飲食料品の値上げ、2025年10月までに1.4万品目。2025年5月は5か月連続で前年超え
帝国データバンクが実施した、2025年5月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しに関する調査によると、2025年1月~10月までの値上げする累計品目数は1万4409品目となり、2024年の実績を上回る見通しだ。
5月だけでも、値上げとなる食品は478品目。食品分野別では、ハム・ソーセージなど食肉加工食品が多くを占める「加工食品」の値上げが目立つ。
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした5月の飲食料品値上げは478品目で、値上げ1回あたりの平均値上げ率は15%。単月の値上げ品目数としては、1月以降5か月連続で前年同月を上回った(前年同月比51品目、同11.9%増)。
帝国データバンクによると、前年同月を5か月連続で上回るのは、記録的な値上げラッシュの1年となった2023年6月以来、約2年ぶりという。
2025年通年の値上げは、2025年10月までの公表分で累計1万4409品目にのぼり、2024年通年の実績(1万2520品目)を超えた一方、1回あたりの平均値上げ率は16%で、2024年の17%を下回る。
6月と7月は単月で2024年を大幅に上回る1000品目超の値上げが予定されており、帝国データバンクは「2025年における飲食料品値上げの勢いは2024年に比べて強い状態が続くことが予想される」と見ている。
また、帝国データバンクは「2025年の値上げは年間累計では最大2万品目が予想されるが、飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年の2万5768品目に並ぶ水準に到達する可能性もある」と示唆している。
2025年5月の値上げで多いのが、ハム・ソーセージなど食肉加工食品が多くを占める「加工食品」137品目(値上げ率16%)、カレールウなど香辛料を中心とした「調味料」192品目(値上げ率12%)。48品目が値上げされた「酒類・飲料」は、コーヒー飲料などが主な対象となった。
2025年の10月までの値上げ品目数を食品分野別に見ると、カレールウなどの香辛料製品やだし製品を中心とした「調味料」が最も多い4904品目、続いて冷凍食品やパックごはんなどの「加工食品」が3685品目、清酒やビール、清涼飲料水などの「酒類・飲料」が2759品目となっている。

2025年の10月までの値上げ要因として最も多いのは、原材料などモノ由来の「原材料高」で97.9%、続いて「物流費」が79.7%、2年ぶりに前年を上回った「エネルギー(光熱費)」が66.1%。
人手不足に伴う昇給・賃上げによるコスト増を背景とした「人件費」は52.0%で、帝国データバンクが要因別の集計を開始した2023年以降で最高値となった。
トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げは79.7%を占め、帝国データバンクの前月調査時(81.8%)からは割合が低下した。

帝国データバンクは値上げに関連して今後の市況を次のように考察している。
2025年は人件費や物流費などのコスト増を受けた価格転嫁の動きが続き、粘着性の高いインフレ圧力として飲食料品の値上げに強い影響を及ぼしている。
足元では1ドル140円前後の水準まで円高が進み、2022年以降の値上げで主な要因となった小麦粉で値下げの動きもあるものの、プラ容器など包装資材を含めた「モノ由来」「サービス由来」双方の値上げ圧力が強く、今夏以降も価格改定による採算改善をめざす動きが各社で続くとみられる。