SDGsに取り組んでいる企業は7割、やらない最大のリスクは「ブランド価値の低下」【環境活動の企業調査】

調査の結果、7割以上の企業が環境問題やSDGsに取り組んでいることがわかった。理由は気候変動への懸念だけでなく、ブランディングの観点も多くあるようだ

大嶋 喜子[執筆]

4月22日 6:00

NSSスマートコンサルティングが実施した「製造・インフラ業の環境活動・SDGsへの取り組み」に関する調査によると、7割以上の企業が環境問題への対応を進めており、取り組まない最大のリスクは「企業のブランド価値の低下」と考える企業担当者が多いことがわかった。

調査対象は、製造業・建設業・運送業・廃棄物処理業の経営者、サステナビリティ・CSR・環境部門の担当者1008人。調査期間は2025年4月9日~10日。

環境問題・SDGsに関する取り組みの有無について聞いたところ、最も多かったのは「取り組んでいる」の39.6%、続いて「積極的に取り組んでいる」が32.8%だった。合計すると、7割以上の企業が環境問題への対応を進めていることがわかった。

環境問題・SDGsに取り組まない場合のリスクを聞いたところ、「企業のブランド価値の低下」が最多の47.8%、続いて「法規制への対応が遅れる」が42.8%、「人材獲得の困難・離職率の低下」が37.9%で、経営基盤への長期的な悪影響に関する理由が上位にあがった。NSSスマートコンサルティングは「環境活動は単なるCSRではなく、経営戦略の一環と捉えられていることが読み取れる」と指摘している。

取り組みをどのように評価・効果測定しているか(左)、効果測定・評価がわかりづらいと感じるか(右)
取り組みをどのように評価・効果測定しているか(左)、効果測定・評価がわかりづらいと感じるか(右)

環境問題・SDGsに関して「取り組んでおらず、今後も取り組み予定はない」と回答した担当者にその理由を聞いたところ、最多が「費用対効果が不明」で37.3%、続いて「取り組むメリットが見えない」が30.5%、「自社の規模では実施が難しい」が25.4%だった。

「担当者や専門知識を持つ人材がいない」と「何から始めればよいかわからない」はそれぞれ10.2%。投資判断の不透明さだけでなく、情報や事例の不足、指針・ノウハウの欠如も理由として一定数存在することがわかった。

今後も環境問題・SDGsへの取り組みを予定していない理由
今後も環境問題・SDGsへの取り組みを予定していない理由

環境問題・SDGsに「積極的に取り組んでいる」「取り組んでいる」「現在は取り組んでいないが、今後取り組み予定」と回答した担当者に、現在の取り組みまたは予定している取り組みの内容を聞いたところ、最多は「CO2排出削減」で46.6%、続いて「廃棄物削減・リサイクル活動」が45.7%、「再生可能エネルギーの導入」が36.9%だった。

現在行っている、または予定している環境問題・SDGsの取り組み内容
環境問題・SDGsの取り組み内容

環境問題・SDGsに関する取り組みを始めた、もしくは取り組む予定となったきっかけは、「気候変動の懸念から」「SDGsに取り組む姿勢を見せることで、会社のイメージアップにもつながるだろうという経営陣の考えから」「環境問題への取り組みが受注で優位になったから」など。NSSスマートコンサルティングは「業種ごとに影響要因は異なるものの、いずれも事業リスクの回避と企業価値の向上を両立したいという根底の意識が伺える」と解説している。

取り組みに対する評価・効果測定方法について聞いたところ、最も多かった「社内アンケートや社員の声などの定性的評価」が54.8%、続いて「CO2排出量などの数値で管理している」が53.6%、「第三者評価(監査、認証など)を受けている」が30.6%だった。

取り組みの効果測定・評価がわかりづらいと感じるかを聞いたところ、最も多い「やや感じる」が52.5%、続いて「とても感じる」が39.4%だった。合計すると、9割以上が難しさを認識している結果となった。

取り組みをどのように評価・効果測定しているか(左:複数回答可)、効果測定・評価がわかりづらいと感じるか(右)
取り組みをどのように評価・効果測定しているか(左)、効果測定・評価がわかりづらいと感じるか(右)

取得している環境関連認証で最も多かったのは、企業や組織の製品やサービスが環境に対して高いレベルで取り組まれていることを証明できる「ISO14001」(環境マネジメントシステム)で28.9%、続いて「SDGs関連の認証」が27.8%、「グリーン経営認証制度」が26.8%だった。

認証を取得した理由は、「環境リスク管理や法規制対応の必要があったため」が最多で33.9%、続いて「競争力強化や新たなビジネス機会を得るため」が31.6%、「社内の環境意識向上や採用ブランディングの一環として」が30.8%だった。

取得している環境関連認証(左)、取得理由(右:複数回答可)
取得している環境関連認証(左)、取得理由(右)

調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査元:NSSスマートコンサルティング
  • モニター提供元:PRIZMAリサーチ
  • 調査期間:2025年4月9日~10日
  • 調査対象:製造業・建設業・運送業・廃棄物処理業の経営者、サステナビリティ・CSR・環境部門担当者1008人
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