DX時代のデジタル人材育成、「最重要項目として全社的に推進」する企業は39%。取り組みは「自社研修」が38%、「育成プログラム」が35%

シナジーマーケティングが実施した「DX推進における人材育成とマーケティングスキルに関する意識調査」によると、デジタル人材育成を経営・事業戦略上の「最重要項目として全社的に推進」すると回答した企業の割合は39%だった。デジタル人材育成に向けた主な取り組みは「自社研修」「育成プログラム」「OJT」「e-ラーニング」など。
調査対象は全国の従業員100人以上の企業を経営する経営者300人。調査期間は2025年9月29〜30日。
DX推進で注力したいのは「新しいツールやシステムの導入」が最多
DX推進にあたって最も注力すべき取り組みについて聞いたところ、最も多かったのは「新しいツールやシステムの導入」で25.3%、続いて「既存システムの改善・強化」が20.0%、「既存社員へのリスキリング・アップスキリング」が13.0%だった。
シナジーマーケティングは「物理的な施策が半数を占める一方で、人材育成への注力は低いことがうかがえる」と解説している。

約4割がデジタル人材育成は「最重要項目」と回答
デジタル人材育成は経営戦略上、どの程度の重要性を持つ施策として位置付けられているかを聞いたところ、「最重要項目として全社的に推進」が39.0%、「事業戦略上、部門横断的に取り組む」が33.7%で、全体の約7割が「デジタル人材育成が経営・事業戦略上重要である」と回答している。

育成は自社研修が最多
現在実施しているデジタル人材育成に向けた取り組みは、「自社で研修を企画・実施」が最多の38.3%、続いて「育成プログラムを策定・実行」が35.7%、「OJTを中心に実施」が30.7%、「eラーニングなどオンライン活用」が30%だった。

費用対効果や成果は約7割が不透明
デジタル人材育成に対する投資対効果(ROI)や具体的な成果目標をどのように設定・評価しているかを聞いたところ、「数値目標を設定し、定期的に評価している」と回答した企業は28.7%だった。
「数値目標は設定しているが評価は難しい」が29.7%、「設定や評価はなく、取組の有無/内容を重視」が21.0%、「投資対効果はそこまで意識していない」が19.3%で約7割の企業でデジタル人材育成に対する費用対効果が可視化されていないことがわかった。

デジタル人材に関する課題のトップは「人材不足」
デジタル人材に関する課題として特に強く感じるものは、「人材不足」が最も多い49.0%、続いて「部門間で人材育成の温度感に差がある」が21.0%、「人材育成担当者の不足」が20.3%、「最新技術(生成AI)への対応が遅れている」が18.7%だった。

マーケ担当者の不足技術は「生成AI活用スキル」が最多
デジタルマーケティングの推進において、マーケティング担当者に特に不足している専門的な知識や技術を聞いたところ、最多が「生成AI活用スキル(コンテンツ生成、データ分析など)」で44.0%、続いて「高度なデータ分析・解析スキル」が44.0%、「顧客データ統合・活用スキル(CDPなど)」が29.7%だった。

強化すべき制度は「専門スキル評価制度」が最多
デジタル人材育成を加速させるために「組織として強化すべき制度」について聞いたところ、最も多かったのは「全社的なリスキリング・アップスキリング戦略の策定」で43.0%、続いて「最新技術(生成AIなど)に対応した専門スキル評価制度の導入」が39.0%、「部署を越えたナレッジ共有・学習コミュニティの活性化」が33.3%、「人材育成の目標と個人の評価を連動させる仕組み」が32.7%だった。

生成AI活用の最も大きな懸念はセキュリティやプライバシーの侵害
生成AIの活用がマーケティング活動に与える弊害・課題について聞いたところ、「セキュリティおよびプライバシー侵害の懸念」が最多で40.0%、続いて「自分で考える力や判断力、決断力、想像力の欠如」が34.7%、「誤情報生成によるブランド毀損リスク」が30.0%、「倫理的問題や著作権侵害のリスク」が28.3%だった。

調査概要
- 調査期間:2025年9月29日〜30日
- 調査対象:全国の従業員100人以上の企業を経営する経営者300人
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 実施機関:クロス・マーケティング
