車中受け取りから撤退する時の判断基準&カーブサイドピックアップで顧客満足度を高める6つのポイント
カーブサイドピックアップ(車中受け取り)は顧客にとって便利なサービスですが、米国のデータ分析企業Forrester Research(フォレスターリサーチ)の識者は「顧客体験価値の高いカーブサイドピックアップの提供が難しい場合は、サービス提供を中止した方が得策だ」と指摘します。
サービスの質が十分でない車中受け取りはやめるべき?
Forrester Researchのプリンシパル・アナリストであるエミリー・ファイファー氏は「顧客にとって満足度の高いカーブサイドピックアップサービスを提供することに苦労している小売事業者は、そのサービス提供をやめるべきだ」と話します。
カーブサイドピックアップの提供でカスタマーエクスペリエンスが悪化してしまうのであれば、やる意味はありません。店舗内で質の高いカスタマーエクスペリエンスを提供するためのリソースを、わざわざカーブサイドピックアップに割く価値はないのです。(ファイファー氏)
米国の百貨店Kohl's(コールズ)は、カーブサイドピックアップを廃止しました。同様に、多くの小売事業者が中止を検討しています。
コロナ禍では店舗で買い物をする消費者が減少、小売事業者はその影響をカバーする目的でカーブサイドピックアップの提供に奔走しました。しかし、多くの消費者が店舗内での買い物を再開しているなか現在、わざわざ店舗リソースを割いてまでカーブサイドピックアップをサービスとして提供する価値があるかどうかを適切に判断しなければなりません。
カーブサイドピックアップサービスを効果的に提供するための6つのステップ
ファイファー氏は、カーブサイドピックアップサービスで効果的なカスタマーエクスペリエンスを提供するための6つのステップを提案しています。
- 消費者がオンラインショッピングを行う課程で、できるだけ「早く」「わかりやすく」カーブサイドピックアップが買い物の選択肢にあることを表示する
- 店頭受け取り、自宅配送、カーブサイドピックアップといった商品の受け渡し方法(=フルフィルメントオプション)から、探している商品を絞り込むことができるようにする
- フルフィルメントオプションごとに商品をカートに入れられるようにする
- カートのなかで、さまざまなフルフィルメントオプションがあることを明確に示す。複数ある場合は、それぞれを明確にする
- テキストやEメール、アプリで顧客とうまくコミュニケーションを取る。そのための手段を用意し、消費者が「今、店舗に向かっている」と事業者側に伝えることができるようにする。たとえば、デジタルツールを使って、店舗にチェックインができたり、車種を説明することができるなど
- 消費者が店舗に到着したら、どこに行けばいいのかを明確にする。どこに車を停めるべきか、何をするべきか、商品の受け取りに向けた状況はどうなっているのかが一目瞭然でわかるようにする
小売事業者がもし、カーブサイドピックアップのために十分な従業員を割くことが難しいにもかかわらず、それでもサービスを提供したい場合はどうすればよいでしょうか?
ファイファー氏は「これまでの顧客のデータ分析から、店舗が混雑していないことがわかる特定の時間帯にのみカーブサイドピックアップのサービスを提供すれば良い」と提案しています。