Digital Commerce 360 2019/6/27 8:00

オンラインショッピングを利用する消費者の約3分の2は、購入を完了する前にカートを離脱していることが、さまざまな調査で明らかになっています。小売事業者が、カート離脱(カゴ落ち)を減らすためにできる6つの方法をご紹介します。

Baymard Institute社の調査によると、ECサイトのカート破棄率は平均69.57%だそうです。言い換えれば、ECサイトでチェックアウトに進んだ消費者のうち、注文を完了するのは3分の1に満たないということです。

多くの場合、消費者は合計金額を確認するため、もしくは後で購入するために商品をカートに入れています。しかし、カート離脱の軽減のために小売事業者ができることもあるのです。以下の6つのアイデアを実行することで、ECのカート離脱を大幅に減らすことができます。

追加コストが高過ぎる(送料、税金、手数料)	55%
アカウント作成が必要	34%
完了までのプロセスが長すぎる/複雑すぎる	26%
合計金額が最初にわからなかった	21%
クレジットカード情報を入れるほど信用できない	17%
エラーが発生した	17%
配送が遅すぎた	16%
返品ルールに不満があった	11%
支払い方法の選択肢が少な過ぎた	6%
クレジットカード決済が拒否された	4%
カート離脱をした理由(n=2,584/2018年)
Baymard社の調査をもとにネットショップ担当者フォーラム編集部で作成

1. 余分なコストを最小化する。そして事前に知らせる

カート離脱を大幅に削減する一番の方法は、送料、税金、手数料など、消費者にとって余分なコストに対処することです。Baymard社のショッピングカート離脱に関する調査によると、55%の人がチェックアウト時に余分なコスト(送料、税金、手数料など)がかかるためにショッピングカートを破棄しています。

追加コストの問題に対処して、カート離脱を軽減するためのアイデアをいくつかご紹介します。

  • 可能であれば、できる限り送料を無料にしてください。送料を無料にできない場合は、送料を最小限に抑えてください。
  • 追加料金が発生することを取引開始時に通知してください。後になって突然、追加コストがあると消費者に知らせることは、カート離脱につながります。
  • 業界にもよりますが、送料を商品の料金に含めてしまって、「送料無料」とアピールすることもできます。73%もの消費者が、購入するかどうかを決める際に送料無料が重要だと答えていることを考えると、これは大きな違いになります。しかし、やりすぎて競争力を失わないようにしてください。

2. 入力フォームのフィールド数を減らす

Baymard社の調査によると、チェックアウト前にアカウントを作成することを強制したり、チェックアウトのプロセスが長すぎたり複雑すぎたりすることが、カート離脱する第2、第3の理由だそうです。この2つの理由が、カートの破棄の60%を占めています。

何百万人もの消費者が作成したフォームのデータを分析したFormstack社の調査によると、次のことがわかりました。

  • フィールド数を10以下に減らすと、コンバージョン率が120%向上する
  • フィールド数を4つ以下に減らすと、コンバージョン率が160%向上する

カート離脱を減らすために、フォームのフィールド数を確認し、それらがすべて本当に必要かどうかを確認してください。フォーム内の不要なフィールドは削除するべきです。

3. 認知度の高いトラストマークを利用する

ITガバナンス社によると、2019年1月に、約17億件の情報が不正アクセスやサイバー攻撃により流出しました。不正アクセスはほぼ毎日発生しており、大手ブランドでさえ例外ではありません。一般的なネットユーザーが、自分の支払いの詳細をインターネット上に公開することに慎重になるのは当然でしょう。

いくら購入したいと思っていても、支払いや個人情報が危険にさらされるのではないかという不安から、多くの消費者は最終的にカートを破棄しています。実際、Baymard社の調査によると、消費者がカート離脱する5つ目の理由は、クレジットカード情報を提供するECサイトを信用できないことによるもので、約17%の人が純粋にその理由のみでカートを破棄しています。

ただしこの問題は、トラストシールとトラストマークを使用して解決できます。McAfee社の調査によると、消費者の約47%が、あまり知られていないサイトで買い物をする際は、トラストマークを探すそうです。こういう消費者にとって、PayPalのロゴ、Nortonの SECUREシール、McAfeeのシールなどのトラストマークが特に効果的であることがわかりました。

4. サイトスピードと機能を改善する

消費者の注意力が散漫になり、選択肢の数が急速に増えている今、ECサイトで商品を購入する間、ずっと待つ余裕がある消費者はいません。遅い上にバグだらけのECサイトは、多くの人が結局カートを放棄する主な理由の1つです。サイトの読み込み時間が0.5秒遅れるだけで、コンバージョン率が最大7%下がることがわかりました。

サイトの処理速度を上げることで、カート離脱率(カゴ落ち率)を減らすことができます。以下のような効果的なオプションがあります。

  • 「Google PageSpeed Insights」と「GTMetrics」でサイトの速度を分析。これらのツールはサイトの速度を示すだけでなく、サイトを高速化するために修正すべき点のリストを提供してくれます
  • キャッシュを有効にして、サイト訪問者がピーク時にも最適なエクスペリエンスを得られるようにする
  • 世界中の消費者を対象としている場合は、サイトの最適な読み込みとコンテンツの配信を実現するために、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)を利用する
  • サイト速度を最適化するだけでなく、チェックアウトページの速度を最適化することも重要です

5. 明確な返品ポリシーを作る

消費者がカート離脱する主な理由の1つは、明確な返品ポリシーがないことです。返品ポリシーがない、または明確に伝えていない場合、カート離脱率は高くなると思ってください。実際、ある調査によると、消費者の80%は「簡単な返品ポリシーが明記されていない限り、そのECサイトで買い物をすることはない」と答えています

返品ポリシーがない場合は、返品ポリシーを検討することをおすすめします。最も重要なことは、返品ポリシーが明確に伝えられ、サイト内で目立つように強調されていることです。

6. カート離脱をフォローアップするシステムを導入する

カート離脱追跡メールシステムを利用していない場合、コンバージョンにおいて損をしているかも知れません。カート離脱の回復に関する調査の一部をご紹介します。

  • 破棄されたカートに関するフォローアップメールは、約45%の消費者が開封している
  • 21%はクリックにつながる
  • 注文を完了するよう促すフォローアップメールを受け取った消費者のうち、7%が注文を完了する

カート離脱した消費者をターゲットにしたメール追跡システムがない場合は、導入することをおすすめします。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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