公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)は1月9日、都内で新年賀詞交歓会を実施した。冒頭にJADMA会長で千趣会社長の梶原健司氏が登壇し、通販市場の現状や業界が直面する課題、今後の展望について語った。
「さらに前へ踏み出す1年に」
梶原氏会長は「今年の干支は、力強く前へ駆け抜ける、発展と飛躍の象徴とされている」と述べ、生活者の期待が多様化し、社会インフラとしての責任が高まる通販業界にとって「さらに前へ踏み出す1年になる」との認識を示した。
JADMAとしては、「安心・安全の徹底」「健全な市場の形成」「新たな価値創造」を基本方針に、各種取り組みを強化していくと説明した。
通販市場の規模について、2024年度(2024年4月~2025年3月)は前年比7.3%増の14兆5500億円となり、26年連続で拡大していることに言及。「通販が生活者から選ばれ続ける産業として、信頼を積み重ねてきた結果だ」と評価した。

業界を取り巻く環境
一方で、業界を取り巻く環境は「かつてないほどに複雑化している」とし、主に次の3点を課題としてあげた。
物流問題
再配達削減や置き配など配達方法の多様化、地域物流との連携といった取り組みが進む一方で、「構造的な課題は依然として残っている」と指摘。業界・行政・産業横断での仕組み作りが急務だと強調した。
コンプライアンスの高度化
特定商取引法や景品表示法の改正などを背景に、広告表示や定期購入の適正化など、事業者に求められる水準は年々高まっている。「消費者保護と事業成長の両立のためには、信頼を基盤とした、より透明で誠実な取引が不可欠だ」と述べた。
情報セキュリティ・個人情報保護
サイバー攻撃などの被害が会員企業にも及んでいる現状を踏まえ、「企業の信頼を支える基盤であり、経営上の重要なリスク」と位置付けた。JADMAとしても、情報共有や政策提言を通じて業界全体のセキュリティ水準向上に取り組む考えを示した。
生成AIなどテクノロジーがもたらす可能性
課題が山積する一方で、「私たちの前には大きな可能性も広がっている」と述べ、その代表例として生成AIなどのテクノロジーの進化をあげた。生成AIは、顧客対応や需要予測、サプライチェーン最適化など、通販事業を大きく変革する可能性を秘めていると指摘。その上で、「AI活用が信頼を損なうことのないよう、健全な活用と秩序あるルール形成に取り組む」とした。
また、日本企業の強みを生かした越境ECについても触れ、人口減少が進むなかで「越境EC市場の重要性は今後さらに高まる」との見方を示した。
業界団体としての役割を強調
梶原会長は、「不確実性の高い時代だからこそ、業界団体の役割はいっそう重要になる」と強調。安心・安全で健全な市場形成と、新たな成長機会の創出を両輪として、業界の発展に貢献していきたいと語った。また、「JADMAマークのついた通販は安心である」というステータスを、改めて確立していく必要性を訴えた。
最後に、JADMAのコンセプトである「楽しく便利な通販」「世の中をもっと楽しくする」という理念をあらためて掲げ、「原点に立ち返りながら、皆さまと共に活力ある業界作りを進めていきたい」と挨拶を締めくくった。
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