Digital Commerce 360[転載元] 10/9 8:00

OpenAIは「ChatGPT」の新機能「Instant Checkout(インスタントチェックアウト)」を開発、チャット画面からECサイトの商品を消費者が直接購入できるようにしました。ハンドメイドEC「Etsy」を運営する米国企業Etsyでは、「Instant Checkout」との連携で、「Etsy」で展開している商品を消費者が「ChatGPT」のチャットから直接購入できます。「Instant Checkout」は今後、ECプラットフォーム「Shopify」を利用するEC事業者にも展開される予定です。

「ChatGPT」から消費者が直接購入できる新機能「Instant Checkout」

OpenAIが9月末、「ChatGPT」の新機能として発表した「Instant Checkout」は、OpenAIが提唱する「エージェンティック・コマース・プロトコル(Agentic Commerce Protocol)」を活用し、ECにおける新たな購買体験を提供するものです。

事業者がこの機能を連携すると、顧客は「ChatGPT」のチャット内に表示される結果から、事業者がECサイトで展開している商品を直接購入できるようになります。

OpenAIの説明によると、「Instant Checkout」機能は、米国の「ChatGPT Plus」(ChatGPT 」の有料版)、「ChatGPT Pro」(有料のサブスクリプション)、「ChatGPT Free」(無料版)ユーザーが利用可能です。「ChatGPT」の会話内に表示される結果から直接購入手続きができます。

OpenAIによる、Etsyの「Instant Checkout」の連携に関するポスト

ハンドメイドECのEtsyが導入開始

OpenAIは、「Instant Checkout」の最初の導入企業としてEtsyをあげています。EtsyとOpenAIのこれまでの連携をさかのぼると、2025年1月にOpenAIのAIエージェント「Operator(オペレーター)」を最初に導入する企業の1つになると発表。今回の「Instant Checkout」の導入は、これに続く連携です。

「Operator」の発表当時、InstacartやeBayもEtsyと同様に「Operator」導入を発表しましたが、今回の「Instant Checkout」については、OpenAIは導入企業としてInstacartやeBayには言及していません。

商品検索、購入、注文などのユーザーによるアクションをサポートする「Operator」。ユーザーが実行したいタスクを入力すると、クラウド上に独自の仮想Webブラウザを起動する(画像はOpenAIのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)
商品検索、購入、注文などのユーザーによるアクションをサポートする「Operator」。ユーザーが実行したいタスクを入力すると、クラウド上に独自の仮想Webブラウザを起動する(画像はOpenAIのコーポレートサイトから編集部がキャプチャ)

Etsyが期待する「Instant Checkout」の効果

Etsyの最高製品・技術責任者(CTO)であるレイフ・コルバーン氏は、9月29日のリリースで次のようにコメントしています。

「Etsy」は、500万人以上のクリエイティブなハンドメイド作家が出品するマーケットプレイスです。それを運営するEtsyの使命は、ユーザーが簡単に欲しい商品を見つけ、ハンドメイド作家による特別なアイテムに出会えるよう、あらゆる障壁を取り除くことです。その取り組みをさらに進めるため、OpenAIと提携し、オンラインショッピングのどの段階でもユーザーに高い利便性を提供できるようにしていきます。(コルバーン氏)

コルバーン氏によると、9月29日時点で米国のユーザーは「『ChatGPT』上で直接『Etsy』が取り扱う商品を見つけ、閲覧し、購入できる」ようになっています。

「Instant Checkout」の導入効果で、顧客は「ChatGPT」のチャットから直接購入できる(EtsyのYouTubeアカウントから追加)

「Shopify」利用企業に拡大予定

「Instant Checkout」機能は今後、「Shopify」の利用企業にも順次展開される予定です。OpenAIは化粧品ブランド「Glossier(グロッシアー)」、下着ブランド「SKIMS(スキムズ)」、補正下着ブランド「Spanx(スパンクス)」、アパレルブランド「Vuori(ヴオリ)」を、「Instant Checkout」を連携するECサイトの例にあげています。

現在のところ、「Instant Checkout」は単一商品の購入に対応しており、複数商品をまとめて購入できるカート機能、「Instant Checkout」の連携企業・地域の拡大を今後計画しています。

Stripeと共同開発した「Instant Checkout」の仕組み

OpenAIと決済ベンダーのStripeは、「Instant Checkout」のプロトコル「エージェンティック・コマース・プロトコル(ACP)」を共同開発し、オープンソース化しています。このことについて、Stripeのテクノロジー&ビジネス部門プレジデント、ウィル・ゲイブリック氏は次のように話しています。

Stripeが「ChatGPT」の「Instant Checkout」機能を支えること、そしてビジネスやAIプラットフォームがECの新たな形を構築できるよう支援するために、ACPを共同開発できたことを誇りに思います。(ゲイブリック氏)

OpenAIとStripeが共同開発したプロトコルの仕組みについて記された技術文書によると、「ChatGPT」が注文を開始すると、必要な注文情報が「Instant Checkout」連携企業のバックエンドに送信され、連携企業がその注文を承認または拒否。承認された場合は、既存の決済プロバイダーを通じて支払いが処理され、通常の出荷およびカスタマーサポート業務が続行されます。

ECサイトの決済ですでに「Stripe」を利用している企業は、自社サイトのコード内で「Stripe」による決済機能を「Instant Checkout」からの注文にも有効にすることができます。

また、他の決済サービスを使用しているECサイトでも、Stripeの「Shared Payment Token API」や「ACP Delegated Payments Spec」にアクセスすることで、この仕組みを利用できます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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