店頭売上が大幅減のアパレル企業、消費者のネットシフトでECは堅調に推移[新型コロナの影響]
新型コロナウイルスの感染拡大で、外出自粛によるアパレル企業の店舗販売への影響が鮮明になっている一方で、ネット通販は堅調に伸びている。
帝国データバンクが4月15日に発表したリリースによると、上場アパレル企業の3月度売上高は9割超の企業で既存店・全店ともに前年同月の月次売上高を下回った。新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるもので、影響が大きかった企業では月次売上高が4割以上減少している。
消費者の外出控えのほか、営業短縮、最終週の都知事による外出自粛要請などで臨時休業の対応をとったこと、訪日外国人観光客の減少などが背景にある。
集計対象23社のうち、2020年3月の月次売上高が既存店で前年同月を下回ったのは21社(構成比91.3%)、上回ったのは2社(同8.7%)。全店においても前年同月を下回ったのは21社(同91.3%)、上回ったのは2社(同8.7%)だった。上回ったのは西松屋チェーンとワークマンで、独自の特色を持った衣料品および衣料品以外の商品の取り扱いが業績に寄与した。
営業短縮、臨時休業の影響は大きい。ファッション・アパレル業界専門の人材派遣・紹介のiDAでは、4月10日時点で派遣スタッフ6000人のうち、半数の約3000人が店舗閉鎖の影響を受けて休業。4月16日に緊急事態宣言が全国に広がったことで今後、休業となるスタッフが増えることが想定されるとしている。
多くのアパレル企業でECは前年実績超え
一方、多くのアパレル企業で3月度のEC事業は伸びている。
ユナイテッドアローズの3月度における全店のネット通販売上高は前年同月比23.8%増、既存店は同23.9%増だった。買い上げ客数は全店と既存店ともに同48.0%増だが、客単価は全店、既存店ともに同10.3%減だった。
アダストリアは外出を控えた人の利用増によりEC販売が伸長、自社・他社販売ともに3月度EC売上は前年同月比10%超の増加となった。ナルミヤ・インターナショナルの3月度EC売上高も同2桁増だった。
ワールドの3月度EC売上高は同12.9%増。2月に続いて自社サイト中心に顧客流入の傾向が強まり堅調に推移したという。
レナウンの3月度におけるEC売上高は、店舗への動員策を自粛した一方、販促策を強化したため2ケタ増。三陽商会の3月度は主力の百貨店向けの大幅減収などが響き全社売上は同44%減だったものの、EC・通販は同15%増だった。
ジーンズメイトでは、NB(ナショナルブランド)のカットソーやバッグを中心に好調を維持し、3月度のEC売上高は前年実績を上回ったとしている。
一方、TSIホールディングスの3月度EC売上高は、全店で同0.5%減、既存店は同3.7%減。TOKYO BASEの3月度EC売上高は全社で3.2%減、既存店で2.9%減。実店舗の臨時休業に合わせて販促施策を行ったが、実店舗の売上未達分を補えなかったという。