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ベンチャーキャピタルのジャフコを引受先とした第三者割当増資を9月に実施し、5億円を調達したロコンド。創業から3期連続で最終赤字を計上しながら、今回の調達分も含め累計調達額は34.4億円にのぼる。赤字のまま上場しその後も頻繁に最終赤字を計上する米アマゾンのように、ロコンドは積極投資を続け規模の拡大を追求、欧米型の大型上場を目指すという。サービススタートからたった3年間で売上高を50億円超まで広げたロコンド。まずは売上高1000億円まで引き上げるという田中裕輔社長の頭の中には、どのような成長戦略が描かれているのか――。

今は投資時期、売上高1000億円、1兆円企業になるためのステップ

ロコンドの売上高は3期目で50億円を突破した。急激な成長を遂げた一方、大きな販促費の投下などで最終損益は3期連続の赤字。初年度の2012年2月期は14億9500万円、2013年2月期は6億8000万円、2014年2月期は5億1761万円の純損失を計上した。

2014年8月末に開いた取引先に向けた事業説明会。下期(2014年9月~2015年2月)の投資戦略を発表する前、「資金面でご心配されている方もいらっしゃると思う」と田中社長はこのように前置きした。

ロコンドの損益面には多くのEC業界関係者が注目を集めている状況にある。そうしたことを察したためか、8月末の説明会でいち早く「10月末までに新たな資金調達が発表できる」と取引先に明かした。それが今回のジャフコを引受先とした第三者割当増資だった。

ロコンドの資金調達を巡る主な動き
2014年 ジャフコから5億円を調達(シリーズC)
2013年 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、エキサイト、リード・キャピタル・マネージメントから6億円を調達(シリーズB)
資本金と資本準備金を17億8340万円減資
2012年 みずほキャピタル、ネオステラ・キャピタルから1億4000万円を調達
2011年 伊藤忠テクノロジーベンチャーズとリード・キャピタル・マネージメントから7億円を調達(シリーズA)

ロコンドの資金面に不安を抱く取引先があると考え、田中社長は前もって資金調達の案件に触れたのだろう。だが、周囲の心配をよそに田中社長自身は攻めの経営を貫く方針を掲げる。説明会に参加した株主も田中社長の方針を支持。「(ロコンドを)2020年度には売上高1000億円、2030年度には1兆円を目指す企業にする」ためのステップに過ぎないと考えているからだ。

今回調達した資金は、今月移転が完了した倉庫・本社での人員強化などインフラ関連に充当。またこれまでアウトソーシングしていた電話注文センターを9月から社内のコンシェルジュが受注する体制へ移行するなど、カスタマー(コンシェルジュ)部門の強化にも投資する。

インポートシューズをはじめとするハイブランドに加えて「スポーツ(ゴルフ、ランニングなど)」「ホームファッション(インテリア雑貨など)」の新たなカテゴリの取り扱いも開始する予定で、買い付け費用などにも資金を投下。10月からLINE公式アカウントを開設するなどWeb広告費用にも充当し、規模拡大へ向けた成長戦略へ重点投資する。

米アマゾンのような大きなスケールのECビジネスを、日本でロコンドが作る

ロコンドの田中裕輔社長

「IPOは早ければ来年度」と明らかにした田中裕輔社長

赤字経営を続けながらも、資金調達を何度も実現し、積極投資を続けることができるのには目の前にIPOが迫ってきているため。「まだ具体的なスケジュールは決まっていないが、近い将来IPOを予定している。早ければ黒字化を見込んでいる来年度(2016年2月期)中もあり得る。IPO前にどれだけの資金が必要で、IPOでどれだけさらなる成長資金を集めることができるか、詳細を検討している段階」と田中社長は明かす。

小さなビジネスモデルを作るつもりはない。同業のザッポス(米国)やザランド(欧州)は既に売上高2000億円を超えている。売り上げが高ければいいというものでもないが、小さな売り上げでは大きな社会インパクトにならない。早く売上高1000億円に乗せ、その次は売上高1兆円というラインを目指す。日本の市場規模を考えれば不可能ではない。投資を続けてビジネスを大きくし、日本中のお客さまに最高のショッピング体験をお届けするのがロコンドの目指す姿。

田中社長が描くのは欧米型のIPO。「赤字を続けながら価値創造を続けている米アマゾンのような大きなスケールを目指している。基本的な投資戦略はアマゾンと一緒」と田中社長はロコンドの戦略をこう説明する。賛否両論がありそうな自身の方針について、「株主には理解をいただいている。逆に投資をしない方が株主から怒られる。投資を通じ、売上高、会員数を伸ばしてほしいと言われている」という。

ただ、日本の株式市場には赤字経営を良しとしない風潮があるのは確かだ。欧米型のIPOを目指す田中社長の目には、日本の市場はどう映るのか。

海外では新たなECサイトがどんどん生まれ、大型の資金調達を行い大きな成長をしている。一方で日本国内では、小さな資金ですぐに黒字化できるビジネスを良しとする風潮がある。そのため(大型の資金を要する)大型ECサイトはここ10年なかなか生まれてきていない。ロコンドでは競合他社と同じ、もしくはそれ以下の価格で商品を販売し、しかも送料も返送料もロコンドが負担している。そのため、収益化までは時間がかかる。しかしお客さまに最高のサービスを提供し続けるためにもどんどん投資し、大きなビジネスを創っていきたい。

こうした考えのもと、ロコンドは2014年3月~8月期に前年同期比47%の成長率を記録。下期もそのアクセルをさらに踏み込むという。上半期に3億円をつぎ込んだ広告予算を、下期(2014年9月~2015年2月)は2倍となる6億円を予定。会員数は上半期の57万人から、下期は75万人以上に増やす計画を掲げる。

ロコンドが下期にかける広告戦略について

ロコンドによると今回の増資がIPO前のラスト・ファイナンスになる予定という

過去、「売上高80億円~100億円が損益分岐点のメドになる」と話していた田中社長。広告投資を控えれば黒字化は今期に達成できる見通しが浮上する。しかし、「(売上目標となる)ラインを上げていこうと考えている」と田中社長は規模拡大を追求する方針。

ロコンドの名前自体は徐々に浸透してきた。しかしながら、たとえば3足注文して2足返品するといった、ロコンドが提供する家で気軽に試着できるというサービスの認知度がまだまだ低い。そのためにまずは多くのお客さまにロコンドを体験していただくということを最優先する。だから下期はもっと踏み込んだ施策を打っていく。

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