「通貨」「決済方法」「関税」。海外への販売で避けられない課題を解決する「Global-e」のソリューションとは
少子高齢化、人口減少などで海外に目を向ける日本企業は少なくない。ただ、自社のECサイトから海外に販売しようとすると、多言語対応、各国でローカライズされた購買体験の提供、越境販売する上での規制や出荷先国での納税など、様々な壁にぶつかる。
そんな中、安心・安全に、海外ユーザーにも優れた買い物体験を提供できる越境ECソリューションがある。Global-eは、米国、ヨーロッパ、アジアの 1,000 以上のブランドのパートナーとして選ばれており、adidas、 Marc Jacobs、Hugo Boss、Netflix、ほぼ日ストアといったグローバルブランドに越境ECソリューションを提供する。
日本法人のGlobal-e Japan Sales VP 神吉真由氏が、日本のECストアの導入事例、越境ECの現状とこれから、などについて解説する。
海外の決済手段、関税にも対応するGlobal-eの越境ECソリューションとは
海外ユーザーが越境EC支援サービス「Global-e」を導入したECストアにアクセスすると、「あなたの国まで配送していますよ」のウェルカムメッセージが表示され、ストアのトップには「○○ユーロ以上の買い物で送料無料」など、ローカライズされたマーケティングバナーが表示される。
また、商品価格は現地の通貨で表示されており、海外ユーザーがストアで購入を進めると、ストアの決済画面にたどり着く。その決済画面では150以上の決済方法に対応、越境ECに欠かせない関税にも対応する。それらをGlobal-eがサポートしている。
海外ユーザーにとっては、関税と税金を決済時に確認できるところが大きい。税金を含めて実際に総額でいくら払うのかがわかるというのはとても重要。配達時に関税と税金が請求される場合、「関税税金を払うなんて知らなった」とか「高過ぎる」と受け取り拒否になったり、クレームになったりすることがあるが、その心配がなくなる。
決済方法は150以上提供しており、後払い決済もある。これにより、非常に買いやすく、国内ECストアで買うのと同じ感覚になる。(神吉氏)
好調なEC市場に秘められている越境ECのポテンシャル
マクロ的に見た世界のECのトレンドについて解説していく。周知の通りコロナ禍でEC全体の市場規模は大きく成長した後、2022年はロシア-ウクライナ戦争を発端とした原材料の高騰、サプライチェーンの混乱などがあり、成長が鈍化。2023年は緩やかに成長していく見通しが立っているという。Insider Intelligenceによると、世界のEC市場規模の伸び率は、2023年は8.9%増、2024年は9.4%増の成長が見込まれている。Source: eMarketer, Worldwide Ecommerce Forecast 2023, Aug 2023
そんななか、海外のブランドサイトから商品を買うユーザーは着実に増えてきている。世界のBtoC-EC市場は2030年までには、およそ7.9兆ドルに成長すると予測。越境ECの利用率と合わせて見てみると、まだまだ巨大な市場が眠っており、大きなポテンシャルを秘めていると言えるだろう。Source: eMarketer, January 2022; Statista, 2023, Global cross-border e-commerce market value 2030 | Statista
Global-eの越境ECソリューションの導入を考えている日本国内の企業も「外に目を向けるしかない」ということはわかっていると神吉氏は説明する。日本国内は最大で1億人の市場だが、国外には何十倍もの市場があるからだ。
越境ECで買い物をする理由
2022年8月、Global-eは9か国・9000人を対象にアンケートを実施した。「海外のオンラインストアから買い物をする理由」という質問には、「商品価格が魅力的だった」という回答が47%と半数近くを占めている。その次は「商品の種類が豊富」(37%)だ。現地の店舗では商品数を絞って展開するEC事業者が多いため、ユーザーは気に入った海外ブランドのサイトから直接買うのだ。
「あなたの好きな購入方法は?」という質問には「ブランドのECサイトから直接買いたい」という回答が58%だった。その他は「マーケットプレイスで買いたい」(40%)、「現地の店舗」(35%)であった。つまり半数以上のユーザーが、ブランドの越境ECサイトから直接買いたいと思っている。
越境ECの世界的なトレンド
最後に神吉氏は「Global-e」を導入している企業のデータから、D2Cの越境ECで盛り上がっている国を紹介した。
高い成長率をみせる国と地域
注目なのがメキシコで、2022年上半期から比べると成長率が60%と他国に大きな差をつけて伸びている。理由は通貨のペソの為替レートが強く、米国のECをよく利用しているからだと考えられる。メキシコ以外では、中東地域が非常に高い成長率である。
2022年上半期と比較して、2023年上半期は多くの国が成長率をプラスにしてきた。まずはUAE(アラブ首長国連邦)やサウジアラビアだ。こういった中東の国々で海外のオンラインストアからの購入が増えた。またポーランド、チェコも伸びた。これはウクライナとロシアの戦争の影響を受けてマイナスとなっていた2022年に対し、2023年はリカバリーしてプラスに転じている。
越境ECを利用する国とは?
米国は越境ECでビジネスをしていくには大変な国である。理由は州ごとに異なる税率だ。ただ、「Global-e」を利用すれば決済時に州に応じた税の支払いが可能なため、導入企業は安心して米国向けに越境ECを展開できるだろう。
カナダ、英国、中東のUAEなども大きなマーケットだ。ちなみにUAEのユーザーに「どこの国からショッピングしたいか」と聞くと、約20%が日本という回答だった。また、UAEで「D2Cで買いたいか」と聞くと72%が「ブランドから直接買いたい」と答えた。
2022年上半期と比較して、2023年上半期60%成長をみせているメキシコ。そしてオンラインショッピングや越境ECの利用に伸びしろのある日本にも期待したい。また、意外にもアジアの韓国や中国は、まだまだ出荷先、つまり越境ECを利用する国であり、越境ECのポテンシャルはまだまだあると神吉氏は語った。