アフィリエイト市場は3258億円の見込み(2020年度)、ITPによるクッキー制限、ヤフーの広告出稿厳格化など環境変化の1年
矢野経済研究所が発表した国内のアフィリエイト市場調査結果によると、2020年度の市場規模は前年度比5.2%増の3258億円に拡大する見通し。2019年度の国内アフィリエイト市場規模は同8.0%増の3098億6000万円だった。
アフィリエイト市場拡大の背景としては、広告主におけるアフィリエイト広告への予算シフトや、スマートフォン経由での商品やサービスの売上増によるEC分野の拡大があげられるという。
市場環境の変化について
外部環境に関し、ITP(Intelligent Tracking Prevention、サイトトラッキングの抑止機能)によるクッキー制限、Googleアルゴリズムのアップデートによる検索順位変動、ヤフーの広告出稿のレギュレーションの強化によるアフィリエイトサイトの広告出稿の厳格化実施など、アフィリエイトサイトにとってネガティブと考えられるレギュレーションの変更があった。
Twitterなどのソーシャルメディア(SNS)に関してもレギュレーションの厳格化があり、アフィリエイトメディアに対してもネガティブなインパクトを与えている。
プラットフォーマーによるレギュレーションの厳格化に関し、景品表示法(景表法)や薬機法などの法規制を順守しないといった一部のアフィリエイトパートナーや代理店に対して大きな影響を与えているが、優良なアフィリエイトメディアにおいてはほとんど影響を受けていないという。
今後の市場について
アフィリエイト市場は今後も拡大を続け、2024年度の国内アフィリエイト市場規模は4951億円まで拡大すると予測している。
ナショナルクライアントのインターネット広告への出稿が増加。ダイレクトレスポンス系広告において、ECサイトなどでの広告出稿増加につながる可能性が高く、アフィリエイト市場においてもプラスに影響すると分析している。
さらに、広告主へのアフィリエイト提案による広告出稿効果が確実に出てきており、アフィリエイトへの評価が高まっていることも市場拡大の要因になるという。
また、EC化率の拡大やECにおける決済サービスの導入障壁が低くなっていくことも成長要因の1つ。加えて、VOD(ビデオ・オン・デマンド)など映像配信を中心に、サブスクリプション分野の拡大が進んでいることも寄与する。
また、キャッシュレス化の進展による金融分野の拡大のほか、新型コロナウイルスの影響によるEC取引の急拡大、インターネット利用ユーザーの増加、アフィリエイト市場への新規参入事業者の増加なども、市場成長の促進要因としてあげている
調査概要
- 調査期間:2020年11月~2021年1月
- 調査対象:アフィリエイトサービス事業者(ASP:アフィリエイトサービスプロバイダ)、業界有識者
- 調査方法:当社専門研究員による直接面接取材およびアンケート調査併用
※本調査におけるアフィリエイト市場は、アフィリエイト広告の成果報酬額、手数料、諸費用(初期費用、月額費用、オプション費用等)などを合算し算出した