「物価高」で道路貨物運送業の倒産が急増、今後は「2024年問題」もネックに
東京商工リサーチの調査によると、道路貨物運送業の倒産が増加している。
2022年(1-12月)の倒産件数は248件(前年比46.7%増、前年169件)で、2年連続で前年を上回った。件数が200件台に乗ったのは、2015年の240件以来、7年ぶりという。
2022年の倒産のうち、燃料費高騰など物価高を要因としたものは69件(構成比27.8%)。4分の1を物価高に関する倒産が占めており、外部環境の悪化が道路貨物運送業者を直撃している。
負債総額は379億1000万円(前年比115.0%増)で、2年ぶりに前年を上回った。2013年以降の10年間では3番目に高い水準で、負債10億円以上の倒産が4件(前年1件)のほか、同5億円以上10億円未満が11件(同6件)とほぼ倍増し、負債総額を押し上げた。
公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が開いた賀詞交歓会では、経済産業省の大臣官房審議官(商務・サービス担当)の澤井俊氏が、物流業界の「2024年問題」を踏まえ、現在の物流量の36%が運搬できなくなる可能性があると警鐘を鳴らしている。
働き方改革関連法の施行に伴う「時間外労働時間の上限規制」などが、2024年4月から「自動車運転の業務」にも適用。「2024年問題」は、これによりドライバーの離職や売上減、荷主企業は運賃値上げの可能性などが懸念されている。
運送・物流業界は、燃料費高騰、人件費上昇に伴う荷主への価格転嫁が喫緊の課題となっており、ドライバーの時間外労働時間の上限規制が適用される「2024年問題」(2024年4月1日~)への対応は急務。経営体力の弱体化が目立つ運送業者も目立ち、2023年も倒産の増勢が続く可能性が高まっている。
経産省は2022年9月から、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を実施しており、「いかに輸送効率を上げるか」を継続して模索している。