鳥栖 剛[執筆] 11/7 8:00

ヤマトホールディングス(HD)の2024年4-9月期(2025年3月期中間期)連結決算における宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の取扱数量は、前年同期比3.5%増の9億4417万個だった。一方で、平均単価は同1.7%減の708円(前年は720円)に下落した。

ヤマトホールディングス(HD)の2024年4-9月期(2025年3月期中間期)連結決算における宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の取扱数量
宅配便数量は増加したが単価は1.7%のマイナスとなった(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

取扱数数量の内訳は、リテール領域(小口法人・個人)が同1.9%減の4億2824万個、法人領域が8.5%増の5億1593万個。法人領域については7-9月期(第2四半期)単体が前年同期間比で10.1%増の2億6996万個となり大きく伸びた。なお、前年同期間(2023年7-9月期)は同2.7%減と落ち込んでいた。

ヤマトホールディングス(HD)の2024年4-9月期(2025年3月期中間期)連結決算における宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の取扱数量
法人領域は純2Qに大きく取扱数量を伸ばした(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

法人領域の取扱数量増は新規獲得の進展などが奏功したと説明。一方、法人領域の単価は中間期で前年同期比2.5%減と落ち込んだ。7-9月期では前年同期間比2.8%減、予想比からも1.3%減となった。単価低下の要因については荷物構成変化の影響が続いたとしている。

ヤマトHDは2024年3月期から、出荷数量やオペレーションへの負荷などを踏まえ法人向け送料の「適正運賃収受に向けた個別交渉」に取り組んでいる。個別契約締結の法人に対するプライシング適正化を推進中だ。プライシング適正化効果は下期から反映していく見通しだが、中間期はクール宅急便料金の交渉が進展し、法人利用顧客全体の70%超が10月から適用となるという。

ヤマトHDでは2024年4月にクール付加料金を改定、法人顧客への交渉を進めていた。2025年3月末までに全顧客に適用予定とし、クール宅急便単価(運賃+料金)の改定率は約8%としている。改定率はクール宅急便のサイズ別運賃・料金を基に試算した。

そのほか下期の方針として、12月のピークシーズンにおけるキャパシティ限度を踏まえたシーズンチャージ適用など低採算顧客を中心とする約1800社との個別交渉を推進していくという。予測数値として、下期は単価を前期比0.3%増、7億円の利益押上げ効果を見込む。

ヤマトホールディングス(HD)の2024年4-9月期(2025年3月期中間期)連結決算における宅配便(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY)の取扱数量
プライシング適正化としてシーズンチャージ適用の推進も(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

2024年4-9月期業績と通期業績の予想

ヤマトHDの2024年4-9月期連結業績は、営業収益が前期比3.0%減の8404億1300万円。営業損益は150億100万円の赤字(前年同期は123億5800万円の黒字)、経常損益は136億5200万円の赤字(前年同期は126億4100万円の黒字)、純損益は111億7400万円の赤字(前年同期は53億8400万円の黒字)だった。

越境ECやBtoB-ECを中心に宅配便の取扱数量が増加したものの想定には届かなかったとしている。物流代行の需要減少や投函サービス(クロネコDM便)の取扱数量減少なども減収の要因に。また、貨物専用機(フレイター)を活用した新たな需要獲得にも苦戦している。そのほか新型コロナワクチン案件・大型リコール案件の反動減も影響したという。

コスト面では積載効率低下による輸送領域のオペレーティングコストや中期経営計画の戦略遂行に伴う先行費用などがかさみ営業利益を押し下げた。外部環境の変化による時給単価の上昇やパートナー企業に対する委託単価の上昇も継続しているという。

通期業績予想の下方修正も行った。営業収益は中間期の状況や今後の見通しを踏まえ、前回予想値から500億円減となる1兆7300億円に下方修正。営業利益は同400億円減の100億円、経常利益も同400億円減の100億円、当期純利益は同270億円減の50億円に下方修正した。

ヤマトHDでは10月に執行体制を強化し、施策ごとに加速・見直しを図ることで収益性改善を目指すとしている。

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