Digital Commerce 360 2018/9/6 7:00

新学期向けのビジネスは、特に大学生向け市場の規模が大きくなっています。大学生活に必要な商品を購入するために、多くの時間が費やされていることを考えると、価格、在庫、割引クーポン、配送に関して、オムニチャネル対応の重要性がわかります。

新学期ビジネス:効率的な方法

全国小売連盟と市場調査のProsper Insights and Analytics社の調査によると、新学期に向けた出費は828億ドルにもなるそうです。平均して、大学生や大学院生は1人942.17ドルの出費をし、全体では553億ドルになります。規模の大きい新学期ビジネスのなかでも、今回の記事では大学生向けの市場に焦点を当てたいと思います。

大学生活に必要な商品を購入するために、多くの時間が費やされていることを考えると、価格、在庫、割引クーポン、配送に関して、オムニチャネル対応の重要性がわかります。

BizRate Insights社が行った、Internet Retailer社とe-tailingグループ向けのいくつかの調査の一環で、1,105名のオンラインショッピング利用者に向こう6か月の予定を聞きました。オムニチャネルの役割は年々大きくなっていますが、特に今の時期は、大学の新学期に向けて準備する親にとって、ネット通販の店舗受取サービスが人気です。子どもが大学生になるのは、親にとっても大きな変化ですし、心配がつきものです。

私自身も最近、娘をニューヨークの大学に送り出しました。準備には、米小売大手であるターゲットのCollege Order Pickupプログラムと、生活雑貨店のBed Bath & Beyondを利用しました。どんな商品が寮の生活に必要かがわかり、他人と共有できるチェックリストを作ることもできます。もちろん、割引があるのも嬉しいポイントでした。

調査の結果、3人に2人は商品の在庫をオンラインでチェックすると答えました。実際に学校に到着したあと、足りない商品に気づくことが多いため、オンラインで在庫確認できることが大切です。大学の近くに店舗があるとは限らないため、オンラインで在庫確認する人たちを逃さないようにしましょう。

移動中の購入や、急に必要なものが出てきた場合、モバイルが重要になってきます。3人に1人がオンラインでの注文の方が多いと答えており、モバイルがオンラインでの注文を促進しています。学生はすぐに商品が必要な場合が多いため、同日配送を希望することが多く、4人に1人が同日配送サービスがあればより多くの商品を注文すると答えました。

以下の表でわかるように、消費者の希望が小売事業者のサービスに反映されています。新学期ビジネスに関する議論を進めるために、積極的なアクションを取っている10の企業を選びました。どの企業も商品の在庫確認、オンライン購入/店舗受け取り、ショッピングリスト作成のサービスを提供しています。店舗からの同日配達やライブチャットのサービスに関しては調査した企業の70%、7つの企業が展開しています。

向こう6か月間でより利用頻度が高くなりそうな機能はどれですか?
  • 64%:近所の店舗の在庫確認
  • 40%:モバイル経由での実店舗内商品検索
  • 36%:オンライン購入/同日・または翌日店舗受け取り
  • 32%:モバイル経由での店舗受取サービス
  • 24%:ウェブサイト経由での同日配送サービス
  • 13%:店舗から同日配送が可能な商品注文
出典:Internet Retailer / BizRate Insights 消費者調査 2018年7月
小売事業者としてどのオムニチャネル機能を提供していますか?
表左から
  • 事業者名
  • 店舗内の商品検索
  • 店舗からの同日配送
  • オンライン購入/店舗受け取り(BOPIS:Buy Online Pickup in Store)
  • ショッピングリスト作成
  • ライブチャット
出典:the e-tailing group

オムニチャネルのベストプラクティス

この数年間で、新学期向けの商品購入がデジタルで簡単にできるようになりました。ターゲットとBed Bath & Beyondが、品揃えでも利便性でも際立っています。

どのカテゴリにおいても、Amazon(アマゾン)抜きには語れませんが、アマゾンでの買い物体験は興味深いものでした。パーソナライゼーションでは右に出るものがいないアマゾンは、Off to College Alexa割引を展開し、大学生向けの商品を特集。割引を提供し、新学期向けの事務用品などを紹介しました。

