通販の「アップセル」「クロスセル」規制の強化は現実化へ? 消費者庁は「改正に向けて検討中」
消費者庁審議官の真渕博氏は、電話受注の際に行う通販の「アップセル」「クロスセル」の販売手法を規制する改正特商法について「改正する方向で進めている」と話した
消費者庁の真渕博審議官は公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)の新年賀詞交歓会で、2022年11月に公表した特定商取引法施行令の改正案について言及した。
特定商取引法施行令の改正案は、電話受注の際に行う通販の「アップセル」「クロスセル」を規制する内容。真渕氏は「特定商取引法の施行令を改正する方向で、各関係各方面の意見を踏まえつつ、現在検討を進めている」と通販関係者らに話した。
真渕氏は、「JADMAの消費者相談窓口において、定期購入トラブルに関する相談が大幅に減少していると聞いている」と説明。改正特定商取引法における詐欺的な定期購入商法対策に関する規定を2022年6月に施行したことに言及した。
2022年6月施行の改正特商法では、カタログ・チラシなどを利用した通販の申込書面や、ECサイトなどインターネットを利用した通販をするときの注文確定直前の最終確認画面で、支払時期や支払方法など各条項の明記することを定めた。
特定商取引法施行令の改正案によって、まっとうなビジネスを展開する通販企業の「クロスセル」「アップセル」に大きな打撃を与えることが予想される。「電話勧誘販売」の適用を広げる改正案について、真渕氏は次のように話した。
消費者がテレビCMや新聞広告などを見て注文するためにかけた電話で、事業者から広告にない商品を不意打ち的に勧誘された場合、通販ではなく「電話勧誘販売」に該当するよう、特定商取引法の施行令を改正する方向で検討を進めている。(真渕氏)
真渕氏は「悪質な事業者を排除し、消費者の利益の保護と業界の健全な発展に寄与していきたい」とし、通販業界に協力を呼び掛けた。
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電話受注の際に行う通販の「アップセル」「クロスセル」が「電話勧誘販売」に該当するようになると、電話を通じた「クロスセル」「アップセル」は実質的にできなくなる。悪質事業者の排斥だけにとどまらず、健全な事業活動を営む通販企業にとっても大きな障壁になってしまわないか。引き続き注視の必要がある。