優れたECサイトにはどんな工夫がある? ネットショップグランプリ受賞5店舗に学ぶサイト作りのポイント【2020年版】

EC事業者などが評価したECサイトはどのような点が優れているのか? EC事業に携わる人たちが審査・評価した「第12回 全国ネットショップグランプリ」(一般社団法人イーコマース事業協会主催)の受賞サイトが決定した。受賞5サイトには、他のサイトも参考にできる成長のヒントが存在している。元楽天店の店長だった藤田が、各受賞店舗への評価コメントを引用しながら、優秀なコンテンツや戦略作りなどの評価ポイントをまとめてみた。
第12回を迎えた「全国ネットショップグランプリ」には180店舗の応募があり、その中から以下の5サイトが優秀店舗として選ばれた。
- グランプリ・・・・・・ソムリエ@ギフト
- 準グランプリ・・・・・・靴下屋公式通販 Tabio オンラインストア、ROCOCO
- 特別賞(ネットショップ担当者フォーラム賞)・・・・・・CAWAII
- 特別賞(日本ネット経済新聞賞)・・・・・・無塩ドットコム
イーコマース事業協会会員による投票、専門家・学識経験者・有識者を交えた審査委員会にて審査し、表彰店舗を決めた。審査はスマートフォンサイト、PCサイトを対象に行われた。主な審査基準は以下の通り。
- アイデアのユニークさ、目新しさ
- 一般の顧客ユーザー(利用者)への情報提供の適切さ
- 各デバイスでのデザイン性の高さ・操作性、動作確認
グランプリ
ソムリエ@ギフト|https://sommelier.gift/shop/c/cgift/
- いわゆるデザイン的な「配色」はモノトーンとし、主役であるギフト商品の写真およびその色彩を際立たせている。とても見やすく、ギフト商品選び・吟味に集中できる。
- まず目に留まったのは問い合わせ窓口のわかりやすさ。気軽に問い合わせができるという印象を受けるし、買い物をするにあたって安心感や好感が持てる点の1つだと思う。
モノトーン基調で、特集ごとにデザインしたバナーが映えるデザイン。画面下にはチャットで問い合わせができる画面が表示される(画像は編集部がキャプチャ)
PC・スマホ共に情報量もしっかり提供されていて、かつ余白や行間などがしっかりデザインされていて、煩雑ではなく読みやすい。とても好印象。
写真と文字のバランスが良く、ぱっと見て商品の特徴がわかる作り。画面の小さなスマホでも見やすいデザイン(上:PCページ、下:スマートフォンページ)(画像は編集部がキャプチャ)
デザイン面では全体的に写真のクオリティが高く、各商品や特集ごとにあった雰囲気が演出されていて丁寧に作り込まれている印象を受けた。
カラフルな色合いと丸みのあるフォントを使用した「お名入れギフト特集」ページ(画像は編集部がキャプチャ) シンプルで清潔感のある色合いとすっきりしたフォントを使用した「ご挨拶ギフト特集」ページ(画像は編集部がキャプチャ)
カタログを見ながら注文できるサービスは目新しく、見やすさもあってギフト商材に適した形だと感じた。
カタログの内容を実際に確認できる(画像は編集部がキャプチャ)
準グランプリ
靴下屋公式通販 Tabio オンラインストア|https://tabio.com/jp/
靴下とは思えないほどおしゃれでステキなビジュアルデザイン。
シンプルながら雑誌のようなデザインのTOPページ(画像は編集部がキャプチャ)
商品画像のマウスオーバーなどの工夫がわかりやすい。
マウスオーバーすると商品の気になる箇所をアップで確認できる(画像は編集部がキャプチャ)
細かな条件指定ができる商品検索機能は、条件を操作するたびにリアルタイムでヒット数が更新されるので使い勝手が良い。
サイズや色だけでなく柄なども細かく分類されている検索画面(画像は編集部がキャプチャ)
カテゴリーの振り分けやおすすめキーワードの配置など、ページの回遊の誘導もわかりやすかった。
おすすめのタグが細かく分けられている(画像は編集部がキャプチャ)
ROCOCO|https://www.roco2web.com/
- 納得して買ってもらえるよう、各商品、ルーティーンではなく、かなり手間をかけて商品登録されていることを感じ取れる。
