朝比美帆 2022/6/22 8:00
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2022年2月にオリジナルのキャンプギアを発売し、アウトドア市場に本格参入したワークマン。ネットで注文して後日店舗で受け取る「BOPIS」の形態で販売し、発売当日から好調な売れ行きを記録。これには、アンバサダーとの製品開発や動画コマースが大きく貢献しているという。専務取締役の土屋哲雄氏と、ワークマンの動画コマースを支援するvisumo取締役の井上純氏に、動画の可能性や今後のワークマンの取り組みについて伺った。

専務取締役の土屋哲雄氏と、ワークマンの動画コマースを支援するvisumo取締役の井上純氏に、動画の可能性や今後のワークマンの取り組みについて伺った

「ワークマンらしさ」を持ってアウトドア市場に参入

ワークマンは、2018年から「ワークマンプラス」の店舗で一般客向けに高機能かつ低価格のアウトドアウェアやスポーツウェアの販売を開始。2022年からは、テントやシュラフといったキャンプギアも本格展開し始めた。すでにレッドオーシャンと言えるアウトドア市場に参入する上で、「ワークマンらしさ」を発揮することが大前提だったという。

作業服には高い安全性と機能性が求められるため、ワークマンは素材や生地の開発から研究を重ねてきた。こうして生まれた独自の素材や技術をすべてのキャンプギアに応用。たとえば、火の粉が付いても穴が広がらない防融加工をテントに利用するといった具合だ。

2月の販売開始当日、サイトには20万人が来訪し、テントなどの注目商品は即完売。キャンプギアだけで初年度は40億円の売り上げを見込んでいたが、出足から当初の予想を超える勢いが続いているという。

アンバサダーとの製品開発で、社是の「声のする方に進化する」を体現

声のする方に進化する」を社是とするワークマン。この“声”を正確に捉えるため、ここ数年は製品開発にアンバサダーが参加している。数万人のフォロワーと日々やり取りをしているアンバサダーが発する意見は、数多くのユーザーの意見を的確に代表したものと考えられるからだ。

現在は40人のアンバサダーと協業。新商品のうち3分の1ほどをアンバサダーと開発した製品が占めており、今後は約半数にまで拡大したいとしている。

ワークマン製品のファンであり、アウトドア、釣り、バイクなど各分野に精通したインフルエンサーをアンバサダーとして無償ベースで協業している。
アンバサダーとの関係性でキーワードとなるのが「身内化」だ。製品開発のためには、あまりお客さま扱いにならないフレンドリーな関係でなければならない。(土屋氏)

ワークマン専務取締役の土屋哲雄氏
ワークマン専務取締役の土屋哲雄氏

キャンプギアはネットで注文して店舗で受け取る販売形態

ワークマンの大半の店舗は100坪程度、そのなかで約1700種類、約1万点の製品を取り扱っている。キャンプギアを本格展開したものの、店舗に4畳半サイズの4人用テントを置くと、これまで展示していた製品が置けなくなってしまう。こうした課題を解決するため、キャンプギアはネットで注文して店舗で受け取る「BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」の形態で販売した。

「レッドオーシャン市場だが店舗には見えないものを売らないといけない。しかも店舗受け取りという三重苦」(土屋氏)と捉えていながら、なぜ無在庫かつ店舗受け取りのみの販売が可能なのか。それは、製品への自信と全国の店舗網、そして動画マーケティング施策が大きい。

当社では「①製品の価格で負けない ②宅配を使わない ③広告宣伝費をかけない」の3つの“ない”が市場で負けない方法だと言っている。当社は全国に展開する約950にのぼる店舗が強み。テントを買うお客さまはアウトドアウェアを買う可能性も高いので、来店していただいた方が良い。(土屋氏)

キャンプギア以外の製品もBOPISに

ワークマンのオリジナル作業服など、競合のない製品は店舗ですぐに買えることが第一のニーズではないため、BOPISはキャンプギア以外の製品にも波及すると思われる。たとえば、売れ筋商品のなかでも特にニーズと回転率が高いS~3Lサイズは店舗に在庫を置き、SSや4L以上のニッチなサイズは注文が入り次第、倉庫から店舗に配送して店舗で受け取るようにすれば、店舗スペースを有効活用しつつ効率的な店舗運営が可能となる。

1店舗内で商品を探すのが大変なお客さまがいる一方で、5Lの作業服を探してワークマンを何店舗も回るお客さまもいる。それなら、注文して後日店に取りに行くようにすればお客さまにとっての利便性も高まるはず。BOPISの本命は、ワークマンでしか売っていないアイテムの特殊なサイズやカラーの製品だ。

