石居 岳 2021/5/12 9:00

作業服・作業用品とアウトドアウェアのフランチャイズ小売店を全国展開するワークマンの2021年3月期EC売上高は24億4000万円だった。

ワークマンのEC事業は、「店舗在庫」による「店舗受け取り」を軸にしたClick&Collect(クリック&コレクト)を展開、全国900店以上の実店舗への送客を推進している。店舗受取比率は57%で、当面の目標は70%。

ワークマンの2021年3月期EC売上高、「店舗在庫」による「店舗受け取り」を軸にしたClick&Collect(クリック&コレクト)について
2021年3月期について(画像はワークマンのIR資料からキャプチャ)

ECサイトでは、購入金額が1万円以上で送料をワークマンが負担する送料無料バーを設定している。一方の「店頭受け取り」は「店頭在庫」を軸にしているため、送料はかからない。「店舗受け取り」はワークマンオンライン会員限定のサービス。

メディア露出などの高まりでオフィシャルHPへのアクセスが急増。2021年3月期の店舗検索ページ閲覧数は年間2800万PVで、前期比470万PVの増加だった。これらを通販の「店舗受け取り」へ誘導していく。

2021年3月期EC売上高は期初計画で30億円を見込んでいたが、2022年3月期は売上目標の達成よりも利益を生み出す体制の構築をめざすとしている。

ワークマンの「店舗在庫」による「店舗受け取り」を軸にしたClick&Collect(クリック&コレクト)について
Click&Collect型ECの特徴(画像はワークマンのIR資料からキャプチャ)

ワークマンは2014年3月期からEC販売を開始した。売上至上主義で毎期約2倍の成長を維持してきたが、EC事業の拡大を見据えて利益第一主義に転換。保管から出荷に至るまでのプロセスを見直し、物流の効率化による利益率の改善を図っていく。

ワークマンが店舗受け取り型の通販を本格化している理由は、全売上高の5割を占めるPB製品ラインを強化するため。アウトドアウェアや作業服とともに、ネット通販大手に「定価」で負けないPBをそろえる。

作業服PBには10年間の供給保証を付けており、他社による参入障壁を高めている。EC大手の規模の経済による宅配コストの優位性には、宅配コストのかからない「店舗在庫の店舗受け取り」で対抗していく。

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