Digital Commerce 360[転載元] 2023/5/25 8:00

米国のEC専門誌大手『Digital Commerce 360』の調査によると、世界のトップクラスのオンラインマーケットプレイスは2022年、3兆2500億ドル以上の流通総額を記録しました。そのほとんどは、“サードパーティーセラー”と呼ばれるモール出店者経由です。

記事のポイント
  • 2022年の流通総額は3.25兆ドルに達し、2021年から2.9%増加した
  • ハイブリッド型のマーケットプレイスが従来型のマーケットプレイスを上回った
  • ウクライナ侵攻に伴う制裁の影響で、国内のみの販売に限定されたロシアのマーケットプレイスは成長した
  • 流通総額が減少する中、eBayはShopeeに抜かれ5位になった

2022年の流通総額は2.9%増の3.25兆ドルに成長

オンラインマーケットプレイスの上位企業は2022年、3兆2500億ドルの商品を販売しました。『Digital Commerce 360』が発行した「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」の上位100社のうち、Alibaba(アリババ)、Amazon、 eBay(イーベイ)などが運営するプラットフォーム上でのサードパーティーセラーによる販売は、総流通総額の77.5%を占めました。

また、2022年は自社での商品販売とサードパーティーセラーが販売するハイブリッド型のマーケットプレイスの成長が目立ちました。

マーケットプレイス全体の流通総額の成長率は2.9%でしたが、Amazon、Walmart(ウォルマート)、JD.com(ジンドン)などのハイブリッド型は7.2%と躍進。eBay、Wish.com(ウィッシュ)、Alibabaが運営する中国マーケットプレイス「Tmall(Tモール)」や「TaoBao」(タオバオ)といった従来型のマーケットプレイスの流通総額は0.9%減少しています。

世界のオンラインマーケットプレイス上位100社の2022年における流通総額(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
世界のオンラインマーケットプレイス上位100社の2022年における流通総額(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

マーケットプレイスは、多くの商品を低価格で購入できることから、消費者に人気があります。AlibabaやAmazonが運営する世界最大手のマーケットプレイスがこの業界を席巻しています。

しかし、特定のカテゴリーの商品を販売するマーケットプレイスも数多く存在し、その多くは堅調なペースで流通総額を伸ばしています。

他国のオンラインマーケットプレイスの成長は?

2022年の成長をけん引したのは、他国のオンラインマーケットプレイスでした。中国のオンラインモールがコロナ禍のロックダウンで苦戦。その一方、ブラジルやロシアなどの国のマーケットプレイスは、サプライチェーンの危機や国際紛争のなかで、販売事業者が国内マーケットでの販売という選択肢に目を向けたため、大きな成長を遂げました

ロシアは“制裁”が国内事業者の成長につながる結果に

ロシアの大手ネット通販事業者2社、Ozon(オゾン)とWildberries(ワイルドベリーズ)は、ウクライナ侵攻に対する制裁のなかで、国内の販売者がロシア資本のECサイトにシフトしたことが影響し、2022年に大きく成長した事業者の一例です。

このほか、成長率トップ10には、ブラジルのネット通販大手MercadoLibre(メルカドリブレ)、Etsy(エッツィ)が運営する「Elo7」もランクインしています。

流通総額上位のマーケットプレイスがある国と、地域ごとの上位のマーケットプレイスの数(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
流通総額上位のマーケットプレイスがある国と、地域ごとの上位のマーケットプレイスの数(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

これまでの成長に比べると減速したものの、Alibabaが運営する「TaoBao」と「Tmall」の流通総額は、競合他社のサードパーティーセラーの流通総額を大きく引き離しています。Amazonのサードパーティーセラーによる流通総額は3位。eBayの減速により、インドネシアのShoppee(ショッピー)がトップ5に入りました

世界のマーケットプレイスをけん引する企業と、その流通総額ランキング(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
世界のマーケットプレイスをけん引する企業と、その流通総額ランキング(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)。流通総額は、マーケットプレイスで販売されているすべての商品の流通額を指す。公式企業ランキングは、マーケットプレイスにおける自社商品の売り上げを除いた、自社サイトで販売するサードパーティ(仕入れ商品)の流通総額によって決定している

新しいプレーヤーが続々登場

過去10年間で、オンラインマーケットプレイス トップ100社のうち35社が、サードパーティーセラーによる販売をスタートしました。

このなかには、スニーカー販売のStockX(ストックX)、食料品販売のMercato(メルカート)のような従来型のマーケットプレイスに加え、Sweetwater(スウィートウォーター)やZalando(ザランド)のような小売事業者がプラットフォームを提供するようになったケースもあります。

開設年別のオンラインマーケットプレイスの数(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
開設年別のオンラインマーケットプレイスの数(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

米国企業の流通総額は横ばい

2022年の米国オンラインマーケットプレイスの成長は横ばいで、サードパーティーセラーによる流通総額は1.0%減少しました。傾向は他国と同じで、ハイブリッド型が従来型のマーケットプレイスよりも良い結果を出しています。また、トップ100社のマーケットプレイスの半数が米国に拠点を置いています。

米国のマーケットプレイスをけん引する企業と、その流通総額ランキング(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
米国のマーケットプレイスをけん引する企業と、その流通総額ランキング(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

米国のトップ企業の流通総額は8698億ドルに達し、トップ100位のマーケットプレイスの流通総額の4分の1以上を占めました。スニーカーのマーケットプレイスFlight Club(フライトクラブ)は、米国のマーケットプレイスのなかで最も大きく成長し、流通総額は前年比50%増でした。

米国の上位49社のマーケットプレイスを対象とした、米国マーケットプレイスに関するデータ(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)
米国の上位49社のマーケットプレイスを対象とした、米国マーケットプレイスに関するデータ(出典:『Digital Commerce 360』発行「オンラインマーケットプレイス トップ100社 データベース 2023年版」)

オンラインマーケットプレイスの最新動向

ポイント

  • トップ100位のマーケットプレイスは、2022年の流通総額が3兆2500億ドルに成長
  • この流通総額は、世界のEC流通総額の55%以上に相当する

主要なマーケットプレイスによる市場の席巻は世界的な現象です。トップ100位のマーケットプレイスは世界中に存在しています(以下は、各エリアのマーケットプレイスの数)。

  • 北米:51
  • 欧州:22
  • アジア:16
  • ラテンアメリカ:7
  • 中東・アフリカ:3

世界のトップマーケットプレイス

  • 1位:Taobao
  • 2位:Tmall
  • 3位:Amazon
  • 4位:JD.com
  • 5位:Shopee

米国のトップマーケットプレイス

  • 1位:Amazon
  • 2位:eBay
  • 3位:Walmart
  • 4位:OfferUp(フリーマーケットアプリ)
  • 5位:Houzz(インテリア通販)

米国マーケットプレイスの概要

  • 2022年、米国のマーケットプレイスの流通総額は8698億ドル
  • 米国のマーケットプレイスの中央値では、モバイル機器からの売り上げが61.2%を占める
  • 2022年、米国で最も成長した事業者はFlight Clubで、流通総額は前年比50%増

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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