アマゾンのサイトを訪問するたびに、私のショッピングエクスペリエンスは変わりました。まず、Departments(編注:日本語ではカテゴリ)のナビゲーションから、Off to Collegeのリンクに飛べないことに驚きました。明らかな機会損失だと思えたからです。

最終的には、検索窓に「Off to College」と打ち込み、大学生向けの商品が並ぶページにたどり着きましたが、必死でない消費者は見過ごしてしまったことでしょう。よかったのは、特集ページにたどり着いた際、購入商品を寮での必需品、教材、コンピュータ、タブレット、アクセサリーなどのセグメントに分けるように促されたことです。

米AmazonのOff to Collegeページ

2日以内配送を行うプライムステューデンツ(学生向けプライム)の案内がトップの真ん中にありました。もっとも興味深かったのは、他の人が何を買っているかがわかったことと、アマゾンのBack to School Liveのライブストリーミングで重要な商品を見られたことです。ただ、後日サイトを訪れた時は同機能を簡単に見つけられませんでした。

常にイノベーションを求めるアマゾンでは、ティーンエイジャーが自分でログインして商品を選び、その後、保護者に許可をもらって、予算を超えないように買い物をすることができます。多くの消費者同様、私の友人も買い物は全部アマゾンで済ませたと言います。他のサイトよりもアマゾンでの価格が安いと考えていたようですが、限定商品などはアマゾンよりも安く販売されていることが多いため、他サイトとの比較をお勧めします。

Bed Bath & Beyondには、1つの店舗で便利に買い物ができる消費者向けのダッシュボードが用意されています。消費者はチェックリストと学校からの情報をもとに、何を購入すべきかが確認でき、キャンパスにもっとも近い店舗へのリンクに飛ぶことができます。

店舗に何度も足を運ぶたびに、チェックリストに新たに追加できるリンクもあります。その場で課題を解決してくれるチャットも使いやすく、大学生活で必要なもの、不必要なものを教えてくれると同時に、20%の割引も提供されます。スクロールタイプのナビゲーションで、重要なカテゴリを確認しつつ、お好みの実店舗で大学向けの買い物スペシャリストとアポを取ることも可能です。

注文した商品が、キャンパス近くの店舗で受け取れる「荷造りして取り置き」サービスや、注文をまとめて寮など指定の場所に送れる「今購入して、後でまとめて配送」サービスが大変人気です。どちらにしても、保護者や学生にとって利便性が高く、家族内での情報共有も楽になります。

Bed Bath & Beyond

ターゲットはブランディングを強化し、PB商品を強力に推すことで一歩抜きん出ています。ニューヨークに住んでいる娘の居住区の近くには、ターゲットの店舗がなかったため、私にとってターゲットは選択肢から外れました。しかし、15%割引を利用して自宅を出る前に商品を選んで購入し、シカゴのターゲットで受け取ってから手荷物に詰めてニューヨークに持って行きました。地元のターゲット店舗にも足を運びましたが、店員がこのサービスを理解しておらず、商品を探すのに手間取りました。店員の態度がよかったので、最終的に不満はありませんが。

ターゲット

Best Buyでは、オムニチャネルサービスを探すのにナビゲーションを使います。物流から、最低価格保証、カスタマーサービスに至るまで、消費者を第一に考えられたサイトは、大変使い勝手がよく、購入に結びつくようになっています。

Best Buy

Best Buyは学生のニーズに焦点を当て、Student Hubを展開しています。インタラクティブなプロファイリングツールで、ぴったりのコンピュータを見つけることができます。寮生活で必要なテクノロジーから、大学生活で必要な商品まで、豊富なコンテンツが用意されています。限定割引を提供するなど、安く商品が購入できるサイトだということがよくわかるデザインになっています。

新学期向けのビジネスが効率的にできるよう、小売事業者も努力をしています。豊富な品揃えと、わかりやすいショッピングエクスペリエンスが提供できれば、消費者は欲しい商品を見つけてくれるでしょう。

正しい選択をしてもらうためにコンテンツは重要ですが、忙しい時期に便利に買い物を実現するのは、商品の特定から便利な受け取り方法まで包括的に提供するオムニチャネルソリューションなのです。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

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