新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

売り上げが下がっても敗北じゃない! 「縮小」が正解になることもある【ネッ担まとめ】

ネットショップ担当者が読んでおくべき2026年3月7日~3月20日のニュース

石田 麻琴[執筆]

8:00

売り上げを伸ばすこと、販路を広げること、規模を大きくすること――。ECの世界では、それらが「正しい成長」として語られがちです。ただ、本当にそうなのでしょうか。今回の「ネッ担まとめ」では、「楽天市場」からあえて撤退した老舗家具店の事例を通して、「自分たちらしい価値を育てること」の大切さを考え直します。

縮小することが、前向きな選択になるとき

「売上7割」の楽天市場から撤退、なぜ? 社員も大量離職…… それでも決めた“老舗家具店3代目”の狙い | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2603/17/news012.html

これまで自店の利用客向けだったショールームは、インテリアコーディネーターや設計士、デザイナーにも開放した。商談や打ち合わせの場として活用され、実際に家具を見てそのまま購入につながるケースも増えたという。

加えて、セミナーやイベントの会場の場としても店舗を活用。2025年6月には、インテリアコーディネーター主催の、加齢に伴う身体の変化に配慮したインテリアを紹介するセミナーを実施した。参加者の多くは同業のインテリアコーディネーターで、実際の家具を前に知見を深められる場となった。

また、護身術講座や漬物教室、茶道体験会といった、一見すると家具とは無縁な取り組みも展開している。金谷社長がよいと思ったものを「健康で豊かな暮らし」としてさまざまな面から発信する。

金谷社長は「いい暮らしのベースは健康だと思っている。いいものを紹介して、トータルでいい暮らしを発信していきたい」と意気込む。

ショールームを家具を売る場ではなく、「いい暮らし」を体感してもらう場に変えた。「楽天市場」から撤退した先に至ったのが、この発想。ショールームを開放し、セミナーを開き、一見すると家具と関係ないテーマまで取り扱っていく。

でも、こういった取り組みを積み重ねることで、「この店は、何を大切にしているのか」がお客さまに伝わるわけです。商品単体だけではなく、その背景にある考え方や世界観も伝えていく。要チェック記事に出てくる「イーザッカマニアストアーズ」のReオープンもそうですが、これからの店舗やブランドにとって、大事な視点だと思います。

「何を売るか」より「どんな価値観を発信する場」なのか。

金谷社長は「売り上げが下がったり撤退したりするのは、マイナスのイメージが強い。右肩上がりが健全、当たり前だと思われているが、そんなことはない。本当に重要なのは、質や顧客満足度。そこを追求したら、あえて規模を縮小するという選択肢もあり得る。数字だけが全てではない」と説明する。

撤退を決めた当初、明確な勝算があったわけではない。それでも、実店舗を強化することに集中しようと考えた。金谷社長は「ECは資本があるところが勝つ。大手にはなかなかかなわない。だからこそ、目の届く店舗で独自のことをやりたいと思った。その方が自分らしくて面白い」と話す。

売り上げの数字だけを追う経営から、自分たちが納得できる「いい暮らし」の提案へ。金谷社長が下した決断は、数字以上の価値をもたらしているようだ。

ECの世界にいると、どうしても「伸ばすこと」「増やすこと」が正義になりがちです。売り上げを伸ばす、販路を増やす、規模を広げる、みたいな。

でもその先にある本当に大切なことは、自分たちは「なにを提供するか」を見極めることなのかもしれません。自分たちの目が届き、独自性が出せる場所に寄せていく。これは後退ではなくて、立ち位置を選び直しているだけですよね。その判断が「自分らしい」という感覚に根ざしているならば、さらにすばらしい。

結局、長く続く事業というのは、数字だけではなくて、やっている側の思想が支えているんですよね。

要チェック記事

“お客さんとの対話”を軸にした店舗運営へ――。新生「イーザッカマニアストアーズ」がグランドReオープン | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/n/2026/03/16/15752

めざすのは「健やかな店舗運営」。たくさんの苦難を経てのリスタートだからこそ非常に重みがある言葉です。新しい時代のECを楽しみにしています。

エージェンティック・コマース時代のCX ー キーワードは「フライホイール型CX」「Authenticity」「店舗のブランド体験メディア化」【NRF2026レポート by NODE】 | AGENDA Note.
https://agenda-note.com/retail/detail/id=8263

人間は習慣に支配されている生き物なので、AIがいかにこの習慣を崩していくかが気になります。一方で、「一般」がわかりにくくなっているのも事実だなと。

AI時代「顔の見えない」記事に意味はない | note | 住太陽
https://note.com/motoharusumi/n/n57ee7d06fffe

「顔の見えない」記事に意味はない。「そうだ」という部分と「そうであるべきだ」という部分、「そう思った方が割り切りがつく」という部分、いずれもありそう。同意です。

「SNS時間を減らしたい」Z世代の67% 広がる“スマホ疲れ”のリアル | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2603/18/news035.html

まさに自分も直近で改め中なのですが、SNSは情報が圧倒的すぎてポジティブよりもネガティブ(不安感)になるケースが多いんですよね。もっと「今」に集中したい。

「不安」を売るのは、もう終わりにしませんか?── ペットのヘルスケアブランドが実践する「不便なEC」の合理性 | コマースピック
https://www.commercepick.com/archives/87671

前段の記事とこの記事を読んで思ったのは、世の中は「不安」を排除する方向に動いていくのではないかということ。ある種のウェルビーイングの到達点はそこではないか。

「筆者の初任給は13万円だった」「約7割の企業が新卒初任給を引き上げ」… 昭和世代とは大違い、今時の若者の「贅沢の仕方」|東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/936608

私自身、就職氷河期末期の世代ですが、もう散々次世代以降との比較はしてきたので、いい加減飽きました。今の自分が幸せであるように、日々生きるしかないですね。

今週の名言

連載6年を振り返る。マーケターが「書くこと」を続けるべき、スキル習得以上の本当の理由 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2026/03/10/52181

コラムをアウトプットするようになって良かったことの筆頭は、「インプットの質が変わる」ことです。これは私が個人でやっているYouTubeチャンネルの運営とも共通するのですが、「定期的に何かをアウトプットしなければならない」という状況に置かれると、自然と日々の生活の中でインプットの感度が高まります

ふとした瞬間に注視する対象が増えたり、ネタを探すためにあえて足を運ぶ時間が増えたり。街中の広告一つ、流行りのイベント一つとっても、「これはコラムのネタになるか?」というフィルターを通して見るようになりますし、飲み会や雑談の中から得た刺激でネタを思いつくこともあり、結構活発に動くようになったと思います。

「書くこと」を続けていると、文章がうまくなるというよりも、世界の見え方が少しずつ変わってくるんですよね。何気ない会話や、街を歩いている時の発見がただ通り過ぎてしまう情報でなくなります。

「これはネタになるかもしれない」という視点で日常を見るようになるので、自然と感度が上がっているのかもしれません。

アウトプットの習慣は、スキルを磨くというより、自分のアンテナを立て続けるための仕組みに近い気がします。


「新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ」は以下の専門家が連載しています。

ECMJ 石田氏石田氏

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノイン 酒匂氏酒匂氏

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequation 中林氏中林氏

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

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