に立ったらシェア!
これは広告です

ネットショップ担当者フォーラムを応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

[ゴールドスポンサー]
ecbeing.
[スポンサー]