パルコがオムニチャネルを本格化、「STORES.jp」と連携しテナントのEC化進める
パルコは今秋、店舗への誘導を主目的にオムニチャネルサービスを本格化する。5月21日からパルコに出店するテナントの商品をネット上で販売し、店頭取り置きや自宅に配送できるサービスを一部テナントで開始。スタートトゥデイが提供するファッションコーディネートアプリ「WEAR」との連携を深め、ブログを通じたファッション情報配信の拡充にも取り組む。オムニチャネルマーケティングを通じて、テナントの売り上げを増やし、パルコ全体の収益拡大につなげる。
今秋に本格展開するオムニチャネルサービスは「カエルパルコ」。パルコは2020年に向けた長期ビジョン達成に向けて、商業施設の誘導を主目的にICT技術の真価を活用した事業革新を推進している。今回のオムニチャネルサービスの本格運用はその一環。
「STORES.jp」を運営するブラケットと連携。パルコに出店している一部テナントの商品を、店頭で受け取ることができるように取り置き予約機能を設け、ネット上での購入後、自宅にも配送できるようにした。パルコのショップスタッフが情報発信として利用している「パルコショップブログ」に、EC機能として追加。ショップスタッフがブログで紹介した商品を簡単な作業で販売できるようにする。
売れた商品は、テナントの店舗売り上げとして計上する仕組みで、ネット販売を通じた売り上げが伸びれば、パルコに入る手数料も増加する。5月21日から、静岡パルコの3ショップで開始。6月中旬には名古屋パルコで数店舗がスタートする。今回の取り組みはテストと位置付け、秋頃に本格運用を始める予定。
パルコはテナントがネット上で商品が販売できるショッピングモール「パルコシティ」を運営している。モールへの出店という別のネット用販路を持つ一方で「STORES.jp」と連携するのは、「パルコシティは機能が高度なため、ショップの店頭スタッフが扱うのは難しい側面がある。『STORES.jp』は直観的で分かりやすいので、店頭スタッフでも容易に利用できる」(パルコ WEBコミュニケーション部)と判断したためだ。スキルの低いショップでもECが利用できるツールとしてテナントに利用を促す。
パルコは昨年10月から「WEAR」アプリを通じたショップスタッフのウェブ接客を進めているが、さらに連携を拡充。「WEAR」に投稿したパルコショップスタッフのコーディネイト情報を「パルコショップブログ」でも閲覧できるよう、情報連携をスタートした。
「WEAE」については、スタッフが投稿するコーディネート情報を通じてショップへの来店、商品購入につながる事例が増えており、「パルコショップブログ」での情報連携を決定。実店舗への来店機会増加につなげる。「WEAR上」に投稿し「パルコショップブログ」に掲載された商品のネット販売については、「そうしたスキームが実現できればいいが、ショップごとの判断になる。パルコでもショップのスキルが向上できるような取り組みをしていきたい」(パルコ WEBコミュニケーション部)としている。