Amazon(アマゾン)によるWhole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)の買収で、多くの伝統的な食料雑貨店や量販店が刺激を受け、自社のECサービスを強化しています。オンラインの食料品市場では、アマゾンは大きなシェアを持っているかもしれませんが、リアルも含めた全体的な市場ではまだまだ規模が小さいのが現実です

アマゾンが食料雑貨店チェーンのホールフーズを137億ドルで買収してから2年が経ちました。ホールフーズを傘下に収めたアマゾンは、この2年間でプライム会員の認知度向上と特典強化に注力してきました。

多くのアナリストが「オンラインとオフラインの両方で、アマゾンが食料品市場を支配するだろう」と予測していましたが、実際のところどうなるかはまだわかりません。しかし、この買収によってアマゾンのオフラインのリーチは著しく拡大し、食料雑貨業界がオンラインとオフラインのサービスを強化するのを後押したことは間違いありません。

Amazonが得たもの

アマゾン(全米EC事業トップ1000社データベース 2019年版 第1位)は、ホールフーズの買収によって以下のようなメリットを得ました。

  • ホールフーズの数十店舗でオンライン注文を受け付け、60以上の都市で2時間以内に届けるPrime Now(プライムナウ)が可能になった
  • プライム会員は、いくつかの都市でホールフーズのオンライン注文を店頭で受け取れるようになった
  • プライム会員に対し、割引を提供したり、アマゾンVISAカードを使ってホールフーズで買い物した際に5%のキャッシュバックを行うなど、プライム会員プログラムの認知度を高めつつ、プログラム内容を強化している
  • オンラインの注文品を受け取るためのアマゾンロッカーの場所が確保できた
  • オンラインで注文した商品をホールフーズ内のロッカーで受け取る際、追加の買い物が発生する

コンサルティング会社Retail Systems Research社の共同創設者でマネージングパートナーのポーラ・ローゼンブラム氏は、今回の買収の主な利点の1つは、目には見えないメディアでのPRだと述べています。

(主な利点は)PRに事欠かず、世界中の食料雑貨店に恐怖心を植え付けられていることです。(ポーラ・ローゼンブラム氏)

小売り大手がこぞってサービスを強化

アマゾンの脅威を前に、大手食料雑貨店や量販店の一部は、ホールフーズ買収後の数年間に食料雑貨サービスを強化しています。以下がその事例です。

  • 2017年11月、食料品チェーンのアルバートソンズ(全米EC事業 トップ1000社データベース 2019年版 第200位)は、同社の食料雑貨店 セーフウェイの宅配プログラムに加えて、一部の市場でJewelOsco.comの注文に対する食料雑貨のオンライン配送を開始
  • 2017年、ターゲット(同 第16位)は、食品を同日配達するサービスShipptを買収すると発表
  • 6月、ウォルマート(同 第3位)は生鮮食料品の店頭受け取りサービスやオンライン配送サービスに加え、ヒューストン、マイアミ、ソルトレイクシティ、タンパで食料品配達定期サービス「Delivery Unlimited」を発表

ここ数年、消費者は食料雑貨のオンライン購入に意欲的で、『全米EC事業 トップ1000社データベース 2019年版』(インターネットリテイラー・刊)にランクインしているスーパーのオンライン販売とECシェアも上昇を続けています。

	2016年	2017年	2018年
クローガー	14	15	58
アルバートソンズ+セーフウェイ	77	54	83
セーフウェイ	21.9	21.9	21.9
食料品店のオンライン売上成長率の推移(2016年〜2018年)
Internet RETAILERの資料をもとにネットショップ担当者フォーラム編集部で作成
	クローガー	アルバートソンズ+セーフウェイ	セーフウェイ
2016年	2.4	0.2	10.9
2017年	2.6	0.2	11.9
2018年	4.1	0.4	20.9
食料品店におけるECシェアの推移(2016年〜2018年)
Internet RETAILERの資料をもとにネットショップ担当者フォーラム編集部で作成

オンラインのみで食品を購入する消費者も増加傾向

Food Marketing Institute が2019年2月、全米の成人1,786人に対象に調査を行い、最近発表したレポート『U.S. Grocery Shopper Trends 2019』によると、一般的な食料品消費者の33%が食料品をオンラインのみで購入しています。2018年には28%、2017年には25%、2016年には20%、2015年には16%でした。

昨年には43%の消費者がオンラインで食料品を注文。10%の消費者は「少なくとも2週間に1度は食料品をオンラインで購入している」と回答しました。

オンラインでの食料品販売では、アマゾンが消費者に最も人気のある選択肢です。Brick Meets Click社が2018年に米国の成人4,855人を対象に行った調査によると、2018年の最初の数か月で、アマゾンが米国内のオンライン食料雑貨売上の30%を占めましたが、この数字はすべての食料雑貨チェーンのオンライン売上を合算した金額に相当します。

Bloombergによると、アマゾンは2018年に食料品をオンラインと店舗の両方で254億ドル販売しましたが、これには消耗品の236億ドルは含まれていません。

しかし、Brick Meets Click社によると、2018年のアメリカの食料雑貨販売のうち、オンライン販売は全体の5.5%に過ぎませんでした。2019年には6.3%に成長すると見込まれています。

食料雑貨の総売上高では、アマゾンはまだ競合の大手チェーンや大手小売店に大きく引き離されています。Bloomberg Newsによると、食料雑貨市場全体で、アマゾン/ホールフーズは食料雑貨販売の3.7%しか占めておらず、ウォルマートが依然として最大の食料雑貨店として君臨しています。

  • 25%……ウォルマート/Sam's Club
  • 11%……クローガー
  • 6.8%……アルバートソンズ/セーフウェイ
  • 6.4%……コストコ
  • 47%……その他

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア「Internet RETAILER」の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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