Digital Commerce 360[転載元] 8:00

米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の「2025年版Eコマース・コンバージョンレポート」の調査結果から、消費者が商品をカートに入れたまま離脱するカゴ落ちの理由が明らかになりました。その内容から、カゴ落ちの改善ポイントが明確に見えてきています。調査結果を踏まえ、カゴ落ちの原因や改善方法を解説します。

消費者がカゴ落ちする理由

カート放棄は減少傾向

2025年、EC小売事業者がコンバージョン率を上げる方法を模索するなか、頻繁に話題にあがるのが「なぜカゴ落ちするのか」というテーマです。その答えは一概には言えませんが、データからいくつかの傾向が読み取れます。

『Digital Commerce 360』の調査データによると、チェックアウト時のカゴ落ちは頻繁に起きている現象ですが、データからはポジティブな傾向も見られます。

2025年版の調査では、「これまで一度もカート破棄をしたことがない」と回答した割合が前年より増加。2025年は8.4%で、2024年の5.3%から3ポイント以上上昇しています。ちなみに2022年にはわずか2.5%でした。

一方で、依然として91.6%の消費者はカートに商品を残したままECから離れています。これからその理由を見ていきます。

カゴ落ちの3大理由

『Digital Commerce 360』は調査で、EC利用者1023人に対し、「これまでオンラインカートに商品を入れたまま購入せずに離れたことがありますか? その場合、理由は何ですか?」という質問をしました。

予想よりも高い送料

「カート放棄」したと答えた消費者のなかで、特に多くあがったのは3つの理由でした。上位2つの理由のうち、1つは比較的対処がしやすいものです。それは「送料が思ったより高く、合計金額が予想を上回った」(30.1%)という理由です。

この問題を解決するには、消費者の期待値を図りながら送料を明確に設定し、送料を含めた購入金額が消費者の予想を満たす、もしくは消費者の期待を上回る状態にすることが重要です。自社ECのこうした透明性を確保することは、顧客からの信頼とロイヤルティを築くための基本でもあります。

無料配送の条件を満たしていなかった

3番目に多かった理由も、同様に送料に関するもので、「自分の注文が無料配送の条件を満たしていなかった」(26.6%)。この場合、小売事業者が「無料配送の条件」をもっとわかりやすく提示しておけば、消費者が失意してカゴ落ちするのを防げた可能性があります。

あとで買うためにカートに入れた

同率1位であがったのが、「あとで買うためにカートを保存しておきたかった」(30.1%)。これは、ある意味で小売事業者が受け入れざるを得ない消費者の購買行動かもしれません。
ただし、このようなケースでも、メールや通知などで「カートに残っている商品」を思い出させるフォローアップを行うことで、カートに入れたまま忘れてしまった消費者の購入につなげることが可能です。

カゴ落ちする理由(出典:2025年9月『Digital Commerce 360』 および Bizrate Insights 調査データ。チャート作成:『Digital Commerce 360』)
カゴ落ちする理由(出典:2025年9月『Digital Commerce 360』 および Bizrate Insights 調査データ。チャート作成:『Digital Commerce 360』)

カゴ落ちを減らす鍵は消費者の期待に応えること

カゴ落ちの割合は年々減少傾向にありますが、EC小売事業者は消費者の期待を正確に把握し、応えることは依然として課題であることが、例年に続いて2025年の調査でも示されました。

特に、2024年よりも回答率が上昇した項目には、期待値のコントロールの不十分さを示すものが多くありました。たとえば「ギフトカードが利用できなかった」(10.3%)という回答は前年比で3.4ポイント増加しています。

また、「配達予定日や保証された納期がなかった」(13.0%)という回答も増えています。さらに、「サイトの読み込みが遅かった」(9.3%)と答えた割合も上昇しました。

これら全てのケースで、小売事業者はより早い段階で明確な情報を提示し、顧客をがっかりさせててしまうような要素を減らすことで、信頼を得る余地があると言えます。カゴ落ちを減らすことにもつながるでしょう。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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