チャットを通じたECサービスは広がるか?スタイリスト提案型サイト「PRIMODE」を空色がオープン
学生向けフリーペーパーの発行などを手掛ける株式会社空色は12月、チャットを通じて商品購入につなげるコーディネート提案型ECサイト「PRIMODE(プリモード)」の試験運営を始めた。スマートフォン用ウェブサイトとして展開。現在はプレオープン(α版)という位置付けで、2015年春の本格オープンを予定している。
「PRIMODE」の特徴は、空色が自社開発したチャット機能を通じて、訪問したユーザーに商品を提案し販売すること。スタイリストやファッションアドバイザーなどアパレルに精通し専門知識を持つ人物と契約。「PRIMODE」に参加するスタイリストなどは、チャットを通じてユーザーと直接コミュニケーションを取る。
普段着用するファッションや、デートや冠婚葬祭などのさまざまなシーンに合わせたコーディネートを、全身コーディネートから複数アイテムの提案など、ユーザーのニーズに合わせた案内をするという。
スタイリストは雑誌や広告、芸能人の専属など、現場で活躍しているスタイリストが担当する。
ユーザーのチャット利用には費用は発生しない。洋服の購入はパートナーサイトを案内し、そこで商品を買ってもらう形式。空色は商品が購入されたときに発生する成果報酬が収益となる。
空色のビジネスモデルは、ファッション好きの女性の悩みを解決する米国のスタイリストサービス「Keaton Row(キートン・ロー)」を参考にしている。「キートン・ロー」の平均顧客単価は約4万ドル。空色はこのECビジネスを応用し、「3~4万円の顧客単価を目指す」(中嶋洋巳社長)と言う。
現在提案可能なブランドは約3000ブランド。プレオープン後10日が経過した現在、「大学生から社会人、子供がいる女性など幅広い層のユーザーに利用されている」(同)。
現在α版はチャットを通じたコミュニケーションを介さなければ購入できないようにしている。これはKPI(重要業績評価指標)として「チャットを通じてどのくらい購入されるのか」「どのくらい満足するのか」といった指標を調べるため。
2015年春の本格オープンを目指し、さまざまなデータを取得。チャットを通じた“コミュニケーションコマース”の可能性を探っていく。
「チャット」を使った顧客対応はここ数年、EC業界でも注目されている。海外に目を向けると、顧客対応、サポート、交渉といった用途などで活用されているケースが多い。
空色はスタイリストがチャット対応することで、訪問客からの相談やアドバイスなどを通じて商品を提案する。これまで日本ではあまり見ることがなかったビジネスモデルだろう。
チャットを電話に変えるとわかりやすい。通販会社のほか、EC会社でもコールセンターを置く企業もある。受注や顧客対応のほか、関連商品を提案することで、顧客単価の向上につなげているケースは多い。
米国では「Keaton Row」のように顧客単価を伸ばしているEC企業もあるので、チャットを使ったコミュニケーションコマースが日本でも浸透するのか、注目したい取り組みだ。