食品通販・EC市場は2020年度に4兆円突破の予測、2019年度は3.8兆円
矢野経済研究所が実施した国内食品通販市場調査によると、2019年度の国内食品通販市場規模は、小売金額ベースで前年度比3.2%増の3兆8086億円と見込んだ。
2020年度は4兆円を超える見通し。食品通販市場は、飲料水や米、酒類、健康食品など常備性・習慣性が高い、あるいは商品重量があるカテゴリーにおいて、潜在的ニーズが高い傾向にある。
2019年度は、冷夏の影響で飲料水の需要が前年より落ち込んだこと、消費税増税に伴う支出抑制など、食品通販市場にとって厳しい市場環境だったとした。一方、自然災害の多発による備蓄意識が高まり、飲料水や保存性の高い食品の需要が増加、通販でまとめ買いするニーズが顕在化したものの、2019年度の食品通販市場は前年度並みの伸長率を見込んだ。
2019年度における食品通販市場のチャネル別比率は「ショッピングサイト」が39.4%、「生協」が38.4%、「自然波食品宅配」が2.2%、「ネットスーパー」が3.8%、「食品メーカーダイレクト販売(直販)」が16.1%。
2020年度通販市場の見通し
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、食品通販市場は拡大する見通し。日常使いの食料品に対する需要増加のほか、お取り寄せグルメ・スイーツに対する需要も拡大。通販で食品を取り寄せて、自宅で普段より高級な食事を楽しむという需要も増えた。
例年5月はゴールデンウィークで在宅率が低下するため、食品通販の需要は減退するが、2020年は緊急事態宣言下で在宅率が高かったことも、食品通販の需要を押し上げたとみられる。
6月以降、緊急事態宣言の解除に伴って食品特需は緩和したものの、食品通販に対する需要は引き続き高いと推測。コロナ禍をきっかけに、食品通販サービスを使用した人が、利便性、商品・サービスの品質の高さを実感して、一部定着する可能性もある。
なお、ECサイトやネットスーパー、食品メーカーダイレクト販売(直販)のように、スポットでの購入利用が中心の業態(チャネル)について、緊急事態宣言下の需要急増は一時的な影響にとどまると予測している。
調査概要
- 調査期間:2020年4~7月
- 調査対象:通信販売事業者、食品関連企業、生協、食品小売事業者、食品卸など
- 調査方法: 専門研究員によるアンケート調査、電話取材、文献調査併用