- 商品ページのコーディネート例のみならず、「スタイル」内の「スタイルフォト」「コーデBOOK」においても、すべて自店で購入できる商品でのみコーディネート、かつ、リンクが張られており、当該サイト内や他店で似たような商品を探す手間もなくセット買い(マネキン買い)できる。
「スタイルフォト」内のスタイリング例。着用商品にリンクが貼ってあり、それぞれの商品ページに飛ぶことができる(画像は編集部がキャプチャ)
ネットで服を買う時に気になる項目(シルエットや生地)が視覚的にわかりやすく表示されている点や、スタイリングイメージで使われている他の服の商品ページへリンクが貼られている点などがわかりやすく、よくユーザーのことを考えられているように感じた。
素材のアップ画像が掲載されている(画像は編集部がキャプチャ) サイズ感や素材の特徴を項目ごとに比較した表(画像は編集部がキャプチャ)
ランキング、スタイリングなどの切り口からユーザーとの接点を作っており、ユーザーフレンドリーな工夫がなされている。
TOPページに商品ランキングやスタイリングが掲載されている(画像は編集部がキャプチャ)
ユーザーのコメントや評価が表示され、顧客の購入支援に役立っている。
商品ごとに購入したユーザーからの評価とコメントが表示されている(画像は編集部がキャプチャ)
特別賞(ネットショップ担当者フォーラム賞)
CAWAII|https://www.rakuten.ne.jp/gold/onepi-c/
個々の商品ページにその商品に応じたキャッチコピーが多数掲載されており、イメージ写真を多めに使うことでブランドの世界観を表現したページ作りができている。
各商品毎にキャッチコピーが設定され、商品写真と合わせて掲載されている(画像は編集部がキャプチャ)
ユーザー同士またユーザーと企業の交流会と即売会を兼ねた「試着会」を行っている。ユーザーを直接観察できる機会でもあり、とても良い企画。
試着会の特集ページ。当日は試着だけでなく商品の購入も可能(画像は編集部がキャプチャ)
商品ページの動画は、5分超の長尺にもかかわらず、説得力があり最後まで見てしまう。
動画では商品の特徴や使い方などを説明している(画像は編集部がキャプチャ)
ターゲット層を意識した読み物が豊富でファンを増やす工夫がしっかりされているように感じた。
cawaii内の特集一覧(画像は編集部がキャプチャ)
商品写真のサイズなどスマホの画面を意識しているのか、特にスマホからが見やすかった。
スマホで見やすいように画像が縦長になっている(画像は編集部がキャプチャ)
特別賞(日本ネット経済新聞賞)
無塩ドットコム|https://www.muen-genen.com/
20代にして人工透析を必要とすることとなったショップオーナー自身の「病気のために食事とそのための買い物に苦労している人たちをサポートしたい」という思いや熱意が伝わってくる。
無塩ドットコムについて、減塩についてなどを知ることができる(画像は編集部がキャプチャ)
ショップのテーマや商材がわかりやすく、レシピ、知識、動画、アプリ、SNS、コラムなどのコンテンツが豊富で熱量が感じられる。サイト全体がターゲットに深く刺さる内容になっていると感じた。
減塩レシピの特集ページ。YouTubeでの配信やLINEのお友達登録などユーザーに役立つコンテンツが豊富(画像は編集部がキャプチャ)
調味料と食品が「減塩」「無塩」に分類されている。 健康維持なら「減塩」、高血圧や腎臓病などを抱えているなら 「無塩」だが、それでも気持ち的(欲求的)に「無塩はちょっと……」という方は「減塩」を選ぶだろうし、ストイックに「無塩」という方もいるだろう。そうした、訪問客が持つ個々のニーズやウォンツに応じて、商品を選びやすい。
調味料だけでなく食品やギフトなど、カテゴリが分類されておりぱっと見てわかりやすい仕様(画像は編集部がキャプチャ)
コンテンツから商品ページへの誘導などがしっかりとされていてサイトの回遊がしやすい。
「減塩コラム」内にコンテンツに関するおすすめ商品が掲載されている。コンテンツを読んで知識を得ながら商品を探すことができる(画像は編集部がキャプチャ)