高品質・低価格のキャンプギアを開発した背景には、当社にとって最もハードルの高いアウトドア用品からBOPISの仕掛けを作り上げ、一気に推し進めたいという考えもあった。(土屋氏)

動画コマース「workmanムービー」経由のCVRは通常の約3倍

ワークマンはアンバサダーマーケティングを強化するため、2021年にビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」を導入した。アンバサダーの発掘や、ワークマンのウェアを魅力的に着こなしているユーザーのInstagram投稿画像をECサイトに掲載するUGCマーケティングを活用。このほか、動画コマース機能で「workmanムービー」の充実化も図っている。

「workmanムービー」はアンバサダーが動画で商品を紹介するため、機能や使用方法が伝わりやすい。また、動画をすべて閲覧しなくても、動画横のリンクからそのまま購入に進める利便性もあり、購買を後押しする重要なコンテンツになっている。

ECサイトに掲載したInstagram画像経由のコンバージョン率は通常の約2倍と高い数値だが、動画はそれをさらに上回り約3倍に達する勢いだ。文章、画像、動画を比べると、動画が圧倒的にコンバージョンにつながる効果が高い。(土屋氏)

workmanムービー
商品を動画で紹介する「workmanムービー」

在庫を置かずに販売する上で、動画は最も説得力のあるコンテンツ

ワークマンのキャンプギアは、キャンプ初心者がメインターゲットだ。初心者への訴求にも動画は有効だと捉え、キャンプ関連の公式動画やアンバサダーによる動画をより一層強化している。

キャンプギアの発売にあたり、ワークマンの製品を使ってキャンプ系動画をYouTubeで配信している人のなかから1万回以上の再生数があったインフルエンサーにも声を掛けて動画本数を増やした。「店舗に在庫を置かずに販売する上で、動画は最も説得力のあるコンテンツ」(土屋氏)と実感するほど、売り上げへの貢献度は極めて高いようだ。

今後、自社での動画制作にも注力する方針だが、自社制作の動画とアンバサダーの動画が似通ってしまうと意味がない。企画内容や取り上げる商品にも、棲み分けや役割分担が必要だと土屋氏は話す。

アンバサダーが取り上げるような、人気の商品で構成された動画はワークマン側ではやらないようにする。自社制作動画は「店舗の片隅に置かれて人気は低いが、実は良い商品」をテーマにした「ワークマン地味チャンネル」といった形で考えている。自社の動画制作は、社員が遊び心を持って取り組める体制を心掛けたい。(土屋氏)

コロナ禍で「インスタライブやYouTubeチャンネルを始めた」という企業は増えたものの、閲覧数が伸び悩んでいるケースも少なくない。視聴者が「見たい」と思うような企画がしっかりと備わったコンテンツでなければ、難しいということだ。その点、ワークマンの“面白み”や“遊び心”を重視した自社制作動画の構想は、ファンの獲得に期待が大きいと井上氏は話す。

社員の皆さんが積極的に動画制作をしている企業の方が、閲覧数やファン数が伸びる傾向にある。動画は出演者が嫌々なのか楽しんでやっているのかも、写真とは比べ物にならないほど表情に出てしまうからだ。楽しみながら制作できる環境を醸成することが、ファン作りにも有効に働くと考えられる。

ワークマンは加盟店やアンバサダーも含めた全体にとっての効果を考えながら、動画をどう作っていこうかと取り組まれている。(井上氏)

visumo取締役の井上純氏
visumo取締役の井上純氏

「workmanムービー」のなかには、テントなどを360度映すことで大きさや内側の作りが把握できるような動画がある。この360度動画は、メーカーがワークマンの製品開発部向けにサンプル評価用として制作した動画だったが、消費者にも伝わりやすいクオリティかつサイトへの掲載も可能な素材だったため、ラインアップしたという。

workmanムービー

井上氏は「本来なら製品開発部から出ることのなかった動画がECサイトで活用されている事例からも、ワークマンの部署間のフラットな関係性が表れている」と話し、動画コマースを成功させるためには社内コミュニケーションの活性化もポイントになると訴えた。

今後、販促の主力は動画。BOPIS推進の上でもカギに

BOPISを推し進める上で、動画でリアルに見せることが一番のカギになると考えるワークマン。「動画で後れをとってはいけない」と試行錯誤が続いている。

今後、ワークマンの販促の主力を動画にしていく。スマホレベルの撮影でも、製品を熟知した社員で手作りすることにこだわりたい。あくまでも当社のスターはアンバサダーで、社員は裏方という立ち位置をしっかり念頭に置いて、動画の企画・制作を進めていく。(土屋氏)

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