全国企業「倒産リスク」、小売業は2.6万社。物価高と人手不足が直撃

帝国データバンクが企業の倒産について調査した結果によると、2024年、小売業では倒産リスクが高い企業が2.6万社だった。仕入れ価格や人件費の高騰などが影響していると見られる

松原 沙甫[執筆]

2月5日 7:30

帝国データバンクが、今後1年以内に倒産する確率を個別企業ごとに算出したリスク指標を用いて、全国の「高い倒産リスクを有する企業」を調査・分析したところ、倒産リスクが高い全国の企業のうち小売業は2.6万社だった。

企業が1年以内に倒産する確率を、10段階のグレードで表す指標「倒産予測値」で帝国データバンクが算出した147万社のうち、2024年12月時点で高リスクの企業(グレード8~10)は全体の8.6%にあたる12万6960社。業種別で見ると、高リスク企業が多い業種では物価高による消費者の買い控えや、働き手の人手不足、人件費高騰が直撃していると見られる。

2024年12月時点の倒産高リスク企業の数
2024年12月時点の倒産高リスク企業の数

2024年の倒産件数は9901件で、前年の8497件を1404件上回った。新型コロナウイルス状況下の“ゼロゼロ融資”の影響から、2021年は倒産件数が減少。しかし、融資返済や物価高、人手不足などさまざまな環境の変化により、3年連続で前年を上回る倒産が発生した。また、休業・廃業、解散した企業は6万9019件となり、前年に比べて9914件増加(前年比16.8%増)となった。

小売業は物価高騰、人件費高騰の影響が色濃く

業種別に高リスクの企業数を見ると、「建設業」が2万8817社と最も多く、前年比で4445社増加した。2番目に多い業種は「製造業」の2万8571社で同3303社の増加。3番目が「小売業」の2万6464社で同2197社の減少となっている。

業種別の倒産件数
業種別の倒産件数

「小売業」のうち、1万134社は原材料や光熱費、人件費の高騰、物価高による節約志向の影響を受けている「飲食店」(高リスク企業のうち44.4%)だった。食品の値上げはピーク時よりも落ち着いてきたものの、買い控えや価格転嫁の限界感などもあり、「飲食料品小売業」(同39.8%)も上位となっている。

高リスク企業数の推移(業種別)
高リスク企業数の推移(業種別)

「売上高10億円未満」「従業員10人未満の小規模企業」で倒産リスクが高い傾向

高リスク企業を売上高別にみると、「1億円未満」が8万1430社で最多。「1~10億円未満」が4万1168社で続き、「10億円未満」の企業で全体の96.5%を占めた。

従業員数別も同様の傾向で、「5人未満」が7万9873社と最も多い。「5人~10人未満」が2万886社で続き、高リスク企業は小規模企業が圧倒的に多いことがわかった。

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